2話 君の嘘、僕の恋心
次の日、朝はいつもどおり、起きて朝ごはんを食べ、昨日と同じように
「いってきまーす。」
と声をかけて玄関から出た。
外には、來叶が待っていた。なぜか、にやにやしている。
「朝からなんでにやにやしているんだ?」
と聞いた。すると來叶は
「昨日の自己紹介は、シンプル過ぎじゃね。笑いが止まんねぇよ。」
と笑っている
「僕は、來叶みたいに目立ちたくないんだよ。」
「はいはい。でも、俺と親友の時点で終わりだよ。」
「じゃあ、親友解消で。」
「そりゃ、ないぜ。」
と來叶とのやり取りもいつもどおりだった。
学校について、2年3組の教室に入って、席に着く、後ろの席に人はいない。
「まあ、僕には、関係ないか。」
と独り言を呟く。
まだ時間に余裕がある。ふと、同じクラスの來叶の方を見る。さすがと言っていいほど、クラスにとけこんでいる。
ちなみに、來叶は、サッカー部で、次期キャプテンと噂されている。そんな、次期キャプテンが、手を振ってくる。僕は、無視し、窓の外を見る。
「やっぱきれいな桜の木だなぁ。」
と思わず声がでてしまう。
時間が過ぎていき、席がどんどん埋まっていく、担任が入ってきた。
「HRを始める前に突然だが、転校生を紹介する。」
と言い出した。
クラスは、ざわつく、僕は、こんな時期に転校生なんて、と思っていた。あまり興味がわかないなと窓の外を見ていた。
「じゃあ、入ってこい、櫻田。」
と担任が言う。
櫻田と聞いた瞬間、心臓がどくんと跳ね上がる。
ゆっくりと僕は、窓から黒板へと視線をずらす、そこに立っている女の子、そうあの日、4年前の中学1年生のあの日、僕が恋をした女の子が立っている。
彼女が自己紹介を始めた。
「櫻田 祭です。よろしくお願いします。」
初めて僕は、声を聞いた、あの日から、ずっと聞いてみたかった声。透き通るような、優しいような、そんな声。
自己紹介が終わり
「櫻田の席は、窓側の一番後ろな。」
と担任が言う。もちろん窓側の一番後ろというと、僕の後ろだ。今になってなぜ後ろが空いてるのかがわかった。
「はい。」
と彼女は、返事をして歩いてくる。
ヤバい、ヤバい、近づいてくる。なんでこういうときに限って僕の後ろなんだ?頭の中は、混乱状態、そんなことを考えているうちに後ろの席に彼女、櫻田 祭が座った。背中をツンツンされ、思わずびくんとなってしまった。後ろをゆっくり振り向いた、
「櫻田 祭です。よろしく。」
と話しかけてきた。
「う、うん 、僕は渡良瀬 愛です。よろしく。」
となんとか話せた、なるべく外には出さず、平常心で話そうと思っていたところで
「名前、愛って言うんだね。なんか女の子みたいな名前だね。」
と話しかけてきた。
もし、これが來叶だったら、いつもどおり怒っていた。だが、今は、違う。あの女の子だ。
「そ、そうだね。」
となんか素っ気ない感じで言ってしまった。
やっと、話しが終わった。
心臓は、張り裂けそうなくらい高鳴っている。やっぱり、この子だ、あの時の子は、そこで僕の頭にこんなことが横切った。
僕のこと、覚えてないかな。と、
一度しか会ってない、でも覚えているかも知れない。僕は聞いてみたくなってしまったのだ。深呼吸を1回、2回として、後ろを振り向く、櫻田さんは、「?」と首をかしげていた。
「あ、あの聞きたいことがあるんだけど。」
と言った。
「なに?」
と櫻田さんが言った。
「中学1年生の春、櫻田さんに一度だけ会ってるんだけど、おぼえてない?」
すると、櫻田さんは、
「中学1年生の春?うーん、ごめんおぼえてないかな。」
と言われた。
「そ、そっか変な事聞いて、ごめん。」
と言って、体を前に戻した。
そして、覚えてないのかーと僕は机に突っ伏した。
だが、その後ろでは、櫻田さんが意味深な、でも嬉しそうな顔で僕の背中を見ていた事は、僕は、まだ知らない。
2話目の投稿でした。どうでしたでしょうか。
どうやったら、読みやすいかなと考え、こんな感じになりました。すこしでも読みやすくなったのなら、幸いです。
とうとうでてきました、愛の初恋の女の子、櫻田 祭さんがでてきましたね。これから、二人は、どうなっていくのか、これからの物語を楽しみにしていてください。