第8話:俺、リオを驚かせます!
姉貴から装備を貰った翌日………俺は噴水広場に来ていた。
一昨日、リオはちょうどPTメンバーと狩りをしに行く約束があったらしく、残念ながら一緒にプレイする事は出来なかった。
まあ、リオは誘ってくれたのだが、流石に見ず知らずのプレイヤーに迷惑はかけたくなかったので断ったのだ。
代わりに今日は一緒に探索をする事になっている。昨日でも良かったのだが、昨日はログインしていなかったようだ。
「―――い、おい、おい!ルナ!」
「ふぁっ!?な、何!?誰!?」
「俺だ、リオだよ。ったく………何か考えて事でもしてたのか?」
「いや、その、ボーッとしてた、スマン」
「別にいいが………ところでその装備は?」
俺の執事服をみてリオは聞いた。
「ああ、姉貴がお金はいいからこれ着ろってくれたんだ」
「へー、優理さんが………ん??」
「?」
「ちょっと待てよ?優理さんもSLOやってるのか?」
「ああ、そうみたいだな。なんか刀使いで、鍛冶も持ってた。ユーリスってプレイヤーネームだ」
「へぇ、そうなんだ、良かったなぁ」
「ああ、最早これチートみたいな強さだしな………」
「そうなのか、まあ、お前死にスキル5個も持ってるしな。ちょうどいいんじゃないか?」
「うう………」
そこで思い出す。
「そう言えば、長弓はそこまで死にスキルじゃなかったぞ?今では殆ど当たるぞ」
「は?マジで?」
「ああ、5時間ほどぶっ続けで練習してたら最後にはもう止まった物ならほぼ当たるようになった。長弓術もLv21になったし」
「そうなのか?だが、それでも無理だった筈なんだが………何か命中に関するトリガーがあるのか………?」
「うーん、どうなんだろう?」
「ってか優月お前5時間ずっと弓の練習って何やってたんだ………」
「あ、あはは………」
「よく飽きなかったな?」
「もう途中から機械的にずっと射ち続けてたから大丈夫だ!」
「それは大丈夫じゃねぇ!」
~閑話休題~
「んじゃ、とりあえず弓の腕見せてくれないか?どれぐらい当たるか見ておきたい」
「ん、分かった」
とりあえずアトラ草原に向かおうとするとリオに止められた。
「どうせなら草原より少し上、アトラ森林に行こうぜ」
▼△▼△▼△
―――アトラ森林、最初期の草原よりも強いモンスターが出現する大きな森林フィールド。
草原はモンスターの種類はホーンラビット1種類だけだったが、森林からはいきなり数がグンと増えるらしい。強さとしてはホーンラビットよりも少し強い程度らしいが、モンスターの種類が多い=敵の行動パターンも多いという訳で。
それでここは初心者用の戦闘訓練所と呼ばれているとかいないとか。
「さて、それじゃ、あそこの木を狙って射ってみてくれ」
「了解」
弓に矢をつがえ、引き絞る。初期武器の弓よりも、結構強いが、これぐらいが逆に手に馴染んだ。
「フッ!」
矢を放つと、寸分たがわずリオの指差した木に当たった。
「おお、マジだ………」
「動いている敵を狙えるかは分からないが、木ならこんな感じで当たるぞ」
「スゲー………」
リオは結構感動しているようだ。
「じゃあ、残り4つも頑張れよ☆」
「………(ズズーン)」
うぁぁ………
「ま、まあ闇魔法は夜でも狙えるしな。そこそこいいだろ」
「う~ん。実は光魔法とか火魔法とかの方が攻撃力とか高いし万能だからな………みんなそっち取るぞ?PKとかのプレイヤーもMP使う闇魔法より暗視スキルとかのパッシブスキル取るしなぁ」
「うぅ………」
「それで?残りはどうだ?」
「疾走はLv上がってるのに早くなってる気がしないぞ………歌唱と超回復に至ってはLv上がってないし………」
「う~ん、まあ、そんなもんか………」
とりあえず今の俺のスキルはこんな感じだ。
・長弓術Lv23・短剣術Lv4・体術Lv8・隠密Lv1・索敵Lv5・疾走Lv12・超回復Lv1・闇魔法Lv1・錬金術Lv6・料理Lv1・歌唱Lv1
「お前、長弓術だけずば抜けてるなぁ」
「まあ、5時間もぶっ続けで射ってたらなぁ」
「しっかし、隠密とか闇魔法とか一切手付けてないのな」
「あ、確かに………」
「どうする?今日試してみるか?」
「うーん、やってみるか」
「よし、んじゃぁ歌唱からな♪」
………え?歌唱なの?
話が進まない(泣)
う~ん、どうするべきか………