第18話:俺、ボスをソロ討伐です!
洞窟の奥は鉱石が至る所にあり、幻想的な場所になっていた。そこは円形の広場の様になっていて、中心には巨大な水晶があった。
「綺麗だ………前来た時はこんな場所じゃなかったのに………」
そう、あんな水晶やこんなにいっぱいの光る鉱石はなかった。一体何なんだ、あの水晶は。
「うわっ!?な、なんだ!?」
水晶に触ると、広場全体が揺れだした。ボスイベントか!?
ピシッ
そして次の瞬間、水晶に罅が入った
ピキッピキペキッピシッ………パリン!!
ズズ、ズゥン………
「水晶が割れて、揺れが収まった?」
そして………水晶のあった場所には、水晶で出来た様な人型モンスターが立っていた。透明だが、虹色に光っている様に見える。だが、それは美しい虹ではなく、水に浮かぶ油の様な色彩だった。
『スフェル洞窟のFボス、水晶人形とエンカウントしました。BBFを展開します』
「ーーー!!」
叫びと同時にこちらに走り込んできた。
「うわっ!?早い!、【アームドランス】!」
テクニックが発動し、俺の右手が人形の胸を貫く。うわ、硬そうな水晶を貫くって何か有り得ない感覚だ。
「ー!」
「うぉ!」
人形は貫かれながらも俺に拳を放ってきた。チッ、人形だから痛みがないとか、そんな感じか?右手を引き抜きながらしゃがむ様にして拳を避ける。そりゃ、水晶の拳は怖いからな。受け止めるのがステータス的に問題ないとしても嫌だ。それに右手が刺さったまま避けるなんて技術もないし。
「せいっ!【スラスト】!」
人形の足に短剣を突きたて、離れる。人形が追ってくるが、逃げながら矢を放つ。
「ーーーー!」
「ふっ、【ポイズンアロー】!」
カンッ!
「弾かれた………そりゃそうだよな!石に矢が刺さる訳ないよな!畜生!」
「ーーー!!」
「ぐあっ!」
人形の拳を腹に受けて体が浮き上がる。HPも一気に5分の1程減るが、
「うぐぐ、【踵落とし】!」
「ー!?」
テクニックを発動し、人形の頭に叩き込む。すると目に見えて人形のHPが減る。
「ハァッ!【ナックル】【ツインナックル】【アームドランス】!」
そして相手の怯んでいる間に一気に叩き込む。これで人形のHPが半分を切ったが………
「ーーー!!!」
当然、そんな楽に終わる訳がなく、人形が透明から黄色に変わる。同時、先程とは段違いの速さで拳を放ってきた。避けられない………!
「がぁっ!!!」
広場の端まで吹っ飛ばされる。ぐっ、パワーも段違いだ。HPが今の一撃で4分の1は持ってかれた………!
「ーーー!」
逃げ回るか?スラストが入ってるから、逃げ切れば倒せるが………
「それじゃあ、楽しくないよなぁ!【ダークアロー】!」
ちょっとした思いつきで、ダークアローに普通の矢を埋込んでみる(ダークアローは闇を圧縮したものらしい)。そしてその闇の矢を弓につがえ、放つ。
「名づけて〈ダークダブルアロー〉!」
「ーーー!」
今度は弾かれず、しっかり刺さる。足を狙ったお陰か、動きがさっきまでより遅い。すかさず同じ方法で矢を打ち出していく。
「ーーー!」
人形のHPが5分の1を切った所で人形が赤く変化し、無理矢理こちらに迫ってくる。こちらのHPも人形のHPも互いに後一撃で無くなる。この距離では弓は射てない。なら―――!
「ーーーーー!!!」
「うぉおおお!!!【アームドランス】ゥ!!!」
そして届いたのは………
「ーーー………」
「はあっ、はぁっ」
俺の、手刀だった。人形の拳を貫き、人形の頭部を貫いていた。
『Fボスが討伐されました。BBFが解除されます』
※普通のFボスはPT人数によって強さが変わります。なのでソロでも倒せるっちゃ倒せるんです。ルナ君は凄いギリギリでしたが。




