第13話:俺、リオPTに翻弄されました………
翌日、俺はボス討伐をリオのPTに手伝ってもらうことになった。そして今、フィールドの入口で待っているのだが………
「うぅ、俺、大丈夫かな、足でまといにならないかな!?うぁ、緊張する………」
そう、俺は酷く緊張していた。体感ではそこまで苦労していないものの、自分は死にスキルが5個もあるのだ。
幸い、リオ達のPTはそれなりに実力があるらしい。もう既に第3の街にも行っているらしい。
「しかし、なんで手伝ってくれる事になったんだ?」
元々はリオだけが手伝ってくれる筈だったが、何故かリオのPTの人も手伝ってくれる事になったのだ。
「お、いたいた。ルナ!」
声のする方を向くと、リオと見慣れない4人の男女がいた。恐らくリオのPTの人だろう。
「あ、リオ!それでこの人達が………?」
「おう!皆、コイツが俺の幼馴染、ルナだ」
「あっと、俺はルナ、弓使いだが少しなら近接もイケる。よろしくな」
俺はそう言うと自然に顔が綻んでいた。なんか、頼もしいなぁ。
『………(ポ~ッ)』
ん?どうしたんだ?何だかリオは苦笑しているし、他の人は固まっている。
「んじゃ、紹介するぜルナ。このデカい大剣しょってる優男がローグ、そんでその隣の魔法使いっぽいのがレイカ。んで女騎士がグウェンで、ショタさん僧侶なコイツがネイトだ。皆βからの付き合いだ。改めてよろしく~」
「よろしく、ってうわっ!?」
いつの間にか目の前にいたレイカって子が抱きついてきた。
「はぅ………可愛い」
「え?ちょ?」
戸惑っていると今度はローグって奴が近づいてきた。
「ル~ナちゃん、今度お茶でも一緒にどう?実は第2の街にいい店があるんだよねー、このボスが終わったら行けるようになるんだし、どう?」
「……ダメ、この子は私の」
「え?え?ええ?」
助けを求めて周りを見てもリオとネイトって子は笑ってるし、グウェンって人はまだ固まっている。
「リオ、こんな可愛い幼馴染がいるなんて聞いてないぜ~」
「………うん」
「本当だよー♪」
「いや、あの俺おと―――」
「ああ、スマンスマン、うっかり忘れてたんだ」
………あの………
「ほら、グウェン、起きてー♪」
「………ハッ!?な、なに?」
「君は死にスキルを取ってしまったんだね。可哀想に!僕に頼ってくれよ!僕は女の子の味方だからね」
「………良い抱き心地」
「いや、だから俺は男で………!」
「ハハハ!そう照れるなよ、ルナ。………ぶはっ!」
リオは肩を震わせて必死に笑いを堪えている。アイツ………!
「おい!俺は男だ!男なんだからな!」
俺がそう言うとリオ以外が、また固まった。なんでだ?リオは今にも笑いだしそうだ。
「ルナちゃんが、男………?」
ローグが呟くとレイカやグウェンはもう一度固まり、ネイトは「嘘でしょ」と、目を見開いていた。
▼△▼△▼△
「さて、それじゃボスな訳だが………ルナが虫苦手なの忘れてた、スマン」
「別にいいけどさ………」
今こうして手伝ってくれてるわけだし。
「まずは俺とローグが突っ込む。グウェンは後衛の護衛を頼む。レイカとネイトはいつも通りだ。そんでルナも後衛。無理はするな」
森の広場の少し前でリオが説明してくれた布陣。なんとか足手纏いにならないようにしなきゃな。
「………大丈夫」
「へ?」
「………私達なら、ここのボスぐらい簡単、そう緊張しなくても、いい」
「うん、そうだねー♪」
「後衛は私が守るから大丈夫よ」
「レイカさん、ネイト、グウェンさん………ありがとう!」
思わず笑顔になる。皆優しいなぁ。
「………嘘だろ………」
後ろでまだローグがつぶやいていた。




