第12話:俺、料理しました(じっくり煮込んだトロトロシチュー)
「うぅん、んむ?」
気が付くと、俺は神殿の様な場所の祭壇前に倒れていた。
「ここは………」
「始まりの街、アトラにある教会ですよ」
声がした方を向くと、そこにはNPCのシスターさんが立っていた。あの巨大クワガタじゃなくて心の底からホッとした。銀髪で紫色の目をしたグラマラスな美人さんだ。
神殿じゃなくて教会ね。死に戻るとここで復活するのか。
マップで確認すると、この教会は街の北にあるようだ。
「私はシスターのマリアと申します。以後、よろしくお願いしますね?」
「あ、はい。よろしくお願いします」
「あら、貴方の名前は教えてくださらないのかしら?」
「す、すみません!俺はルナです!」
な、何だ!?NPCってこんなにリアルだったか!?実は人が操作してますって言われても信じられるぞ………
「ルナさんですか、いい名前ですね♪では、まずは視界の左上に表示されている数字が見えますか?」
「あ、はい」
赤い文字でDP:1.00と表示されている。あ、今0.59になった。
「それはデスペナルティの残り時間です。基本的にデスペナルティは一時間ですが、色々な要因で長さは変動します。例えば相討ちなどの場合、時間は20分程に軽減されます」
「デスペナルティか………」
「はい、効果としては、全ステータスが半減し、スタミナの減りが激しくなります」
うわっかなりキツいなぁ。時間もそれなりに長い。
「以上でデスペナルティについての説明は分かりましたか?」
「はい、ありがとうございました」
「では、次に教会について説明します。
まず、ここでは呪われた武器などの解呪が有料で出来ます。費用は呪いのLvによります。
次に、スキルの取得です。スキルクリスタルというアイテムを頂ければ無料でスキルを取得可能です。ただし、装備出来るスキルは最大で15個なので気を付けてくださいね。それ以降に取得したスキルは自動的に控えとなります。装備しているスキルを変える時も教会にいらしてください。こちらも無料で承っております。
最後にもう一つあるのですが、まだ貴方には早いでしょう。強くなってまたいらしてくださいね。以上で説明は終わりです。分かりましたか?」
「あ、ああ………」
なんとか理解出来たが、なんというマシンガントーク。こういう所はNPCなのだなと実感する。人間なら舌を噛んでもおかしくない。
「それではいってらっしゃいませ。神のご加護がありますように」
▼△▼△▼△
とりあえず、DPが無くなるまで適当に街をぶらつく。
「暇だ………ん?」
ある店を見つけた。NPCの店なのだが、食料品を売っていた。
「うーん、料理スキル試してみるか」
店の中はスーパーの様になっていて、カウンターの近くには調理器具セットなる物も売っていた。調理器具セットは2000G、俺の手持ちは3200G………
「毎度ありぃ~」
結局買ってしまった。残りの1000Gも食材を買って消えた。残額、200G………
「やっちまった………」
まあ、調理器具セットの品揃えはとても良かったし、食材も手に入ったのだから、料理スキルを上げてみる事にする。宿を取り、自室で作る事にした。現実と違い、食材や食器を洗ったりする必要がないのでとても楽だ。野菜と肉を切り、肉から炒めていく。現実と同じように作れば問題ないようだ。ちなみに作りたい料理を思い浮かべれば、作り方が浮かんで来るのが料理スキルのようだ。他にもどうやら千切りやみじん切り、焼き加減の調節など半自動化も出来るようだ。
「出来た!」
そして俺が作ったのは………
〈シチュー:スープ:食品〉
・ランク3
・ルナの手作りによる1品。素材の味が生かされていてとても美味。
「へぇ、ランクなんてあるのか。上手く出来て良かった」
食べてみると、殆ど現実と変わらない感じがした。まあ、特別な材料は使ってないし、違うといえば満腹感が無いという事ぐらいか。
「ん?今の料理だけで料理スキルが2Lvも上がってるな。よし」
そろそろデスペナルティも消える。が、今からではあまり出来る事はないし、夕飯の準備があるのでログアウトする事にした。
「明日は諒貴に頼んで一緒にボス討伐してもらおう………」
ルナ君は料理が上手なのです。ちなみに料理のランクは1~10まで有ります。そうするとランク3というのは低い様に思えますが、店売りの最低ラインの食材ではランク5を出すのが精一杯なのです。今は料理スキルのLvが足りず、ランク3となっています
ルナ「ウサギ肉とかも料理してみたいなぁ」
角兎「クィ!?」




