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真逆な姉妹の普通の日常※挿絵追加  作者: 豚骨
~ 真逆な姉妹の普通の日常 ~
7/21

番外編 過去ゆえの現在(いま) 前編

本筋に含まない番外編です

美紀小学5年

優樹奈小学6年くらいの頃の話。


思いのほか長くなったので前後編

※基本美紀視点

※2 10/11 AM 5:35 一行目文章改訂

わたしは燃える火を前に昔を思い出していた。

わたしの中で一番暖かくて、一番優しくて、一番大事な思い出

小学校くらいの頃だっただろうか、昔のわたしはただのお姉ちゃんっ子だった。


お姉ちゃんは昔から何でも出来た。

家のお手伝い、お使い、勉強

そのどれもをお姉ちゃんは要求されるレベルを数段越えてやってのけた。


親が忙しく、夕ご飯が遅くなりそうなときは、お姉ちゃんが代わりに作った。

親の分をラップで保存しておいて、置き手紙を残すところまでお姉ちゃん一人でやった。


親が買い忘れた物を代わりに頼まれた時は、頼まれた物以外に、

家の切れそうな食材・調味料、全て覚えて行き、全て買って帰った。


テストで学年トップを取ったこともあった。

当たり前だけど、親はそれを褒め称える


その頃のわたしにはそれが気に入らなかったらしい。

多分、お姉ちゃんが全部やってしまって、親の関心をさらっていったのが、

嫌だったんだと思う。

ある時、どういうきっかけで言ったのかは覚えてない。

だけど


「お姉ちゃんなんて大っ嫌い!わたしから全部奪わないで!!」


そう言ってお姉ちゃんを傷つけた事はハッキリと覚えている。

今考えたら、おかしな話。

守られてたわたしが、守ってたお姉ちゃんを酷く傷つけるセリフを吐いたんだから。

それでも、そんな事を言ったわたしに、

お姉ちゃんが言ったこともちゃんと覚えてる。


「大嫌いでも構わない、美紀が私を避けても構わない。

でも、私はお姉ちゃんだから、美紀が怒られる姿は見たくない。」


その言葉で、馬鹿なわたしはようやく守られていた事を自覚した。

その頃のわたしは酷く馬鹿で、不器用で、おっちょこちょいだった。

本当に酷いレベルで。


料理をすれば皿を割り、

お使いをすれば品物を間違え小銭を落とし、

勉強を頑張ればテストの当日に寝坊して0点だったり


上げればキリがないけど、酷かった


わたしは、その失敗で親に叱られる事も多かった


ある時、わたしが頼まれたお使いにお姉ちゃんが急に着いてくると言い出した。

二人で買い物は珍しくもないので、親もOKを出し二人でお使いに行った。


ただ、そのお使いでの金銭の管理はお姉ちゃんがしたし、メモのチェックもお姉ちゃんがした。

わたしといえば、力はお姉ちゃんに比べればあった方なので、もっぱら買い物カゴ持ちだった。


そうして終えたお使いでは、久しぶりに親から叱られる事は無かった。

もちろんお姉ちゃんのお陰っていうのは、馬鹿なわたしでもわかった


「わたしの為に着いて来てくれたんでしょ?ありがとう、お姉ちゃん」


「別に気にしなくていいよ。いつも叱られるのは可哀想だし」


「い、いつもじゃないもん!」


「へぇ~?私の記憶が正しければ、今週はまだ叱られてしかなかった気がするんだけどなぁ~?」


お姉ちゃんが悪戯を見つけたみたいに、ニヤニヤして言ってくる


「……お姉ちゃんの勘違いだもん。」


「そう?分かった、そうしとくよ」


「う~……」


「拗ねない拗ねない」


苦笑いしながら、わたしの頭をあやすようになでるお姉ちゃん


「子供扱いしないで~!!」


そう言いながら、両手でお姉ちゃんの手を払いのける


「ごめんごめん。ほら、ご飯の前にお風呂入るんでしょう?私はいいから、先入っちゃいなさい」


「あ!そういえばそうだった。じゃあ、先入るね」


「はい、いってらっしゃい」


お姉ちゃんに見送られ、お風呂に入り、

ちょうど30分くらいで上がったわたしは、お姉ちゃんを呼びに部屋まで行った


「お姉ちゃ~ん。上がったよ~~」


『う~ん?分かった~』


お姉ちゃんにそう伝え、自分の部屋に戻ったわたしは


「さて!今日のお手伝い日誌を書きましょう!」


日課にしていたお手伝い日誌というものを出し、書き始めた。

これは小学3年から使っている物なので、かれこれ2年の付き合いになる

ページもぎりぎりだった気がする。


「今日は、お姉ちゃんと、お使いにいきました。久しぶりに怒られなかったから、嬉しい。……っと、こんなもんかな?」


いつも短文とお手伝いをした日付だけなので、こんなものだった


「さて次は…ドーン!」


学校から持って帰ってきた辞書に教科書、ノートの山


「ふっふ~ん、これで勉強しまくって、お姉ちゃんとお母さんの鼻を明かしてやるんだもんね」


そう言い、その日も夜遅くまで勉強をしていた。

一番大事な思い出の日の前日、珍しくわたしが頑張ったテストが帰ってくる前日


「またお使い~?」


その日はまたもお母さんからお使いを頼まれた


「いやまさか小麦粉がないなんて思わないじゃない?」


「いや、確認してから買いに行ってよ…」


「とにかく、またお願いしてもいい?優樹奈と一緒にさ」


「…わたし一人で行く!お姉ちゃんが居なくても大丈夫!!」


「え~?またお金失くさない?」


「失くさない!」


「物間違えない?」


「間違えない!!」


「はぁ~、わかったわよ。じゃあこれ、お金ね。間違えないでよ?小麦粉よ?」


お母さんから、200円を受け取り、走り出す。


「分かってる!!じゃあ、行ってきまーーす!!」


「行ってらっしゃーい……あ、強力粉って伝えるの忘れちゃったわ」

「優樹奈~~?」


「ん?なに?」


「今美紀にお使い頼んだんだけど、伝え忘れた事があって、伝えてきてくれない?」


「え、私本読んでるんだけど?」


「お願いできない?強力粉だよって伝えるの忘れちゃって」


「なんで忘れるかなぁ…分かった、行って来るよ。」


「ありがとう優樹奈。助かるわ」


「はいはい、じゃあ行ってきます。」

「えーっと、小麦粉…小麦粉…」


小麦粉ってどこですか。

わたし行き付けのスーパーで迷子です


「なんでこういうときに限って店員さんって居ないのかなぁ~」


誰だって経験があるだろう。

何か聞きたい時に限って店員が居ない


「あ、あった!…ってこれどっち?」


二種類のパッケージで

『薄力小麦粉』

という物と

『強力小麦粉』

という物が置いてあった


「二種類あるなんて聞いてない…取りあえず安い方でいいのかな?」


薄力小麦粉という物が98円

強力小麦粉という物が198円


それなら…


「あぁ~!美紀ストップストップ!!はぁ…はぁ…」


「お姉ちゃん?」


お姉ちゃんが肩で息をしている

そんなに急いでどうしたんだろう?


「はぁ…はぁ…えーっと、そっちの強力小麦粉ってやつにして」


「でもこっち高いよ?」


198円だ。薄力小麦粉が2個買える


「大丈夫。お母さんが伝え忘れただけで、そっちで合ってるから」


「そうなの?」


お母さんめ


「ふぅ…それじゃ、買って帰りましょう」


「分かった!!」


お姉ちゃんとレジに向かう途中で気になった事を聞いてみた


「ねぇ、お姉ちゃん?」


「なに?」


「あんなに肩で息するぐらいに急いでどうしたの?」


普段のお姉ちゃんでは考えようも無いくらい、急いできたことが分かるくらいには呼吸が荒かった


「…なんでもないわよ。美紀は気にしなくていいの」


「え~、気になるよ~教えてよ~」


「ダーメ。美紀が高校生にでもなったら教えてあげる」


「え~、まだ5年も先じゃん!」


「そう、つまりは時の流れにまかせて忘れさせてしまおうと」


「ひどい!!」


「ゴメンゴメン。でも、これだけはホントに駄目。分かって?」


お姉ちゃんがこんなに言うとは珍しい


「うーん、お姉ちゃんがそんなに言うなら分かった」


「ありがとう。美紀は良い子ね」


「なんかお母さんみたい」


「あらそう?おほほほ」


「オバサンくさい」


「この」


「いてっ!」


「ふふ、じゃあ帰りましょう」


「あれ、お会計は?」


「もうすんだわよ」


「あ、待ってよー!」


そうして帰路につき、残りの時間はいつも通りの時間を過ごし、

ついにテストの日がきた。

後編は近日中に

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