2. 自室にて勉強会
一話の美紀視点いこうかと思いましたが、
内容の順番的に一話の美紀視点は3話か4話になりそうです。
さて、準備といっても教材とか、宿題は美紀が持ってくるはずだし、
実際問題私は待つだけだ。
「暇だな……」
私は待つのは苦手だ。
何をしていいか分からないもの
相手が何分遅れるとかメールしてくれていたら、
それに合わせられるけど。
そんな記述なんか無い事が多い。
それにもし、何かをやり始めてそれが長時間掛かってしまってしまったとしたら、
逆に相手を待たせることになるかもしれないし、
仮にその長時間掛かっても相手が来てなかったら少し不機嫌になってしまうかもしれない。
そういう理由から、私は誰か・何かを待つときは決まって
「おっねぇ~ちゃ~ん!!来たよ!!!………部屋の真ん中に突っ立って何してるの?」
そう、突っ立ってることにしている。
これなら何かに時間を取られる事もないし、ボーッとしてるだけで、
大丈夫というお得仕様なのだ。
「美紀を待ってたんだよ。ほら、私は教える側だから特に用意もないしね」
弱点は待ち時間によっては足が物凄く痛くなるのと、相手に待たせてしまった感を与えること。
「待ってたのはさすがに分かるけど……なぜ棒立ち?」
「一番ローリスクローリターンで、安全な結果が訪れるから。」
「ローリングバスター?」
「回転しながら相手を地面に叩きつけるのか。よし、美紀で実験してみよっか?」
「ごめんなさい!ごめんなさい!勉強しましょう!そうしましょう!」
涙目で謝りながら美紀が教材類をこちらに捧げるかのように突き出してくる。
「よろしい。」
謝るくらいなら最初から馬鹿なこと言わなければいいのに。
「それで?宿題ってどのくらいなの?」
「えーっとね………」
そんな感じで美紀との勉強会が幕を開けた……
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「そういえばさ」
勉強会を初めて、小一時間した頃ふと疑問が浮かんだ
「ん?」
「なんで急にお風呂に突入してきたの?」
今までお風呂場突入なんてしたことないのに随分と急だ。
いやまず、お風呂場突入に急以外無いが
「そりゃもちろんお姉ちゃんの裸体が見たかったからで」
は?
「死ぬ?」
「すいませんもういいませんからその右手に握りしめたハサミを降ろしてくださいお願いします。」
「はぁ~…んで、ホントのとこは?」
「いやさとっちにさぁ~、最近お姉ちゃんと触れ合えてないよ~~って泣きついたら、
風呂場に突撃でもして襲っちまえって言われて」
妹が言う『さとっち』とは、美紀の級友の『内原里美』という女の子の事である。
いつも本を読んでいるため、物静かという印象が強い。
うちに遊びに来ても本を読むくらいには本が好きみたい。
っと、今はそれじゃないそれじゃない。
「それで?あんたはそのとおり実行したと」
「じぐざくとりぃ~」
「イグザクトリね。っていうか触れ合うとか、頭撫でるとかしかしてきてないでしょ。なんでいきなり裸体なのよ」
「こう、触れてもらったら、触り返したい!みたいな?」
「次からあんたの頭やすり持ったまま撫でてあげようか?」
「ひっ!な、なんで!?真面目に答えたのに!?」
「動機が不純すぎる」
まぁ、お風呂場に突入なんてした時点でまともな動機は期待してなかったけど。
「わたしは真面目だよ!?」
「あんたの真面目は私の不真面目」
「ひどいっ!!」
「ほら、手が止まってる。そのページ終わったら今日は止めにしていいから。」
最初はエンドレスで軽い仕返しをするつもりだったのだがこの妹、
高校も始まって3ヶ月がたつのに、3か月分の宿題に一つも手をつけてないのだ
だから量が尋常じゃない。
その量を一日は無理なので、何日かにに分けることにした
………美紀には今言ったけど
「"今日"は?ってことは明日も?」
美紀が若干青くなった顔をこちらに向けて言う。
「もちろん。こんな量一日じゃ終わらないし、このまま帰しても美紀やらないでしょ?」
「モチのロン!面倒くさい!!」
「だから、私が何日かにわけて監督することにしたの。」
「そんなぁ~、鬼教官~~」
美紀がまた若干涙目だ
「鬼教官て…じゃぁ、仕方ない。その日設けられたノルマをクリアしたらご褒美をあげよう」
「ご褒美?」
「そ、取りあえず今日の最終ノルマはそのページを終わらせること。そしたら一緒に寝てあげる。」
「先生、終わりました」
言い終わったのと同時かそれより早いくらいに美紀がノートを渡してくる。
………って、もう?
「え?」
終わったって今さっきまで1ページの半分強残ってたんだけど…
「お姉ちゃん?」
「ん、あ、ああ。見せて」
ホントに全部終わってるし…
「大丈夫?これでご褒美?」
「え?う、うん。いいよ、約束だし今日は一緒に寝ようか」
「やった!!!」
そんなに喜ぶことかな?
「それじゃ、今日はこれで終わり。美紀お風呂は?」
「ふっ、こんなこともあろうかと既に済ませてあるのさ!」
「……用意周到は良いことだね」
「ささ!お姉ちゃんもう23時になるし寝よ寝よ!」
かなりはしゃいでるような美紀に腕を引っ張られて転びそうになる
「っとと、そんな一緒に寝るくらいではしゃがなくても」
「だってお姉ちゃんと寝るの久し振りだもん!」
「どこの姉妹も、普通じゃもう添い寝なんてしないでしょ」
「じゃあわたしは例外だね!お姉ちゃん大好き!!」
そう言いながら、今度は私に抱きついてくる美紀。
「はいはい、私も美紀が大好きよ。妹に好かれてお姉ちゃんは光栄です。」
「……少しくらい分かってくれてもいいじゃない」
「ん?美紀何か言った?」
何か胸元で美紀がもごもご言ったのだが上手く聞き取れない。
「お姉ちゃんの胸は大きくて羨ましいなって言ったの!!」
「いや、そんな大きくないわよ。」
未だ発展途上だと思われる美紀の身体にそっと目を向ける。
………合掌
「なんか物凄い失礼な想像しなかった?」
こやつはエスパーか
「なにも?美紀は子供っぽくて可愛いなぁって」
「こど…!子供っぽいって酷い!わたしは大人っぽくなりたいのに!」
「はいはい、あと二年もすれば美紀も大きくなるわよ。色々」
「色々!?色々って!?」
「はーい電気消しまーす。」
「え、まだ話は終わってないのに!」
「いますぐベッドに入らないと、ご褒美は取り消されます。」
「ヘイカモン!お姉ちゃん!」
またも神速のような速さで美紀はもうベッドに居た。