表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真逆な姉妹の普通の日常※挿絵追加  作者: 豚骨
~ 真逆な姉妹の普通の日常 ~
16/21

12.学校!! SIDE:美紀

優樹奈視点より、所々の台詞回しを変えてあります。

特に深い意味は無いのですが、なんとなくです。

「お姉ちゃん急いでー!遅刻するよー!」


多少手加減した速さで走りながらわたしはお姉ちゃんを催促する


「お姉ちゃんはそんな早く走れません!もうちょっと遅く!」


時間が無いから走ってるんだけどなぁ~…


「遅くしたら遅刻するけどいいのー!?」


「誰のせいよ誰のー!」


うぅ…面目ない…

そもそも、わたしが寝坊しなければ走ってないわけで…

お姉ちゃんに無理させちゃってるよなぁ…

結構憂鬱になりながら、腕時計をふと見てみると、

もう8時25分になろうとしてる


「げっ、あと5分しかないよー!」


「そんだけ!?」


お姉ちゃんの焦った声が聞こえて、速度を上げるべきか悩む。

わたし自身はまだ大丈夫だけど、お姉ちゃんはあんまり激しく動かさせたくない。

また喘息が起こっちゃう可能性もあるかもだし、どうしよう…


「美紀ストーップ!!!」


そんなことを考えながら走っていたら、急にお姉ちゃんが大声で呼び止めてきた。


「なぜに!?」


突然の呼びかけに急ブレーキを掛けてとまる。

正直もう時間無いんですが、もしかしてもう諦めてゆっくり行こうとか?

それともこのままサボってどこか遊び行こうとか?

どちらもウェルカムだけど?


「はぁ…あそこの時計、見てみなよ」


時計?

疑問に思いつつお姉ちゃんが指差す大きい時計を見る。

8時じゃん…あれ?


「まだ全然時間あるじゃん。なんでわたしたち走ってたの?」


「つまりは、お母さんに引っ掛けられたのよ。なんか妙に嬉しそうだと思ったら…」


ぶつぶつとお姉ちゃんが不満げに呟いてるけど、

とにかく、わたし達は引っ掛けられただけ?


「あー、疲れた…なんで走ってたんだろう…」


「そんなに疲れるかなぁ?わたしはまだまだイケるよ!」


お姉ちゃんは少し疲れ気味だけど、わたしとしては、少し走り足りない


「あんたが体力馬鹿なのよ…はぁ…まぁ、ここからはゆっくり行きましょ」


「あいさ!」


そう返事をしつつお姉ちゃんの横に戻って一緒に歩く

戻る途中で昨日見た黒色の短髪が、視界の端で見えた


「どうしたの?」


「いや?ゆっくり行くなら隣で話ながらでもいいじゃん?……なんか来そうだし(・・・・・・・・・・)


「なんかって?」


「優樹奈ーー!!おはようー!」


………はぁ………最悪………


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おろ?妹ちゃんではないか!おはよ!」


なんなのよ、軽々しく話しかけてこないでよ。

ついでにお姉ちゃんにも話しかけないでよ


「……おはようございます、先輩」


かといって無視はお姉ちゃんの前ではしたくないので、無難な挨拶をする


「先輩なんて余所余所しいなぁ、気軽にあすみんとでも呼んでよ!」


誰が呼ぶか誰が!


「…いえ…軽々しくそういうことしたくないので」


なんなのよ、気持ち悪いな


「むー、よし!今日から一週間の課題は妹ちゃんの堅物キャラを破ることにした!」


別にキャラ付けしてるわけじゃないんですが


「はぁ~…まだ一週間課題やってるの?」


一週間課題?


「おうともさ!これのおかげで色々出来るようになってきたしね!」


「お姉ちゃん、一週間課題って?」


「ん?あ~、えっとね~…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「って感じの、ようは宿題みたいなものよ」


「なるほど」


自分に(かせ)つけて何がしたいんだろうこの人

曰く、カボチャ嫌いを克服したり

曰く、一週間で北海道を回りきるとか

曰く、トラと仲良くなるとか


「そういえば優樹奈聞いてくれよ~、朝レオが小便をいつもの場所でしなくてさ~」


「また躾し直せば?…まぁ、亜澄なら躾無しでも教えちゃうか」


考え込んでるわたしを他所に会話が弾んでいるお姉ちゃんと亜澄さん

なんかムカムカするな


「私とレオの友情は半端無いからね!一言言えば大丈夫さ!」


レオ?犬かな


「お姉ちゃん、レオって?犬?」


「あ~、名前は犬っぽいよね。トラだよ、トラ」


「トラぁ!?」


何、一週間課題で仲良くなったトラをペットにしちゃってるの?


「妹ちゃんはレオを知らなかったか~、今度うちおいでよ!いつでもレオと会えるよ?」


「い、いや、トラはちょっと…」


馬鹿じゃないの?馬鹿なの?

トラになんて会ったら食べられちゃうじゃん


「え~、可愛いよ?毛がモフモフだし、人に慣れてるから普通に大人しいし」


「遠慮しておきます」


「む~、これはまた堅物だなぁ~」


「いや、これは堅物とは違うと思うんだけど…」


亜澄さんとお姉ちゃんって結構仲良いのかな

そう思うと、またわたしの中に何か黒いものが渦巻いた気がした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「それじゃあお姉ちゃん、一年生はこっちだから」


「あ、うん。また後でね」


お姉ちゃんとは学年が違うから、下駄箱も学舎も違うから

ここでお別れだ


「バイバイ」


「お~妹ちゃん、またね~」


「…失礼します」


若干不機嫌になってしまうのはなんでだろう

亜澄さんの横を通り過ぎて自分の下駄箱に向かおうとしたとき、


お姉ちゃんを(・・・・・・)盗られないよ(・・・・・・)う気をつけなよ(・・・・・・・)


耳元で、亜澄さんが言ってきた言葉で、わたしはこの人を嫌いになった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さとっちおはよう~」


「おはよう」


さとっちに挨拶しながら自分の席に着く


「今日さ~、お母さんのせいで早く出ちゃってね」


「良い事じゃない」


「いや、朝ごはん食べ損ねたんですけど…」


「飴ならあるけど、要る?」


「いただきます!!ありがとー!!」


本を読みながら飴を差し出してくれたさとっちに感謝


「イチゴ味とは、さとっち分かってらっしゃる」


飴玉で一番美味しいのはイチゴだとわたしは勝手に思ってる

それくらい美味しいし


「そう、良かったわね」


ほぼ無関心なさとっち。

そんなに熱中するほど面白い本なのだろうか


「さとっち何読んでるの?」


「小説」


なんとも、抽象的なお答え


「中身中身」


「活字」


教えてくれる気はあるのだろうか…


「な、内容は?」


「無いよう」


……寒い…もう暖かい夏場近いはずなんだけど…


「ふふ、普通の推理小説よ。大詰めだから少し熱中してしまったわ」


「なんだ、そうなら早く言ってほしかったよ~」


「ごめんなさいね、美紀も読んでみる?」


「いえ、頭が痛くなるので遠慮させて頂きます」


昔から推理小説とか、頭脳戦みたいなものは見てるだけで頭が痛くなるのだ


「どんだけ頭使うの苦手なのよ……ほら、先生来たし前向きなさい。」


「は~い」


さとっちに諭され、前を向く

丁度そのとき、


お姉ちゃんを(・・・・・・)盗られないよ(・・・・・・)う気をつけなよ(・・・・・・・)


あの言葉が急にリフレインした。

誰があんたなんかに渡すものですか…わたしのお姉ちゃんを(・・・・・・・・・・)

つまりは、

美紀の腕時計は、針を進めてあり、

優樹奈の腕時計は、針を止めてあったわけですね


どちらの性格にも適した悪戯

この母親とは良い酒が飲めそうです(悪笑

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ