8. 合流→買い物→ご飯→?
タイトルが内容のネタバレ過ぎる
※11/6 AM:0:46 文章の訂正
家で着替えを済ませた私と美紀は、里美ちゃんと別れた
学校近くのT字路に向かって歩いていた。
「いや~、百貨店行くのも久々だね~」
久しぶりでうきうきしてるのか、楽しそうに美紀が呟いた
「そうだね、最後に行ったの先月だっけ?」
「しかも服買うだけだったから、すぐ帰ってきちゃったしね。
う~今日は遊ぶぞ~!!」
「遊ぶって言っても百貨店だよ?そんな遊べないと思うけど」
「ちっちっち~、お姉ちゃんは甘い!」
「ん?なんで?」
私がそう聞くと美紀はやたらと胸を張って
「百貨店の食品コーナーで試食を駆け巡る!!」
「ちゃんとお昼ご飯食べに行くからやめてください」
なんてことをしようとしてたのだろう、この妹は
「おろ、今日のお昼は外食?」
「うん、百貨店行くなら帰り道にファミレスあったでしょ。丁度良いし食べてきちゃおうよ」
「お~!!外食♪外食♪」
「なんかテンション高いね、美紀」
「ん~?そっかな~?まぁ、楽しい事する前が一番気分良くない?」
「言われてみればそうかも。お祭りの準備とか、旅行の前日とか」
「そうそう。ああいうのって本番よりも準備が一番楽しいんだよね。あれと一緒だよ」
「なるほどね。じゃあお出かけもそんな感じなわけだ?」
「そういうこと!!」
元気良く返事をした美紀は良い笑顔で、
さっきの"あの美紀"は微塵も感じられなかった。
「お?あれさとっちじゃない?おーい!さとっちー!!」
私より一足先に里美ちゃんを見つけた美紀が、
里美ちゃんに駆け寄りながら名前を叫んでいた。
私も遅れまいと少し駆け足になりながら、二人のところに向かう。
「里美ちゃんごめんね、遅れちゃって」
特に集合時間とかは決めずに別れたけど、待たせてしまったのだから申し訳ない
「いえ、私も今さっき戻ってきたばっかりでしたから。」
「なら良かった。…あ、そういえば里美ちゃんはなんで家に戻ったの?着替えてあったよね?」
既に出発準備を整えてたのになんで一旦帰ったんだろう
「あぁ、これを取りに戻ったんです」
そう言い、カバンから何かのチケットを三枚程取り出してこっちに渡してくる
「ん?なにこれ。…キャットランド入場券?」
「百貨店の近くの動物ショップで小さいイベントをやってるんです。その入場券ですね。」
「いいの?つかっちゃっても」
「親が勝手に知り合いから貰ってきたんです。使わないのも申し訳ないですし、使っちゃいましょう」
そういう事か、なら
「そう?じゃあ遠慮なく」
「ええ、そうしてください」
「おろ?どしたの?お姉ちゃん」
会話に参加せずどこかに行っていた美紀がチケットを見ながら聞いてくる
「里美ちゃんがイベントのチケット持ってきたから一緒に行きましょうって…あんたなんでコロッケ持ってんの?」
「あっちでなんか貰ったよ?3つ貰ったけど、一個食べる?」
「いや、いらないけど…誰に貰ったの?」
「なんかね、変なおじさん」
「捨てなさい」
「やだ!!」
「投げなさい」
「やだ!!!」
「地面に置きなさい」
「やだ!!!!」
「はぁ…変なもの入ってても知らないよ?」
「うむ!!…旨♪旨♪」
心底美味しそうに食べる美紀を見てるとなんか羨ましい
「やっぱり頂戴。」
「なんだ欲しいんじゃ~ん、はい!」
「欲しくなっただけ…ありがと」
「どういたしまして~、ほい、さとっちも」
「え、私も?」
「あれ、要らなかった?」
「い、いえ、貰うわ。ありがとう」
「どういたしまして~。…うん!普通に旨い!!」
美紀の戦利品?であるコロッケを三人で食べながら百貨店への道をゆっくり歩いていった。
ちなみにコロッケは結構美味しかった。
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「んで?そのイベントとやらと百貨店、どっち先行くの?」
「う~ん、里美ちゃん、どっち先がいい?」
持ってきたのは里美ちゃんだし、決定権は里美ちゃんだと思うけど、
「私はどちらからでも。優樹奈さんが決めていいですよ」
こうくるのはなんとなくわかってた。
「ん~~……じゃあキャットランドからで」
「お~!猫~~!!!」
「美紀ったらはしゃぎすぎよ、たかが猫で」
「ふっふっふ~、猫だからだよ!猫~猫~にゃ~」
「昔から美紀は猫好きだもんね。じゃあ行こっか」
「おーー!!」
「はい」
ほぼ同じタイミングで美紀と里美ちゃんが返事をした。
案外里美ちゃんも楽しみなのかもしれない。
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「にゃーーーー!!!」
さて、現状を整理しよう。
まず美紀
「待てーーーー!!」
もう叫びながら猫をめちゃくちゃに追い回してる。
猫は全力で逃げる。
うん、オーソドックスな追いかけっこ
別に、この場所で限って言えばマナー違反ではない。
次に里美ちゃん
「ふふ」
ふみゃー
「はっ!……たかが猫のくせに中々やるわね…ふふ」
ふにー
なんか猫とバトルしてるけど、敗北寸前。
相手は猫だ仕方ない。
里美ちゃんが骨抜きにされてるのを見るのはちょっと新鮮で楽しいけど。
最後に私だ
「…なんで私だけ猫が一匹も寄ってこない…」
一匹も来ない。
一匹も
なぜだ、邪な考えなど微塵もないのに。
ただ、寄ってきたら気が済むまで撫で回したいだけなのに
「お姉ちゃーん!!…見て!猫がこんなに!!」
走り回ってた美紀が手に持った猫をこっちに見せてくる。
しかも手に持ってるのは一匹だけど、両肩と頭にも一匹ずついる
「美紀、重くないの?」
さすがに重そう
「全然!!ん~、でもちょっと暑いかな?ほら~降りろよ~~…」
美紀がそういいながら頭を揺らすが、乗ってる猫は微動だにしない。
「駄目だこりゃ。飽きるまで待つしかないかな~…さとっちは?」
「里美ちゃんならあっちで…ありゃ、寝てる」
さっきまで猫と戯れてた里美ちゃんは、備え付けのベンチで気持ちよさそうに寝ていた
「あのさとっちをここまでリラックスさせるとは…さすが猫」
「…美紀?」
「ん?何?お姉ちゃん」
「その手に持ってる猫、持たせてくれない?」
「この子?はい」
美紀の両手で寝ていた猫を持たせてもらおうと、お願いして
受け取ろうとしたのだが、
「あ」
私の手に触れようかという時にさっと、飛び降りてどこかに行ってしまった。
「う~……」
触りたかったのに
「あはは…残念」
「はぁ~…もう今日触るのは諦める~…」
ちょっとだけ気分が落ちてしまった。
「機会があればいつか触れるって。さとっち起こして百貨店行こ?」
「そうだね……お~い、里美ちゃ~ん。起きて~」
「ん……あれ、私寝てました?」
「うん、ぐっすり」
私の代わりに隣の美紀が答えた
「そう、もういいの?」
「わたしは満足したから大丈夫だよ!!」
「私も満喫したから大丈夫だよ」
「そうですか?なら、百貨店に向かいましょう。」
「イエスボス!!」
美紀の変なテンションはいつ治るのだろう?
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「それで、里美ちゃんは何買いに来たの?」
私たちはほとんど目的無しに百貨店に来たけど、
最初から行こうとしてた里美ちゃんは何を買う予定だったんだろう
「学校で使う文房具に家の芳香剤に本、あと食品ですかね」
食品がスーパー、芳香剤と文房具がホームセンター、本が本屋さん
うん
「見事にバラバラだね」
「ええ、ですから一店舗ですむように百貨店ってことです。」
「さとっち、その量を一人で買おうとしてたの?」
「え?まぁ、そうね。ついてくる人も居ない予定だったし」
「普通にメールしてくれれば手伝ったのに~」
「え?」
「だって一人で買って帰る量じゃないよ~、歩きなのも含めてさ。ね、お姉ちゃん」
そのとおりだ、明らかに重量過多になっちゃう
「美紀の言うとおりだよ、美紀が無理だったら私でも手伝ったのに」
「えっと…すみません」
「あ、いや、別に責めてるわけじゃ…」
「まあまあ!!取りあえず、買うもの買っちゃおうよ!!」
「…そうだね、じゃあ荷物は、里美ちゃんのうちまで届けるの手伝うから、ね?」
「えっと…お願いします…美紀もお願いしていいかしら?」
「もちろん!!」
「ありがとう」
そういってお礼を言った里美ちゃんはぎこちなくてちょっと可愛かった。
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「お姉さま、私はお腹が空きました」
「何その言葉遣い…でもそろそろいい時間かな?」
買い物も終わり、そろそろ13:00になろうかという時間なので、少し遅いくらい
「そうですね、お二人はご飯どうするんですか?」
「うん、来る前に言ってたんだけど、外で食べようかって話してたんだ。里美ちゃんは?」
「私は特に決まってませんね…どうしましょう」
「あ、じゃあさとっちも一緒に食べようよ!!3人で食べたほうが美味しいし!」
「って言ってるけど、大丈夫?」
何か用事があったら申し訳ないんだけど、
「はい、私は大丈夫ですけど、良いんですか?」
「全然大丈夫だよ。お小遣いは結構余裕あるし」
「え、良いですよ!自分の分は自分で払いますから!!」
「いいっていいって。普段使い道が無くて溜まる一方だし」
「そうだぜさとっち!!お姉ちゃんがはぶり良いなんて珍しいんだから乗っといたほうが特だよ!!」
「美紀一品だけね」
「そんな!?!?」
「うそだよ…どうする?里美ちゃん」
「え、じゃあ…お願いします」
「はい、了~解」
三人分の出費
まぁ、ホントに使い道無いし大丈夫でしょう
「じゃあ近くのファミレスでいい?」
「ラジャー!」
「お願いします」
性格が現れる返事だなぁ
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「あの、ホントに大丈夫なんですか?」
ご飯も食べてゆっくりしてた時にふと里美ちゃんが聞いてきた。
「ん?何が?」
「いえ、奢ってもらって大丈夫なのかと…」
「全然大丈夫だってば。それに、それだけ食べてくれれば奢るのが気持ちいいよ」
「あ、いえ、これは!!!」
「まあまあさとっち、照れない照れない。お腹が空いてれば誰しも食べてしまうものさ…」
「美紀はさっきからキャラが崩れてるね」
「崩れてますね」
「慰めようとしたのにこの返し!?う~…酷い」
「まぁ、美紀は置いといて。ホント大丈夫だから、気にしないで?」
「でも…」
「じゃあ、今度私が何か困ってたら相談に乗ってくれる?」
「え、そんなことでいいんですか?」
「うん、十分」
「でも…いえ…でしたら…お願いします」
「了~解」
まだ少し遠慮がちだけど、なんとか飲んでくれて良かった。
「お姉ちゃんそろそろ良い時間じゃない?」
「ん~?…そだね、そろそろ帰ろうか」
気づいてみればもう15:00になろうとしていた。
人との会話とは恐ろしい。時間を忘れちゃうんだもんね
「それじゃ、お会計は私が済ませちゃうから、二人は先外出てて」
「あいあいさー!!」
「ごちそうさまです」
「どういたしまして~」
なんやかんやで里美ちゃんも結構食べてたし、
美紀も満腹みたいで、奢って良かったかな。
「お会計4200円になります」
う…パフェ食べなければ4000円で済んだじゃないか私の馬鹿…
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「お待たせ~」
外で待たせてた二人に合流する
「あ、お姉ちゃんごちそうさま~」
「すいません、ごちそうさまでした」
「いいっていいって、それじゃ里美ちゃんのお家まで荷物運んじゃおうか」
「すいません、お願いします。」
「重いやつはわたし~!!」
そういって重い食品類を美紀が率先して持ち上げた。
こういう時は結構気が利くよね、美紀も
「じゃあ私が本持つよ。里美ちゃん文房具お願い」
「え、私が一番軽いなんて…」
「いいのいいの、ほら、美紀に置いてかれちゃうよ?」
「遅いぞ~二人とも~」
ほら、もう結構遠くに言ってた美紀が大声で急かしてくる
「では、せめて袋の半分は私も持ちます。」
「以外に里美ちゃんも遠慮がちだね~、はい、そっち持ってもらっていいかな?」
「もちろんです」
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そうして、里美ちゃんと荷物を分担して持ち、家まで送り届けて自宅に美紀と帰る途中
「あ、美紀」
「ん?どしたの?」
「私ちょっとトイレ行きたいからそこ寄っていい?」
「いいよ~、じゃあ、私雑誌読んでるからちゃちゃっとね~」
「うん、分かった。」
帰り道の途中にあった本屋に立ち寄り、トイレを借りて
美紀の所に戻る
「美紀~、お待たせ」
「う~?お~、じゃあ帰ろっか」
「うん」
二人で本屋を出て、再び帰り道を歩き始めて3分ちょっと
「お?君たちどこか行くところ?俺らも混ぜてくんない?」
ひたすらに面倒くさいのに絡まれた
スーパーとかデパートの試食巡りは最高ですよね。