表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真逆な姉妹の普通の日常※挿絵追加  作者: 豚骨
~ 真逆な姉妹の普通の日常 ~
11/21

7. 学校が休校になった!百貨店行くのでお家で着替えましょう。

遅れました。

続きです。


百貨店は8話です。

なんか短い上に切りどころ悪くてすみません。

「ねぇ、誰なの?あの女の人」

私の知ってる美紀だけど、私の知らない美紀で


「ほら、短くて黒い髪の人。誰なの?」


こんな風に、暗い目をしながら詰め寄るような美紀を私は知らなくて


「なんで答えてくれないの?わたしには言えない人なの?恋人とか?」


あまりの状況に困惑しきった私が言えたのは


「美紀は…何をいってるの?」


なんてありきたりのセリフで、言いたかった答えも言えなくて


「何って、お姉ちゃんのプリクラに一緒に写ってた奴だよ」


今さっき、里美ちゃんと一緒に居たときも"プリクラ"って単語でおかしくなってた。

もしかして


「プリクラって…もしかして箱から無くなってたのって美紀のせいなの?」


「だってお姉ちゃん、どこの誰とも知れない奴と楽しそうに撮っちゃってるんだもん…だぁ~かぁ~らぁ~」


「……」


「燃やしちゃった♪」


凄く楽しそうに、凄く愉快そうに、凄く爽快そうに

暗く濁った瞳で笑い、美紀はそういった。


「燃やしたって…あんたお姉ちゃんの大事な物燃やしたの!?」


「うん、だって邪魔だもん」


邪魔?


「邪魔って、どういうこと?」


「わたしとお姉ちゃんの間に、あんな物邪魔なんだよ」


「あんな物って…人の大事な物燃やしておいてそんな事どうして言えるの!?」


さすがにあんまりな言い草だ。

普段の美紀ならドジをして燃やしてしまったとか、千切れてしまったとか、

そういった、所謂"事故"で物を失くしたり、壊したりしたことはすぐ謝ってきたのに

今回に限ってはこれだ


「お姉ちゃんだって要らないゴミは燃やすでしょ?」


要らないゴミって……っ!!


「あんたいい加減にしなさい!!」


パシンッ!!


大事な物をゴミと言われて、頭に血が上った私は自分の取った行動が理解出来ていなかった。

それはまた美紀も同じで、


「…え?…なんで?…わたし?…え?」


(はた)かれた頬を押さえながら混乱していた。


「そんな。私…なんで?…」


叩いた右手が嫌にヒリヒリとした痛みを主張してきたのが、

また現実を叩きつけてきた


「み、美紀。私、こんなつもりじゃなくて…その…」


「………」


私が謝り始めた時には、美紀はうずくまってしまって、どうしようもなかった。


「ご、ごめんね?美紀。…いきなり叩いちゃって…でも美紀だって…美紀?」


「……い………ない…………くない」


「美紀?大丈夫?」


うずくまったままずっとブツブツ言い続けてる美紀。

絶対おかしい。でもいつから?


「美紀?」


どこか変なところを叩いちゃったのかもしれない。

そう思った私はうずくまった美紀に近づいた


「どこか変な所に当たった?大丈夫?」


「…ない………くない………」


「なに?」


「嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない………」


美紀はうずくまったまま、ずっと"嫌われたくない"とだけ念仏のように言い続けていて、

少しだけ、気味が悪かった


「美紀?お姉ちゃんは美紀を嫌ったりしないよ?」


「…………ホント?…でも、燃やしちゃったよ?」


顔を上げた美紀の目にさっきの暗さは無く、

普段の美紀で少し安心した。


「プリクラはまた撮ればいいし、今度から言葉遣いに気を付けてくれればいいよ」


「……うん」


やっと普段の美紀に戻って一安心だ。

手を貸しながら美紀と一緒に立ち上がる。


「頬…ごめんね。ちょっと赤くなっちゃってる」


「え?いいよ!これくらい、ほうっておけば治るよ!」


「駄目です。里美ちゃんにメールして、少しだけ遅れるって伝えましょ」


「どして?」


「頬冷やさないで行く気?」


「大丈夫じゃない?」


うん、いつもの美紀だ


「大丈夫じゃありません。ほら、着替えてきて。私は冷やすもの出しておくから。」


「ぶ~~…分かったよ~」


面倒くさそうにしながらも、家に入る美紀。

さて私もさっさと用意して着替えなくちゃね


「あ、そうだ。お姉ちゃん」


美紀が靴を脱ぎ終え、私もちょうど脱ぎ終わろうかというときに、

階段の近くから顔だけひょっこり出して声を掛けてきた。


「なに?」


私が返事を返すと、とても楽しそうに笑い


「"今度あの女の人とプリクラ撮る時は、わたしも一緒じゃなきゃいやだからね?"」


そういった。

またあの目だ、暗くて濁った…美紀じゃない美紀の目


「良いよね?お姉ちゃん」


「う、うん。良いよ。ちゃ、ちゃんと誘うから早く着替えてきちゃって」


「やったー!約束だよ?」


「う、うん、約束」


そのままはしゃぐ子供のように自分の部屋に駆けて行った美紀


「ふぅ…」


それを見届けた私は腰が抜けてしまった。


「なんか怖いよ…あれは何?…美紀なの?…本当に?」


あの濁った目を見ていたら、本当に怖かった。

吸い込まれそうで、危ない気配もした。


「ううん…あれは美紀じゃない…本当の美紀じゃない…じゃあ何?」


いや、あれも美紀なんだ

今まで美紀本人にも自覚が無かったくらいに誰も知らないけど、

あれも美紀なんだ

じゃあ


「あの美紀が出てくる条件はなんなの?」


そんな予兆は一切無くて、今朝から突然あの美紀が出始めた

でも原因がまったく分からない。


「プリクラ?でもあれは亜澄(あすみ)が一緒に写ってるだけだし…」


全然分からない。何の条件であの美紀が出てくるのか


「…美紀本人に聞いてみる?…いや、止めておこう」


何か今美紀にこの事を聞くのは本当に危ない気がする。


「う~ん…分かんない。…仕方ない、明日亜澄にでも聞いてみよう。…言って大丈夫そうなとこだけ話してだけど」


「お姉ちゃ~ん、着替えたよ~」


そう結論づけた時上から美紀の声が掛かった。


「分かった~、冷やすもの出すから降りてきて良いよ~」


「らじゃ~」


考えを切り替えよう。

学校も無くなってるし、今日はこれから美紀と里美ちゃんと私でお出かけだ。

プリクラ一枚で美紀をこんなにしてしまって良かったのだろうか

後に直接ご対面させる気ではあるけど、その時に刺しちゃわないか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ