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第十三話

布団に入ると涙がつーっと流れた。

どんどん悲しくなってきて、嗚咽がもれる。

あたし、利用されてただけなんだ。

それはわかってた。

あたしが死神が見えるから助手を任されて…ただそれだけ。

でもそれでよかった。

問題なのは、死神さん自身があたしを利用してたとはっきり言ったこと。

ものすごく…ショックだ。

死神さんのあの時の声が何度も何度もよみがえる。耳を塞いでも聞こえる。

そのたびに胸が引き裂かれる感じがする。

いつのまにか泣き疲れて寝てしまっていた。起きると朝。

寝たらスッキリするわけでなく、逆に憂鬱さがもっとひどくなっていた。

学校を休もうかと思った。でもやっぱり行くことにした。

死神も何も関係ない普通の世界に安らぎを求めていた。

ナギサやクラスのみんなの顔をみると少し元気が出るかもしれない。

拓馬は…どうだろ。

拓馬が死神さんにつっかからなったら今あたしは何の悩みもなくいれるはずだけど、拓馬には嫌悪どころか好感を抱いていた。

あんなに心配してくれてたんだ。

自分のためにあそこまで真剣に、人ならざるものに怒りをぶつけていた。

拓馬けっこうかっこよかったな。

それでもやっぱり、死神さんには叶わない。

利用されてても、あたしはまだ死神さんへの感情は捨てられなかった。

もうこれは体の一部なんじゃないか。重症だな。

死神さんに真実を確かめなくちゃいけない。

聞いて、それから今までのような関係が保てるかは自信がない。

しかしそれ以外にこのもやもやを解決する方法はないだろう。



12時がやってきた。

あたしは窓に腰掛けて待っている。

死神さんが来た。大きく手を振る。

空元気がばれた気がして不安になった。

いつ言おう…。

絶対今日言わないと。

明日もまたもやもやしたままになる。

それは嫌だ。

帰りに言うことにした。まず拓馬のことから聞くことにした。

それからだと、いきなり聞くよりやりやすい。

「今日も月が綺麗だね」

死神さんがこんなこと言うなんて珍しいな。いつも、柔らかな物腰だけどどこか踏み込めない冷たさみたいなのがあるのに、今日はなんだか人間みたい。

「ほんと、すごい綺麗だね…昨日も綺麗な月で、死神さんと別れた後しばらく見てた」

言おう。今しかない!

「じゃあ、聞いてた?」

「…うん」

まさか、向こうから言ってくるなんて。

あたしの決心を無駄にしてくれた。

「あの子は、拓馬って言って…あたしの幼馴染で」

「知ってる。あの子のおばあさんは前の死神助手だったから」

予想は当たっていた。

もやもやしたものは少しだけ晴れかけていた。

でもまだ一番大事なことを聞いてない。

目をつぶって一気に言う。

「それで……っあたし、その、聞いちゃって…」

ぴたりと、冷たい手があたしの唇に触れた。

「そんな辛そうな顔して言わないで」

死神さんは哀しそうな微笑をたたえて、あたしの目を覗き込んで言った。

「確かに利用してると言ってしまった。でもそれはただ単に事実で、真千子ちゃんを利用してるだけの人間だとか思ったことはないから」

「うん…」

「真千子ちゃんが必要なんだ」

「嬉しい」

死神さんの手を取ってひっぱった。

「そういえば今日は十五夜なんだよっ!お月見しようよ!」

不思議なエネルギーが溢れているのに身を任せる。

「はは、元気だな」

笑ってくれた。

よかった、ほんとにーーーー。

月明かりに照らされた死神さんの横顔をずっと見つめていた。

ほんとに、時間が止まればいいのに。





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