第3話:最終話 パーティー当日
パーティー当日、
ミリアーヌの所にもリリアーヌの所にもお互いのエスコート役の方からドレス等が届いていました。二人はそのドレスを纏い、パーティーに行くことになりました。
私はというと、エスコート役が父ですから無難なドレスを着てパーティーへと行きます。
それでも、パーティーなど久しぶりなので家の使用人が張り切って「お嬢様をどこの誰よりも美しくするのです!」と鼻息荒く朝から磨き上げられました。
家族や使用人たちは「「キレイ!」」と太鼓判を押されましたが、贔屓目でしょうか?世間の目はわかりません。
「コースワロー辺境伯爵家の皆様の入場です!」
という声で、私達は一斉に入場した。
まずは私と父。
「何アレ?何年前の流行?色も無難じゃない?」
私の評価ではなくドレスの評価ね。
父は「気にすることはないぞ」と言ってくれましたが、そもそも気にしていません。有象無象というのでしょうか?
続いてミリアーヌと騎士団長様
「誰にも靡かなかった騎士団長様が……」
と、ミリアーヌそっちのけのようです。
続いてリリアーヌ。
「誰あれ?平民じゃない?この場に平民を連れてくるなんてナンセンスだわ」
そんな貴女は今後、彼の商家から買い物ができなくなるかもしれませんね。
家族で皇帝に挨拶です。
「おひさしゅうございます。コースワロー辺境伯爵家にございます。私といるのが長女のアイリ。騎士団長様にエスコートをお願いしているのがミリアーヌ、双子のリリアーヌは商家の長男であります。皇帝陛下におかれましては、ご健勝のご様子で一族大変うれしく思います」
「うむ。騎士団長が護衛の話をつっぱねるから何ごとかと思ったら、麗しい姫君をエスコートする任務があったのだな」
「恐れながら、陛下。任務ではなく好きでエスコートをしているのですよ」
ミリアーヌが真っ赤になった。
「商家とな。辺境伯の娘が見込んだ商家だ。今後成長することだろう。王家としても取引をしたいぞ。宰相、契約書を!」
彼はそこまで思っていなかったようで、驚いている。リリアーヌは予測していたのだろうか?平然としている。
皇帝の後ろにたたずむ皇子だろうか?私に話しかけてきた。
「アイリ嬢。この後、ファーストダンスを申し込みたい。私と踊ってくれるだろうか?」
うーむ、この場合ただの辺境伯の娘の私に拒否権はない!
「喜んで!」
私は笑顔で返事をした。
皇子は第二皇子という事だ。第一皇子が現在元気なので、辺境伯に婿入り大歓迎らしい。
既に第一皇子には男児がいるので、その子の方が自分より王位継承権があると言い、第二皇子ながらも辺境伯に興味があるらしい。
しかも、騎士団に所属しているということだ。
ミリアーヌよ……どうして紹介しなかったんだ?騎士団長様よりも優良だと思うが?
イケメンの超良家。というか王家の次男。かなりの優良物件。何か問題があるのだろうか?
ミリアーヌが殿下に「女性に興味がないのかとばかり思っていましたわ」と言っていた。
それか?それなの?騎士団だし、そういう噂が流れてもやむなしか……。
それにしても、ミリアーヌは不敬にならないんだなぁ。同じ騎士団だからかなぁ?
陛下も「これを機に辺境伯の所へ婿入りしてしまえ!」とか仰るし。超優良物件だからいいけど。
辺境伯の所にある私兵団でもまれるのもまた一興。騎士団とはまた一味違うものがあるだろう。いや、婿入りが前提で辺境にいらっしゃるのだから、領地経営の勉強もしなくては。これは私もサポートしますけれどっ。
色々考えてるうちに、ダンスが一曲終わってしまった。なんてこと?!ダンスを楽しみたかった。
無念。
「ダンスがお上手ですね」というお言葉を頂いたけれど、ゴメンなさい!記憶にございません!!
「また一緒に踊りたいです」と正直な気持ちを殿下に伝えた。
「ではレディ、私との婚約を考えてくれませんか?婚約披露ではパーティーが開かれるでしょうから、その際に是非とも一緒に踊りたく思います」
なんて、ストレートな申し込みなんでしょう。
「婚約をお受けしますわ。貴方のような屈強な方でないと、辺境は守れませんもの」
こうして私は第二皇子と婚約をする運びとなった。
同時に(?)ミリアーヌは騎士団長と(年齢が離れてると思うけどいいんだなぁと思ったのは黙っていよう)リリアーヌは商家の長男の方と婚約をする運びとなった。
辺境は、私とギルバード殿下(殿下という敬称はやめて欲しいと言われてるけど、クセで…)は辺境暮らし、ミリアーヌとリリアーヌは王都に居住することとなった。
このことについて二人の妹は「「お姉様と離れることになるなんて~」」と不貞腐れていたが、いい加減姉離れをして、二人は旦那様に孝行してほしい。
私とギルバードの間には2男1女が生まれ、夫婦仲も良好な生活を送っている。
ただ……ミリアーヌもリリアーヌも子供を連れて辺境へやってくる。
「コラ、二人とも!旦那様をほったらかしにして王都を気軽に離れるんじゃありません!」
「「この子達がイトコに会いたいって~」」と、子供をダシにやってくるようになった。
旦那さま達ゴメンなさい!
「王家主催の夜会とか行かなきゃいけない時は行くから、度々ここに気軽に遊びに来るものではありません。そもそも辺境です。いつ隣国が攻めてくるのかもわからないような危険な場所です。子供には危険でしょう?そのこともよく考えて行動しますように!は?うちの子はいいのかって?我が家の子は生まれながらに辺境の土地に対応した教育を受けているのです。問題ないです。二人とも、わかりましたか?」
はぁ、この年になってもまだ妹に説教をしなくてはいけないとは……。
END
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