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第八十五話:再会

「アシュリー、もうそろそろアポロ町だ。」


「はい。」


アルクエイドとアシュリーとその一行は目的地であるアポロ町に辿り着こうとしていると、そこにアポロ町の町長であるオルコが駆け足でこちらに向かってきた


「止まれ!」


護衛の騎士がオルコが制止を命じるとオルコはすぐさま止まり、平伏した


「畏れながらロザリオ侯爵閣下の御一行でよろしゅうございますか!」


「そうだが。」


「御待ち申しておりました!」


オルコがそう言うと続々と町民が現れ、次々と平伏した。馬車扉が開き、中からアルクエイドとアシュリーが降りて平伏する町民たちの前に現れた


「出迎え大儀だ。」


「「「「「ははっ!」」」」」


「町長のオルコはおるか?」


「ははっ。」


オルコが返事をするとアルクエイドはオルコの前に立った


「来たぞ、オルコ。」


「御待ち申しておりました!」


「うむ、早速だが墓参りをしたい。」


アルクエイドの口から墓参りという言葉にオルコ始め町民たちは呆気に取られた


「お、畏れながらどなた様の事で。」


「シリウス・マンゼンだ、死んだのであろう?」


それを聞いたオルコ始め町民たちの背筋がぞっとした。まさかシリウスが死んでいた事がアルクエイドの耳に入っていたとは思わなかったようで何も言えず黙りこくった


「沈黙は肯定だと受け取りますわよ、町長。」


アシュリーがそう告げるとオルコは観念したのか正直に話すことにした


「は、はい、シリウスは数日前に亡くなりました。」


「どこにある?」


「御案内致します。」


オルコはアルクエイド一行をシリウスの埋葬した場所へと案内した。町民たちは冷や汗をかき、険しい表情でアルクエイド一行の後へ続いた。一行はシリウスが埋葬している場所へ着くとそこにはラーニャとラフィトがいた


「ラーニャ、ラフィト!」


オルコが声をかけるとラーニャとラフィトはオルコ等の方向へ視線を向けた。アルクエイドが子供たちの方へ視線を向け、話し掛けた


「ラーナ・スリザリンの子供たちか?」


アルクエイドがそう尋ねるとラーニャとラフィトは地面にあった石を拾い、アルクエイドに向けて投げた。幸い2人の投げた石はアルクエイドには届かなかったが貴族に向かって石を投げたという無礼な振る舞いをした事にアシュリーやオルコ等は驚愕した。我に返ったオルコは2人を叱責した


「何をしているんだ!!」


「「パパを返せ!」」


騎士たちはアルクエイドを囲むと同時に騎士たちは石を投げるラーニャとラフィトを取り押さえにかかった


「「きゃあ(うわっ)!!」」


騎士たちによって取り抑えられたラーニャとラフィトに騎士隊長のバニーロストが剣を抜き、2人に突き付けた


「旦那様、この者等を斬り捨てますか?」


「待て。」


アルクエイドがそう命じるとバニーが剣を引っ込めるとアルクエイドが2人に尋ねた


「返せとは・・・・まるで私が奪ったような口振りだな。」


すると2人は涙目になりつつも睨み付け、理由を話し始めた


「あんな話をしなきゃパパとママは!!」


「パパもママも困らせた!」


「あんな話?」


「お、畏れながら。」


「オルコか。」


そこへオルコがビクビクしながら理由を語り始めた


「スリザリン伯爵家の没落をこの子等のラーナに伝えた事で2人の両親の仲がギクシャクしていた事かと・・・・」


「あぁ~、そういう事か。」


アルクエイドは騎士たちに取り押さえられたラーニャとラフィットの前に近付いた後、ゆっくりとしゃがんだ


「君たちの母であるラーナ・スリザリンはな、昔はスリザリン伯爵家の令嬢、すなわち貴族の家の娘だった。世が世なら君たちも貴族の家に生まれていた。」


「「???」」


ラーニャとラフィトは何がなんやら分からず困惑していた。アルクエイドは続けざまに話を続けた


「だが君たちの母はシリウス、すなわち君たちの父と身分違いの恋に落ち、親が決めた結婚相手と君たちの母の家を捨てて、この地に逃げた。」


「わ、わかんないよ!」


「ふぅ~、つまり貴族の家に生まれた者は王国に従うと共に家と跡を継ぐために貴族の家に生まれた子供同士で結婚する決まりがあるんだ。貴族の家と家族と貴族の家に仕える従者の暮らしを守るために。だが君たちの母はその大事な役目を捨てて、君たちの父との結婚を選んだ。その結果、君たちの母の家は無くなり一家、すなわち君たちの祖父と祖母と親戚が全員死んだんだ。」


最初、話が分からず混乱していたラーニャとラフィトだったが母が家が没落し自分達の祖父母と親戚が全員死んだと聞き、驚いた


「し、死んだ!」


「なんで!」


「貴族の家同士の結婚は大事な約束だったんだ。その約束は命よりも大事で破ってしまえばその家は貴族として死んだも同然の扱いを受ける。君たちの母の実家は周囲から冷たくされ誰1人味方する人はおらず、最後は自ら命を絶った。」


アシュリーや従者以外のラーニャとラフィトやオルコ等の町民たちは貴族社会の恐ろしさを知り、愕然とした。周囲の反応を他所にアルクエイドは2人に尋ねた


「君たちに質問がある。君たちは祖父母や親戚に会った事はあるか?」


アルクエイドが尋ねるとラーニャとラフィトは「ない」と答えた


「ない・・・・か。シリウスとラーナに聞かなかったのか?」


「き、聞いたけど僕たちが生まれる前に死んだって・・・・」


「そうか。まぁ、2人からして言えるわけがないだろうな。まぁ、結果的に嘘が本当になってしまったけどね。」


「そ、そんな。」


「ラーナは君たちをいずれスリザリン伯爵家に養子入りさせようと考えていたが結果的に無駄になってしまったがな。」


「「う、うわわわわわん!!」」


ラーニャとラフィトは我慢できずに泣き始めた。流石の騎士たちもどうすればいいのかとアルクエイドの方へ視線を向けるとアルクエイドも可哀想と思ったのか2人を離すよう騎士に命じると騎士たちは2人を開放した。町民の何人かは2人の側に駆け寄り慰めていた。オルコは申し訳なさそうにアルクエイドに謝罪した


「申し訳ございません。」


「子供の悪戯だ。」


「はぁ・・・・」


「まずは墓参りだ、アシュリー嬢。」


「はい。」


アルクエイドはシリウスが埋葬された場所に道中で購入した花束を備えた。アルクエイドとアシュリーは手を合わせてシリウスの冥福を祈っているとオルコが「ラーナ」と大声を上げた。アルクエイドとアシュリーは拝むのを辞めて振り返るとそこには車椅子に乗せられ町医者のワガに運ばれたラーナの姿があった。ラーナの姿は病によって酷く痩せ細っており、アルクエイドはかつての婚約者の姿を苦々しく見ていた


「「ママ!」」


ラーニャとラフィトはすぐにラーナの下へ駆け寄ると甘え始めた


「「ママ!」」


「・・・・大丈夫?」


「「パパが死んじゃった!」」


「・・・・シリウスが。」


どうやらシリウスが死んだ事を知らされていなかったようで困惑していた


「嘘ではないぞ。」


アルクエイドがラーナの下へ近付き話し掛けた


「あ、アルクエイド様・・・・」


「随分と痩せたな、ラーナ。」


アルクエイドとラーナは婚約破棄から歳月が経ち2人は再会するのであった


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