第八十話:暴露
カーテンから日差しが差し込んできた。ベッドの中には昨日まで愛し合ったアルクエイドとアシュリーは裸のまま眠っていた。先に起きたのはアルクエイドである。アルクエイドはアシュリーの寝顔を眺めながら昨日の情事を思い出していた
「(今まで我慢してたから、爆発しちゃったわ・・・・それにしてもアシュリー、可愛かったわ♡やっぱり女の子は最高♪)」
アルクエイドは前世でも女の子大好きな同性愛者として沢山の女の子とイチャイチャしていた。現世に来ても同様であったが、愛するアシュリーとの交わりが一番だと改めて実感したのである
「う、ううん。」
するとアシュリーも目を覚ました。アシュリーは前を隠さず豊かな実った果実を前にアルクエイドは思わずゴクリと生唾を飲んだ
「おはようございます、アルクエイド様。」
「おはよう、アシュリー。」
「ふふ、アルクエイド様のスケベ♡」
「あ、あはは。」
「えへへ(*´∀`)♪」
アルクエイドのスケベな視線に気付いていたアシュリーは小悪魔な笑みを浮かべ「スケベ」と弄り始めた。アルクエイドは否定せずに苦笑いを浮かべる
「取り敢えず寝間着を着よう。」
「そうですわね。」
アシュリーが立ち上がろうとしたが足取りがぎこちなくアルクエイドにもたれ掛かった
「大丈夫?」
「うぅ、ちょっとヒリヒリします。」
「私が支えるから着替えよう。」
「は、はい。」
アルクエイドとアシュリーは人が来る前に寝間着に着替えた後、コンコンと扉からノック音がした。入室の許可を出すと入室してきたのはジュリアと侍女たちである
「おはようございます、旦那様、ゴルテア侯爵令嬢様。」
「「おはよう(おはようございます)」」
「早速、お着替えを致します。畏れながら御令嬢様は別室に御案内致します。」
「はい、では閣下。」
「あぁ。」
一旦、着替えのために別れ、アルクエイドが着替えをした。ふとアルクエイドはベッドの方へ目線をやると白いベッドのシーツに少量だが赤い染みができており改めて夢ではないことを実感するのである
「(いかんいかん着替えないと。)」
アルクエイドは悶々とした感情を振り払いつつ着替えを済ませて食卓の間に向かうと、そこには母であるユリアが先に着席していた
「おはようございます、母上。」
「あら、おはよう。昨日はお楽しみだったようね。」
「はて何の事やら。」
さりげなく昨日の情事を尋ねてきたがアルクエイドは素知らぬ振りをした。ユリアは「初孫楽しみにしているわよ」と念を押して言った
「おはようございます。」
そこへ着替えを済ませたアシュリーが現れた。アシュリーはぎこちないながらも、ちゃんと歩いていた。ユリアがアシュリーの方へ目線を変えると「昨日は眠れたかしら」と尋ねるとアシュリーは「はい、お陰様にて」と答えた
「ささ、朝食が来るから2人とも座りなさい。」
「「はい。」」
アルクエイドとアシュリーが席に座ると、そこへ朝食を運ぶ執事と侍女が現れた。ユリア、アルクエイド、アシュリーの下へ朝食が続々と置かれていった。全ての食事が食卓に置かれた後、執事と侍女たちは下がった
「さて、いただきましょうか。」
「「はい。」」
ユリアの合図で食事を始めた。今日の朝食は炊き立ての白米、野菜の入った味噌汁、ウインナー、卵焼き、ムニエル、サラダ、ヨーグルトである。アルクエイドたちが食事をしているとユリアはふとある事を思い出した
「あ、そうだ。」
「何ですか、母上?」
「食事しながらでも聞いてちょうだい。まずシリウスは朝早くから先に行かせる事にしたわ。」
「「はい?」」
「あの男は妻への復讐も兼ねて貴方たちを引っ張り出した。その罪は万死に値するわ。そこで監視付きで先にアポロ山脈に向かわせたわ。勿論、何もかも洗いざらいラーナに報告するつもりよ(笑)」
「「あはは。」」
ユリアは悪戯っ子ような笑みでシリウスを強制的に先に行かせた事にアルクエイドとアシュリーは苦笑いを浮かべた。アルクエイドとアシュリーにしてみれば自分たちを騙してここへ連れてこられた事に内心、ざまあみろと思っていたのでユリアの行いに感謝していた
「アルクエイド、アシュリー嬢、数日ここに泊まっていきなさい。そう急ぐ旅でもないんだし。それに向こうはしばらく荒れるわよ(笑)」
「「あ、はい(うわあ、えげつない(わ)。)」」
ユリアからの親切な提案にアルクエイドとアシュリーはあっさりと了承した。その後、アルクエイドとアシュリーは数日間、領地に滞在する事が決まったのである
「降りろ。」
「うう。」
ロザリオ侯爵家に仕える騎士たちに降ろされたシリウスはアポロ山脈付近の在郷町【アポロ町】に到着した。そこはラーナとシリウスが駆け落ちして居を構えた土地である。突然、町に騎士隊が現れた事で何事かと町民たちが続々と現れた
「何だ、何だ。」
「おい、あれシリウスじゃねえか。」
勿論、シリウスの事を知っている町民たちも何故、シリウスと騎士隊が一緒にいるのか訝しんだ。するとそこへラーニャとラフィトがシリウスに気付いた
「「パパ!」」
「ラーニャ、ラフィト。」
シリウスは複雑な面持ちで2人を見ていた。血の繋がっていない娘と息子らしき物体に「パパ」と呼ばれ、背筋がゾクッとした
「家に案内しろ。」
「・・・・はい。」
「「パパ。」」
「・・・・家に帰ろう。」
シリウスは子供&騎士たちと共に家に向かった。その道中で野次馬たちがシリウスを遠巻きに見てヒソヒソ話をしていた。シリウスからしてみれば居心地が悪く、針の筵のような心境であった。そうこうしているうちに木造のこじんまりとした我が家に到着した
「着きました。」
「うむ、開けろ。」
シリウスが扉を開けると中で椅子に座ったラーナが編み物をしていた。ラーナは病気で完全に痩せこけていたがそれでも子供たちのために必死で内職をしていた。そんな中で夫であるシリウスが帰ってきた事に驚き、声をかけた
「あ、シリウス。」
「・・・・ただいま。」
「・・・・シリウス、後ろの方々は?」
ラーナはシリウスと一緒にいる騎士たちに警戒した。ラーニャとラフィトは「「ママ!」」とラーナの下へ駆け寄り、抱き付いた。すると1人の騎士が事情を説明した
「我等はロザリオ侯爵家に仕える騎士隊隊長のバニー・ロストだ。」
「えっ!」
ロザリオ侯爵家に仕えるバニー・ロスト【年齢40歳、身長185cm、色白の肌、碧眼、金色の短髪、彫りの深い顔立ちの男前】と名乗る騎士隊隊長にラーナは騎士驚きを隠せなかった
「ラーナ・スリザリンで間違いないな?」
1人の騎士からかつての自分の名前を尋ねられ、ラーナは思わず身構えてしまった
「我等はロザリオ侯爵閣下の命にて先に伝えておくべき伝言があって参った次第だ。」
「ろ、ロザリオ侯爵閣下が・・・・」
かつて婚約者であったアルクエイド・ロザリオを裏切る形でシリウスと駆け落ちしこの地に辿り着いた。しかし慣れぬ環境での平民生活に耐えきれず自分に言い寄っていた地主の愛人となり、ラーニャとラフィトを出産した。勿論、表向きはシリウスとの子供という事にしている。シリウスは自分の支配下に置いているため逆らう事はあり得ない。シリウスはアルクエイドに自分の子供たちをスリザリン伯爵家の養子入りの後見人になってくれる事を期待した
「で、ではアルク・・・・ロザリオ侯爵閣下は・・・・」
アルクエイドが自分の願いを聞き届けてくれると信じていたが騎士隊隊長バニーが告げたのは・・・・
「スリザリン伯爵家は没落した。」




