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第六十四話:家族団欒

「緊張するな。」


「閣下、大丈夫ですわ。」


「大丈夫か、リネット嬢。」


「え、ええ。」


「リネット、あまり無理はするなよ。」


ゴルテア侯爵邸の客間にはクリフ&エリナ・ゴルテア侯爵夫妻、アルクエイド・ロザリオ侯爵&アシュリー・ゴルテア侯爵令嬢、レオン・ゴルテア侯爵令息とリネット・ナミリヤ伯爵令嬢とリコール・ナミリヤ伯爵がいた。因みにゴルテア侯爵邸に来訪できるように雪かきを念入りに行い道はきちんと通れるようにしている。アルクエイドの母であるユリアは領地におり欠席、リコール&リネットの父であるリースは持病の(しゃく)がぶり返し、療養のため欠席する事になった。待ち続けてから十数分後、客間に1人の執事が現れ、「大旦那様、大奥様がこちらへ向かわれます」と知らせた。アルクエイド等は早速、玄関口で出迎える準備をするとそこへ騎士隊&従者たちと一台の馬車がゴルテア侯爵邸の前に止まり、馬車扉から品の良い老夫婦が馬車から降りてきた。するとクリフが1歩、前に出て挨拶をした


「父上、母上、御久しゅうございます。」


「うむ、クリフよ。出迎え、大儀だ。」


「エリナ殿、レオン、アシュリー、息災にしていたかしら?」


「御久しゅうございます、義母上様。」


「「御久しゅうございます、お爺様、お婆様。」」


アシュリーたちに声をかけたのはゴルテア前侯爵であるルノー・ゴルテア【年齢62歳、身長178cm、白髪の混じった金色の短髪、翠眼、色白の肌、口髭、彫りの深い精悍な顔立ち】とゴルテア前侯爵夫人であるメーベル・ゴルテア【年齢60歳、身長164cm、肩まで伸びた白髪の混じった金色の長髪、碧眼、彫りの深い端整な顔立ち】である


「御久しゅうございます、ゴルテア前侯爵閣下、御夫人。」


「あぁ、アルクエイド・ロザリオ伯爵・・・・今は侯爵だったな。いやはや世間はせわしないものだ。」


「アシュリーの婚約者だと聞き、私も夫も目を丸くしたわ。」


「目を丸くしたとは・・・・成金の放蕩者が大切な孫娘の婚約者に選ばれた事でしょうか?」


「ははは、戯れを申されるな。」


アルクエイドが自虐混じりに返答をするとルノーは笑いながら誤魔化し、メーベルは苦笑いを浮かべた。アシュリーたちもアルクエイドの発言に驚きつつ、ルノーとメーベルの方へ視線を向けた


「まぁ、隠しようのない事実だから仕方がありません。今はアシュリー嬢の婚約者として女遊びは辞めております。」


「ロザリオ侯爵殿・・・・随分と食えない御方になられたな。」


「お褒めいただき恐縮ございます。」


「まあ良い・・・・さて。」


ルノーは次にリコール&リネット・ナミリア伯爵兄妹の方を見た後、アルクエイドに話し掛けた


「ロザリオ侯爵殿も酔狂な事をされる。一度、絶縁したにも関わらずレオンのために絶縁を解消するとは・・・・」


ルノーはロザリオ伯爵家を継いだ頃のアルクエイドがナミリヤ伯爵家に対して絶縁状を叩きつけた事を知っていた。それが今になって絶縁を解いた事に頭を傾げたが理由を知り、改めて借りを作る形となったのである


「レオン侯爵令息殿はいずれ私の義兄になる御方、その御方たってのお願いとなれば致し方ございません。」


「ほお~、レオンがのう。」


そういうとルノーはレオンを注視した。レオンはというと苦笑いを浮かべながら頭を下げるとルノーは「はあ~」と深い溜め息をつきアルクエイドに謝罪した


「すまんな、レオンが我儘に付き合わせてしまった。」


「いいえ、もう過ぎた事にございます。」


「そうか・・・・ナミリヤ伯爵殿。」


「は、はい!」


突然、呼ばれたリコールは思わず返事するとルノーは神妙な面持ちで尋ねた


「貴殿は宜しいのか?絶縁解消の条件がウチのレオンと貴殿の妹御の婚約・・・・いいように扱われたのではないか?」


ルノーがそう尋ねるとリコールは迷いつつも正直に答えた


「・・・・まあ、家が復活するのであれば多少の恥は止むを得ません。」


「止むを得ないか・・・・リネット嬢。」


「は、はい!」


「リネット嬢はどうなのだ?」


今度はリネットに矛先を向けるルノーに対して、リネットは「私は・・・・」としどろもどろになっているところ、妻のメーベルが割って入った


「貴方、そう無粋な事を尋ねられてはリネット嬢が答えづらいでしょう。」


「う、ううむ。そうだな・・・・すまないな、リネット嬢。」


「い、いいえ。」


「さあさあ、取り敢えず中へ入りましょう。」


メーベルに促され、全員がゴルテア侯爵邸に入った。客間に入るとアルクエイド等がソファーに座り、話し合いが行われた。まず最初に名乗りをあげたのはメーベルである


「さて、リネット嬢。レオンは貴方に一目惚れをしたと聞いたけど本当かしら?」


「は、はい。私とレオン様は国立自然公園にて御会い致しました。とは言っても私はレオン様に直接会っておらず、レオン様が私を一目見て惚れたという事をロザリオ侯爵閣下から知らされました。」


「そうなのですか、ロザリオ侯爵殿?」


「えぇ、レオン侯爵令息殿が私の下へ遊びは参り、恋の相談をされました。相手がナミリヤ伯爵家のリネット嬢だと知った時は流石に驚きました。」


「まぁ、この子ったら随分と気が早いのね、将来が心配だわ。」


メーベルは孫息子であるレオンに対して辛辣な物言いをするとレオンは顔を真っ赤にして俯いた。するとアシュリーがレオンを庇うようにレオンの助太刀をした


「まぁまぁ、お婆様。お兄様とリネット嬢との間で婚約が結ばれたのですから。」


兄を庇う孫娘の様子にメーベルは「はぁ~」と溜め息をついた後、「貴方は優しいのね」と褒めてるのか、皮肉を述べているのか、呆れているのか、どれとも取れる言動にアシュリー以外の者たちは苦笑いを浮かべた。そんな空気の中、話を変えようとクリフが話題を変えた


「まぁ、そんな事は置いといて父上、母上、新年をお祝いする際は屋敷に過ごされるのですよね。」


「うむ、ワシ等も孫たちの婚約者に会うだけではなく共に新しい年を迎えるために来たからな。」


「そうですわね、久し振りにエリナ殿、アシュリー、それとリネット嬢との女子会もしたいわ。」


「(女子会・・・・自分の歳を考えよ。)」


「何か仰いましたか、貴方?(歳は関係ないわよ、クソジジイ。)」


「う、うむ、何でもない。(直接、脳内に話し掛けおった、しかもクソジジイって!)」


2人の遣り取りを見た周囲の者「ルノーとメーベル以外」は何となく察しつつ、その後は家族団欒と思い出話を語りつつ、一日を過ごすのであった

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