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第五十八話:決別

「・・・・アン・オルビアと申します。」


「・・・・1人だけで来たのか。」


「・・・・はい。」


対面の日になり、アルクエイドは待っているとそこへ現れたのはアン・オルビア【年齢16歳、身長162cm、色白の肌、栗色のポニーテール、鳶色の目、見た目は地味だが彫りの深い端整な顔立ち、細身、美乳、控え目で慎ましい性格、オルビア伯爵の庶子(愛人の娘)】1人だけであった


「オルビア伯爵殿はどうされた?」


「・・・・多忙故、付き添う事はできないと。」


「・・・・馬鹿にしおって。」


「・・・・申し訳ございません!」


「ん、何故、謝るのだ?」


「はい・・・・私はオルビア伯爵の娘でございますが侍女との間にできた私生児です。世間体を憚るという理由で私を厄介払いしたいのです。」


「厄介払い・・・・娘として扱われなかったのか?」


「はい。母を手籠めにし私を身籠った時は堕胎するよう迫りましたが既に堕胎する機会を失い、やむなく私を生みました。オルビア伯爵は養育費は与えてくれましたが認知をせず、ずっと日陰の暮らしをしました。本妻である奥様や御令嬢の方々からは母共々、邪険に扱われました。今年、母が病で亡くなってからはどこかの家の貴族の行儀見習いという形で追い出そうと考え、今日に至りました。」


アンの口から生い立ちや行儀見習いに至る道のりを聞いたアルクエイドはアンに同情しつつ、アンの父親であるエドワード・オルビアとオルビア伯爵家の傲慢さに腸が煮え繰り返るほどの怒りを覚えた


「(最低な男ね、父親としても男としても最低な部類だわ!女を物としか扱っていないじゃない!目の前にいたらぶん殴ってやりたいわ!)」


「ロザリオ侯爵閣下、失礼を承知でお願いいたします。どうか私を雇ってくださいませ!家事は母から一通り習っております!お願いいたします!(土下座)」


アンは人目を憚らず、土下座をするアンにアルクエイドは頭を上げるよう諭した


「頭を上げなさい、アン・オルビア嬢。」


「・・・・はい、申し訳ございません。はしたない真似を致しました。」


頭を上げたアンは涙ぐんでいた。嘘偽りのないアンの表情にアルクエイドは根負けした


「・・・・私はとことん甘々のようだ。」


「え?」


「私の負けだ。行儀見習いとして貴方を雇いましょう。」


「ほ、本当ですか!」


「ああ。」


「か、感謝致します!(土下座)」


「何度も土下座しなくてもいい。」


「はい(涙)」


アルクエイドは行儀見習いとしてアンを雇った後に正式にアンとオルビア伯爵家との絶縁状を作成し送った。オルビア伯爵家からは了承する旨の返書が届いた。内容を拝読したがアンに対する思い遣りがなかったのは言うまでもなかった。アルクエイドはオルビア伯爵家に対して徹底的な報復攻撃を思案していた


「(やっぱり潰しておいた方が良さそうね。)」


オルビア伯爵家と絶縁した後、アンは平民となり母親の姓であるフレイヤの名を名乗る事となったのである


「では宜しく頼むぞ、アン・フレイヤ。」


「はい、旦那様!」


アルクエイドはアン・フレイヤとして第2の人生を歩むアンの姿を見守る一方で、アンだけを寄越し挨拶にも訪れなかったオルビア伯爵家に対して報復を実行しようとしていた


「アンだけではなく私を馬鹿にしたその傲慢さ、御返ししてやるわ・・・・ジュード。」


「ここに。」


「商業ギルドに伝えよ。オルビア伯爵家に商団を送るのを差し止めろとな、また複数の地域で飢饉が発生しているからそちらを優先的に送るよう指示してちょうだい。」


「畏まりました。」


アルクエイドは隠密からの知らせでガルグマク王国内で飢饉が起きた事を知り、此度のオルビア伯爵家の報復も兼ねて実行したのである。アルクエイドは不謹慎ながらも丁度良い時期に飢饉になってくれた事でオルビア伯爵家への報復ができた事に胸がスカッとしていた


「辺境に領地のあるオルビア伯爵領だとさぞ、不便であろうよ、ふふふ。」


アルクエイドはオルビア伯爵家に対して兵糧攻めを行った。オルビア伯爵領は辺境の地に領地があり、商団を差し止めたら後は干上がるのを待つだけである


「ふふふ。精々。頑張んなさいな。」






一方、オルビア伯爵家はというと厄介者を追い出した事に喜びあっていた


「私にとって生涯の汚点がようやく消えた。」


アンを生涯の汚点と陰口を叩く父親のエドワード・オルビア伯爵・・・・


「元を正せば貴方が薄汚い女狐を孕ませたのが始まりなんですから。」


アンの母親を【薄汚い女狐】と罵るのはエドワードの妻のニカ・オルビア【年齢52歳、身長165cm、色白の肌、茶色の長髪、碧眼、細身、美乳、彫りの深い端整だが神経質な顔立ち、アン&アンの母親が大嫌い】・・・・


「いなくなっていいじゃない。」


「そうよ、あんな地味女が身内だと思うと鳥肌が立つわ。」


エドワードとニカの娘であるマリ・オルビア【年齢19歳、身長165cm、色白の肌、栗色の長髪、碧眼、細身、美乳、彫りの深い端整だが派手な顔立ち、異母妹アンを毛嫌いしている】とモニカ・オルビア【年齢18歳、身長164cm、色白の肌、茶色の長髪、碧眼、細身、美乳、彫りの深い端整だが陰険な顔立ち、異母妹アンを毛嫌いしている】・・・・


「うむ、あの阿婆擦れ(アンの母親)を手篭めにしたのが失敗だった。」


エドワードは興味本位で無理矢理、アンの母親と関係を築き、身籠った時は堕胎しようと考えていたがもう堕胎する期間が過ぎてしまいアンを出産させた。口封じも兼ねて養育費を渡していた。アンの母親は病で亡くなったを機にアンを追い出す事に成功しようやく一息ついたのである


「失礼します。」


「ん、何だ?」


「実は・・・・」


執事の口から話を聞いたエドワードは「何故だ!」を驚愕した。執事は申し訳なさそうに理由を説明し始めた


「商業ギルドからは飢饉が起きた場所へ商団を送る事を優先したいとの由にございます。」


飢饉が起きた地域に商団を優先的に派遣する旨、オルビア伯爵領への派遣は差し止めるとの商業ギルドの知らせにエドワードは愕然とした。事実、飢饉が起きたのは本当の事であり、アルクエイドは事前にこの情報を手に入れ、裏で手を回しオルビア伯爵領へ商団を送る事を差し止めたのである


「それでいつ頃から再開するのだ!」


「は、はあ~、それはまだ・・・・」


「くそ!」


「貴方、どうするのですか!」


「「お父様!」」


「落ち着け、お前たち。今は領民たちにこの事を伝える方が先だ!」


エドワードはまず領民たちの此度の経緯について説明する方を優先した。今後の事については何かしらの思案を重ねたが何の方策も思いつかず苦慮し続けるのであった

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