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第四十三話:決闘騒ぎ

「「こうなれば決闘だ!」」


2人の男が決闘を始めようとした。1人はエルマンド子爵家当主のヒルズ・エルマンド、もう1人はシルフォード男爵家当主のソルト・シルフォードである。何故、決闘騒ぎとなったのかというとロザリオ侯爵邸にてアシュリーとお茶会をしていたところ、ヒルズ・エルマンド子爵が訪れた。アシュリーがいるから日を改めて来るよう伝えたがどうしても御礼がしたいと粘り続け、アシュリーは「私は構わない」と許可を得た後にヒルズとはテラスにて対面した


「ロザリオ侯爵閣下、ゴルテア嬢、突然押し掛けて申し訳ございません。」


「商団を派遣した礼を述べに来たと?」


「はい、どうしても商団を派遣してくれた事、御礼申し上げかったのです。領民たちも豊富な品々と偉ぶらず誠実に対応する商人たちの姿勢に皆々、感謝しております。」


「それは良かった。」


「旦那様。」


そこへジュードが申し訳なさそうに現れた。アルクエイドが尋ねるとジュードが「シルフォード男爵が」と答えた。アルクエイドが「またか」と苦虫を噛み締めているとアシュリーが尋ねた


「閣下、どうなされたのですか?」


「ああ、シルフォード男爵殿はマリアンヌ嬢にぞっこんなのですよ。」


「何ですと?」


真っ先に反応したのは他ならぬヒルズである。ヒルズがいた事を忘れていたアルクエイドは「あ」と声を上げてヒルズの方を注視するとヒルズは真っ先に玄関口の方へ向かった


「あ、やばい。」


「か、閣下、どうされたのですか?」


アシュリーは何があったのか尋ねると、アルクエイドは「取り敢えず跡を追う」と立ち上がり、ヒルズの跡を追った。アシュリーも気になったのか一緒に同行した。玄関口に到着するとそこには睨みあうヒルズとソルト、必死で2人を宥めるマリアンヌの様子があった


「御二方、何をしている!マリアンヌ嬢が困っているだろ!」


アルクエイドが一喝すると3人はアルクエイドの存在に気付いたのか気まずそうにしていた


「取り敢えず何があったのかお話願おうか?」


アルクエイドが理由を尋ねるとマリアンヌが「お話します」と状況を説明した。ソルトはいつものようにマリアンヌに会いに来た途端、彼女の手の甲にキスをし、愛の告白をした。マリアンヌはいつもように体よく断ろうとしたが、そこへヒルズがやってきたという。ヒルズは「彼女が迷惑をしている」とソルトを叱責した。ソルトは「私はマリアンヌ嬢を心の底からお慕いしている」と愛の告白をした。ソルトは「それが迷惑なんだ」と一喝するとソルトは「貴殿こそ彼女の何なんだ!」とそこからは睨み合いが続き、マリアンヌが必死で2人を宥めたという経緯であった


「はあ~、御二方、喧嘩なら余所でやってくれないか。ここでは私だけではなくマリアンヌ嬢にも迷惑がかかる。」


2人は罰が悪かったのかマリアンヌに深々と頭を下げて謝罪した


「「マリアンヌ嬢、申し訳ない」」


「あ、いいえ。」


「取り敢えず御二方、用がお済ならお帰り願おうか?」


アルクエイドがそう言うとヒルズとソルトはすごすごと屋敷の外へ出た


「はあ~、やれやれ。」


嵐が過ぎ去ったとアルクエイドが安心していると・・・・


「ヌーヴェル男爵家の産物を狙った盗人風情が!」


「棚からケーキが落ちたように貴族になった居候が!」


「何だと!」


「何!」


「「こうなれば決闘だ!」」


そして今に至る、屋敷を出た途端にヒルズとソルトが口喧嘩をしていた。アルクエイドは「はあ~」と溜め息をつき屋敷外へ向かい、「これ以上、喧嘩するなら容赦しないぞ!」と一喝すると2人はそそくさと自分たちの屋敷へと帰っていったのである


「はあ~。」


「閣下・・・・大事有りませんか?」


「ん、ああ、御心配なく。」


「旦那様、申し訳ございません、このような事に巻き込んでしまって・・・・」


「マリアンヌ嬢が悪いんじゃない、あの2人が勝手に決闘なんぞ騒いでいる方が悪いわ。」


それからはあれだけマリアンヌに会いに来ていたソルトは来なくなった。手紙は欠かさず行っているようでおり、どうやら別件で立て込んでおり会いにいける状況ではない事である


「そうか、前子爵夫人が。」


一方、ヒルズの方も問題が発生していた。前子爵夫人であったビアンカ・エルマンドが亡くなったと知らせが届いたのだ。夫のオルタと共にエルマンド子爵領へ移住したが息子を捨てたという自責もあってか自己嫌悪に陥り病にかかった後、あの世へ旅立ったのだという。エルマンド子爵当主であるヒルズも親類として葬儀に参加するために領地へ赴いたとの事である


「私はあの御方には良き思い出はございませんでしたが最期まで哀れな御方でしたわね。」


「マリアンヌ嬢。」


「申し訳ございません、愚痴をこぼしてしまって。」


「構わぬよ。」


それから月日が経った頃、ロザリオ侯爵邸にてある知らせが届いた。その知らせが厄介なものでジュードが耳打ちにて知らせた


「はぁ~。」


アルクエイドはその知らせを聞き、深く溜め息をついた。その知らせとはヒルズ・エルマンド子爵とソルト・シルフォード男爵が決闘を行うとの事である。どうやら鉢合わせになったらしくその場で口喧嘩から決闘になったらしい。貴族の当主同士の決闘騒ぎに野次馬と化したお歴々は集まっているとの事である


「あの馬鹿共が・・・・」


「この事、マリアンヌ嬢には・・・・」


「知らせなくていい、屋敷中にも広めてはならぬ。」


「畏まりました。」


「もう知らん、勝手にやってろ!」


アルクエイドは無視を決め込もうと思っていたが何故かは知らないが決闘の立会人として参上するよう役人がロザリオ侯爵邸に訪れたのである


「ちょっと待て。何故、私が決闘の立会人せねばならぬのだ!」


「いや、どうしてもロザリオ侯爵閣下の立会じゃないと決闘をしないとの事で・・・・まことに申し訳ありませぬが御足労願えませんでしょうか。」


「決闘しないならそれでいいじゃないか。」


「本人たちが承知しないのですよ、どうかお願い致します!」


「承知した(もう、これだから男って生き物は!・・・・私も男だったわ。)・・・・はあ~。」


役人たちは疲れきった表情で懇願する姿にアルクエイドは深い溜め息をついた後、役人たちと一緒に現地へ赴く事となった。準備をしているとマリアンヌが申し訳なさそうに謝罪した


「申し訳ございません。」


「マリアンヌ嬢が悪いんじゃない、あの馬鹿共が騒いだだけだ。」


「ですが・・・・」


「マリアンヌ嬢、留守を頼んだぞ、これは命令だ。」


「はい・・・・」


アルクエイドはマリアンヌに早まった事をしないように釘を刺した後、役人たちと共に現地へ向かうのであった




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