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第二十八話:謝罪

マリック・レイナード侯爵令息との決闘はアルクエイドの完全勝利に終わった。野次馬によって此度の決闘騒ぎは社交界に広まったのは言うまでもなくマリックの父であるマルクス・レイナード侯爵【年齢45歳、身長180cm、色白の肌、肩まで伸びた金髪、口髭、碧眼、彫りの深い端整できりっとした顔立ち、アシュリーのいとこおじ】はロザリオ侯爵邸に訪れ、アルクエイドに土下座し謝罪をした


「此度は愚息が無礼を働き、大変申し訳ない!」


「どうかお手をお上げください、レイナード侯爵閣下が謝罪するほどではありませんよ、これはあくまで決闘なのですから。」


「それでも、他の貴族の婚約に口出すとはもってのほかだ!」


「・・・・それで令息殿は?」


「あやつは此度の事で我等に恥をかかせた。今のところは一室にて軟禁にしている。」


「レイナード侯爵閣下、私としては気にするほどの事ではありません。此度の事は水に流しましょう。」


「ロザリオ侯爵閣下、本当に申し訳ない。」


マルクスは再度、土下座をした。アルクエイドはこれ以上、レイナード侯爵家との関係悪化を避けるべく謝罪を受け取り、そのまま帰らせたのである






「レイナード令息が私と閣下の婚約に異議を唱えたのは本当ですか。」


マルクスと入れ替わるように今度はアシュリーが押し掛けてきた。此度の決闘騒ぎの原因に自分が関わっている事を知り、真偽を確かめるためにアルクエイドの下へ訪れたのである


「まぁ~、そういう事になりますな。」


「はぁ~、全くマリックは何を考えているのやら。」


「アシュリー嬢、令息の事を御存じで?」


「えぇ、古くからの腐れ縁ですわ。」


アシュリー曰く、幼い頃からの幼馴染であり、会えば互いに憎まれ口を叩き合う関係だという。そのくせ、アシュリーに付きまとう事があり、アシュリーはうんざりしていたのだという。マリックが留学する事になったのはアシュリーの付きまとい行為を防ぐためだという


「留学してから少しはマシになったと思ったのですが私と閣下の婚約に口出すなんて図々しいにも程がありますわ。」


「(もしかして令息はアシュリーの事が好きなんじゃ。)」


アルクエイド(転生者)は元女の勘と経験を踏まえて一つの結論に達した。マリックはアシュリーに対して行っているのは、好きな子に意地悪する男子そのものの行動であり、要は照れ隠しで構って欲しいだけなのである。付きまとい行為については完全にストーカー行為なので辞めてほしいところだが・・・・


「アシュリー嬢、あくまで私の思い過ごしかと思うが、その令息はアシュリー嬢の事が好きなのではないか?」


「それはどういう事ですか?」


「彼が今まで行った行為は好きな子に意地悪をする子供そのものなのですよ。付きまとい行為については警戒すべき点はあるが、要はアシュリー嬢の事が好きなのですよ。」


それを聞いたアシュリーは目を大きく見開き、反論した


「マリックが私の事が好きなんてありえません!」


「まあ、今までの行いからして誤解を与えるかもしれないが、好きな淑女相手に意地悪をする殿方もいるのですよ。」


「だとしてもあまりにも遠回しすぎます!」


「アシュリー嬢の仰る通り、逆効果ではあるがな。」


「全く人騒がせな!」


アシュリーはマリックへの嫌悪感をむき出しにし、そんなアシュリーを見たアルクエイドは「苦労したんだな」と心の中で同情した。それから数日後、再びマルクス・レイナード侯爵が顔面が痣だらけのマリックを連れて、ロザリオ侯爵邸に来訪した


「これはレイナード侯爵閣下に侯爵令息殿。此度は何用で参られたのですか?」


「改めて愚息を連れて謝罪に参った次第!マリック、謝らんか!」


「・・・・も、申し訳ございません。」


痣だらけの顔のマリックはマルクスに無理矢理、土下座させ謝罪させた。マルクスは嫌々ながらも謝罪した。そんな様子を見たアルクエイドは「はあ~」と溜め息をついた


「レイナード侯爵閣下、もう宜しいですよ。私とて嫌々、謝罪する令息殿を見ていられません。」


「何!マリック、まだ反省していないのか!」


マルクスはマリックの頭に拳骨をくらわした。マリックは拳骨をくらって涙目になりながらアルクエイドを睨み付けた


「はあ~、アシュリー嬢の気持ちが分かる気がする。」


アシュリーの名を出された途端に、マリックは食って掛かった


「なんでそこにアシュリーの名が出るんだ!」


「辞めんか、この馬鹿者!」


「あべし!」


マルクスの拳骨をくらいマリックは再び頭を抑えた。アルクエイドはそんなマリックを無視して言い続ける


「アシュリー嬢は君の事を心底、うんざりしてな。」


「で、でたらめをいうな!」


「でたらめではない。幼少の頃から君の行動に反感を抱いていたそうだ。今回の決闘についても心底、呆れておった。」


アシュリーが迷惑していると聞いたマリックは誰の目から見ても狼狽え始めた


「あ、アシュリーがそ、そんな事を・・・・」


「信じられないなら本人の口から聞けばよろしい、何ならここへ呼ぼうか?」


それを聞いたマリックの顔が一気に青白くなった。傍から聞いていたマルクスは「その必要はござらん、我等はこれにてお暇致す、後日改めてお詫び致す。」とアルクエイドに言い残し、マリックを連れて屋敷を去った


「全くお騒がせな親子だ。」


それから数日が経ち、今度はアシュリー嬢がやってきたので客間へ案内した。アシュリーの来訪した目的はマルクスとマリックがゴルテア侯爵邸にやってきたそうでマリックはアルクエイドが言っていた事が本当かどうかわざわざ本人に確かめてに行ったそうだ


「それをわざわざ私にお知らせに?」


「はい。これ以上、閣下に御迷惑をおかけするわけにはいきませんので。」


「それはそれは。」


アシュリーはマリックに対して幼少の頃より抱いていた不満を本人の前で打ち明けたという


「それで私、マリックに思いのたけを全て打ち明けました。」


「それで令息の反応は?」


「はい、誰の目から見ても落ち込んでいました。それを見たレイナード侯爵閣下はマリックを連れてそのまま屋敷を去りましたわ。」


「あらら。」


「本当に人騒がせな御方。」


「その通りですな。」


「旦那様。」


そこへジュードが現れた。何やら困ったような表情を浮かべていた


「どうした?」


「レイナード侯爵令息が参られました。」


「「はぁ?」」


アルクエイドとアシュリーは一緒になって反応をした


「何しに参ったのだ。まさか決闘の続きをしに参ったのか?」


「いいえ、謝罪をしに参ったと。」


謝罪をしに?アルクエイドはアシュリーと互いに顔を見合せた後、ジュードに目線を変えて「謝罪はもう済ませたから帰ってもらえ」と伝えた


「畏まりました。」


ジュードは客間を出てから数分後、再び現れ、「直接謝罪するまで帰らないそうです」と答えた。そ!を聞いたアルクエイドは立ち上がった


「はぁ~、アシュリー嬢。すまないが、ここで待って欲しい。」


「いいえ閣下、私も参ります。」


「いや、辞めた方がいい。色々とややこしくなるから。」


「だったら聞くだけ、聞くだけで構いませんので。邪魔立てはしません。」


「分かりました。」


アルクエイドはそのまま玄関前まで行くとそこにはマリックがいた。アシュリーは物陰から潜み、2人の動向を見守った。マリックはアルクエイドの姿を見掛けた途端、土下座をした


「数々のご無礼、ひらにひらにご容赦くださりませ!」


どうやら本当に謝罪しに来たようだ


「令息殿、過去の事は全て不問に致しました。どうかお手をお上げくだされ。」


「いや、これだけでも足りないくらい申し訳なく思っています!」


「分かりましたから、取り敢えずお手をお上げください。それでは話ができない。」


アルクエイドはマリックの頑固さに呆れつつ、取り敢えず話を聞くために一旦、土下座を辞めるよう諭した。マリックはアルクエイドの指示に素直に従い、顔を上げるとマリックの顔は今にも泣き出しそう目でアルクエイドを見ていた


「令息殿、私はレイナード侯爵家と事を構えるつもりはない。決闘はあくまで私と貴殿の了承の上で行った事。その事は貴殿も御承知であったろう。」


「た、確かに。決闘を申し込んだのは私です。私情に駆られてしまった。私は一介の令息、貴方は侯爵閣下、立場を考えずにロザリオ侯爵閣下を悪し様に罵って・・・・ぐすっ。」


途中からマリックは堪えきれずに泣いてしまった


「取り敢えず涙を拭きなされ。」


「うう、はい。」


アルクエイドはマリックが落ち着くまで待つ事にしたのである


「(はぁ~、しんどいわ。)」

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