第二十二話:ロザリオ侯爵家
「アルクエイド・ロザリオ伯爵、右の者に領地の加増及び、侯爵に昇進致す。」
「ははっ、謹んで承ります。」
アルクエイドは王宮にて陞爵式に参加していた。アルクエイドの他にもウルスラ・モンテネグロも伯爵から侯爵に昇進し、領地も加増された
「ウルスラ・モンテネグロ伯爵、右の物に領地の加増及び、侯爵に昇進致す。」
「ははっ、謹んで承り候」
「ロザリオ侯爵、モンテネグロ侯爵、両名の者、大儀であった。」
「「ははっ!」」
かくしてアルクエイド・ロザリオは伯爵から侯爵に出世し、家名も【ロザリオ侯爵家】に改められたのである
「(これで私も侯爵の仲間入りか・・・・侯爵になっても私は私だけどね。)」
「アルクエイド殿。」
「ん、ああ、ウルスラ殿、如何されましたか?」
「私と貴殿は此度、侯爵になった。私としては身の引き締まる思いだが貴殿はどうなんだ?」
アルクエイドとウルスラは陞爵式が終わってからは共に王宮の休憩室にて休んでいた。ウルスラはアルクエイドに侯爵になった感想を尋ねてきた
「実感が湧きませぬな。」
「ほぉ~、それは何故?」
「私自身、何もしていないからです。ただ、陛下よりサルマン王国の現状を尋ねられ、正直お答えしたまでの事、それを私の功績だと聞かされた時は耳を疑いました。」
「なるほど、それで合点がいった。貴殿が彼の国の事を知っていなければ此度のサルマン王国討伐がすんなりと完了する事はなかった。陛下からすれば彼の国の弱点をついたようなものですな。」
「そんな大仰な。」
「そう謙遜されるな、現にサルマン王国は滅亡し陛下の御要望された土地も手に入った。我等も侯爵に出世した、万々歳ではないでしょうか。」
「まあ、それは同感ですな。」
「貴殿にとっては幸先が良いのではないのですか。貴殿の婚約者であるアシュリー嬢の実家と同じ侯爵家、釣り合いが取れたではありませんか。」
「そうとも言えますな、ははは。」
ウルスラとの談笑を終わらせた後、屋敷へ戻るとジュードが「レオン侯爵令息とアシュリー侯爵令嬢が参りました」と伝えた。アルクエイドはすぐに着替えた後、レオンとアシュリーのいる客間に入ると2人はソファーに座りながら菓子と茶をいただいており、アルクエイドの存在に気付くとそっと置いた
「お待たせして申し訳ない。」
「いいえ、こちらこそ押し掛けてしまい申し訳ありません。」
「いいえ、それで今日は何用で?」
「はい、改めて侯爵御昇進の御祝いを述べに参りました。」
2人の目的はアルクエイドが侯爵に昇進した事の祝賀を述べに来たようである
「わざわざそのような事をしていただかなくても私の方から参りましたのに。」
「実はアシュリーがどうしても御祝いを述べたいと聞かなくて。」
「お、お兄様(照)」
「そうでしたか。アシュリー嬢、わざわざありがとうございます。私自身も侯爵になった事でアシュリー嬢に相応しい婚約者になれた気がします。」
「・・・・閣下(照)」
「ロザリオ侯爵閣下、どうかその辺で。」
「あら、これは失礼。それでゴルテア侯爵閣下は何と?」
「はい、明日改めて、両親が侯爵閣下の下へ御祝いの御挨拶に伺うとの事にございます。」
「佐用か。」
「あ、あの閣下。」
「アシュリー嬢?」
「・・・・閣下がどのような御立場になっても閣下は閣下、私の婚約者、夫となる御方です。」
「アシュリー嬢・・・・ありがとう。」
「・・・・いいえ(照)」
「(おいおい、私がいる前で戯れないでくれ。)」
その後、クリフ&エリナ・ゴルテア侯爵夫妻も訪れ、アルクエイドの侯爵就任のお祝いを述べた
「此度は侯爵ご昇進、おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
「他のお歴々の御方から夫も私も良き婿を得たとお褒めの御言葉をいただきました。」
「それはようございました。私もアシュリー嬢の婚約者として骨を折った甲斐がございました。(アドバイスしただけなんだけどね)」
クリフは改めてアルクエイドとアシュリーを娶わせて良かったと心底、思った。アルクエイドがサルマン王国討伐の影の立役者として活躍し今では侯爵に昇進し【ロザリオ侯爵家】が誕生するに至った
「(私の目に狂いはなかった。)」
「ゴルテア侯爵閣下。」
「ん、如何された。」
「私とモンテネグロ殿が侯爵になった事で社交界は如何ありましょうか?」
「まあ、話題となりましょうな。貴殿とモンテネグロ侯爵閣下はサルマン王国討伐の功労者、放ってはおけないでしょう。」
「ははは、分かってはいましたが(めんどくせえ。)」
ゴルテア侯爵夫妻が去った後、次に尋ねてきたのはホルス・フォード侯爵である
「侯爵御昇進、おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
社交辞令を終わらせた後、ホルスは単刀直入に尋ねた
「さて、貴殿はどこまで御存じなのでしょうか」
「はて、何の事やら?」
「サルマン王国の事ですよ。貴殿の強み(商売)によって彼の国の現状を知っていた。外交を預かる私も知らぬ事を貴殿は知っていた。何も知らぬ私にとっては恥ずかしい限りだ。」
ホルスは表情にこそ出さなかったが、内心は悔しさと恥ずかしさに満ちていた。外交を預ける身として彼の国の現状を知り、対策を講じねばならぬのに先にアルクエイドが策を講じていた事に少なからずショックを受けた。結果としてアルクエイドはサルマン王国討伐の影の功労者として侯爵に昇進したのは言うまでもない
「失礼、愚痴っぽくなってしまいました。」
「いいえ、私の方こそフォード侯爵閣下を差し置いた事を謝罪致します。」
「御気遣いは無用、全ては私自身の目が曇ってしまった故の事。」
「・・・・そうですか。」
「では私はここでお暇致します。まだ仕事が残っておりますので。」
「お見送りを・・・・」
「お気遣いはご無用です。」
「左様か。」
互いに気まずい思いをしつつホルス・フォードは屋敷を去った後、次に尋ねてきたのはリディガー・ヴィンハルト侯爵が尋ねてきた
「侯爵御昇進おめでとうございます。」
「ありがとうございます(相変わらず無表情だな。)」
「そういえば先程、フォード侯爵殿の馬車を見掛けたのですが?」
「えぇ、フォード侯爵閣下が御祝いに参りました。」
「意外ですね、あの御方が貴殿を尋ねるとは・・・・他に何か申されましたか?」
「いいえ。」
「・・・・そうですか(何かあるな)」
リディガーは何かあると悟ったのかそれ以上は何も言わなかった。そんなリディガーにアルクエイドは・・・・
「(本当に何考えてるんだか、分からないな、この人。)」
「では帰ります。」
「あ、はい。お見送りを。」
「いいえ、結構。」
「は、はあ(この人っては本当に何考えているのか分からん。)」
その後、多数のお歴々がお祝いを述べに参り、アルクエイドはへとへとになったのは言うまでもなかった




