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ヒーラー

「さて。残ったのはお前だけだが見るからに戦闘力が無さそうだな?」


「は、はい。私は回復専門ですので……」


「戦うか?」


「た、戦わないです!」


 それを聞いて運はエンジンを切った。


「しかしまあ、君はまだ子供じゃないか」


「あ、これでも私は転生者なので精神年齢的には成人しているんです」


「ふうん。でも結構酷い扱いを受けていたようだけど、どうしてあんな奴らとパーティ組んでいたんだ?」


「私が……便利だったからだと思います」


「使われていたってこと?」


「はい。私、回復魔法が傷や病気以外にも効果を発揮する固有スキルを持っているんです。武器や防具も何かと消耗しますから……」


「それって珍しいの?」


「多分、私以外には……」


「凄いな。でも、そんな凄い力を持ってるなら尚更、なんであの程度の奴らと?」


「あ、あの程度って……全員、世界屈指の強さだったんですが……」


「え~……?」


「おかしいのは日野さんですよ? 勇者さんもパラメータはそれ程高くないって言っていたのに……」


「本当だって。ほら」


 運はナビ画面を表示させてステータスをクオンに見せた。


「わ。見せても良いんですか? そんな大事な情報を私なんかに」


「良いよ。だって君も特殊な力のことを話してくれただろ? 悪い子じゃないのは解ったからさ」


「あ、ありがとうございます……本当だ、ほとんど普通の人ですね」


「だろ?」


「でも、そうするとあのデタラメな強さは一体……?」


「あ〜。俺、さっきトラックに全振りしちゃったんだよ、良く解らなくて」


「ト、トラックに全振りぃ〜!?」


「そんな驚くようなことかな?」


「驚きますよ! 何でそんな無茶なこと!」


「無茶?」


「そうですよ! だってトラックなんて、狭い所じゃ意味無いじゃないですか!」


「言われてみれば」


「実際、ホヘト王国ではトラックの運転手が室内に呼び出されて殺される事件があったと聞きますし……」


「げ。マジ?」


「はい。トラックと言うこの世界で未知の存在はそれだけの価値があると言うことです」


「うわ。それは教えて貰って助かったよ、ありがとう」


「それくらい構いませんけど……それよりこれからどうするおつもりなんですか、そんな弱点を抱えて」


「まあ、目立たなくしていれば急に囲まれて殺されたりはしないだろうけど……」


 そこで運はふと気付いたように返した。


「君こそどうするんだ? 俺がやったこととは言えパーティは壊滅してしまった訳だが」


「それは……」


「イロハニ帝国だっけ? 一人で帰れる?」


「う……」


「出来れば俺も送ってやりたいところだけど、さっきの様子だと俺、イロハニ帝国じゃ大変なことになってるんだろ?」


「……はい」


「弱ったな」


「弱りました」


 二人が並んで腕を組んだ時、運の腹の虫が鳴った。


「日野さん、もしかしてお腹空きました?」


「実は昨日から何も食べてないし……多分お金も無い」


「言葉は?」


「解らない」


「……」


 クオンはため息をついた。


「あの、良ければそこの街で何かご馳走しますよ? その、お詫びになるかは解りませんが……」


「本当かい? それは助かるな」


「言語の方も何とか出来るあてもありますから、良ければご案内しますけど……」


 運はクオンの手を両手でしかと握った。


「ぜひ頼む!」


「あはは、お役に立てれば何よりです……」


「できればハンバーグみたいのをガッツリ食べたいなあ」


「それ、ひき肉ですが平気ですか?」

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