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魔法の練習

「バックファイア! バックファイア!」


 森の中で両手を前に突き出し、ひたすら叫び続ける運の姿があった。


「お兄ちゃ~ん、もうやめようよ~」


 適当な切り株に腰掛けて頬杖をつきながら久遠が言った。


「さっきから全然、うんともすんとも言わないじゃ~ん」


「そうは言っても啓示を受けてからナビ画面に表示されるようになったんだぞ」


「でも、そんな魔法聞いたことないよ~」


「きっと俺だけの特別な魔法なんだって」


「どうせ出るのは火なんだし、ファイヤーボールとか普通ので良いじゃん」


「その普通の魔法が使えないから困ってるんだろ」


 啓示を受けてからどれだけ特訓を続けても運から魔法が放たれることは無かった。


「それにしてもお兄ちゃんの魔法って変な魔法名だよね~。氷属性にしても普通はアイスストームとかアイシクルランスとかだし」


「ナビ画面でステータスが見られなかったら名前も判らないままだったな」


「発動に何か条件があるんじゃないの~?」


「なるほど。その線は疑ってみるべきだな」


「バックファイアでしょ? オナラでも出すんじゃないの~?」


「そんなの実戦で使えるか!」


「良いから試しにやってみなよ~」


「ええ~?」


「絶対に笑わないから~」


「……一回だけだぞ?」


 運は周囲を気にしながら少しだけ尻を後ろに突き出した。


「バックファイア」


 ボオオオオッ!! と火を噴く運のケツ。


「「へ?」」


 二人が呆気にとられている間にも火炎放射器の如く火を噴き続けるケツ。


 やがてそれは森の木に引火した。


「やべっ! 早く消せっ!」


「無理無理! 私、水魔法使えないもん!」


「あ~! くそ~!」


 上着を脱いでバタバタと消火にかかる運。


 幸いにも大火になる前に消火をすることが出来て二人は安堵した。


「「あ~、ビックリした~」」


 二人は背中を合わせて地面に座り込んだ。


「まさか本当にオナラの要領で出るとは思わなんだ」


「あははっ! あはははっ! カッコ悪ーい!」


「おい! 笑わないって言ったじゃないか」


「あははははっ!」


「……こんなの使わなきゃ死ぬくらいの状況にでもならなきゃ使いたくねーぞ」


「ねえ他のは? 他のもお尻から出るか試してみよっ!」


「嫌だよもう」


「ねぇねぇ。これ五十鈴さんにも見せてあげようよ。魔法が使えるようになったぜ~って」


「ゼッテー嫌だ」


「どうして~?」


「そんな格好悪いとこ見せられるか!」


「あ~! お兄ちゃん格好つけたいんだ~。あはははっ!」


「うるさいな」


「あはははっ! でも大丈夫。私はそんなことじゃ幻滅しないよ、お兄ちゃん」


「……くそー」


「くそまで出しちゃダメだよ?」


「うるせー」


「いて」


 運は振り返って久遠の頭にチョップをした。


「ごめんごめん。お詫びにギューってしてあげるから許して~」


「良いからくっ付くなよ」


「あ~、照れてるんだ~」


 久遠が運の背後に抱きついた時だった。


 周囲の森が一斉に音を立てて揺れ出した。


「ん? 変な感じの風だな」


「違うよお兄ちゃん、これ何か魔力を感じる」


「敵か? 魔物か?」


「ううん? 何だろうこの感じ」


 二人は立ち上がって背中合わせに周囲に警戒した。


「見た?」


「見た見た!」


「森に火を点けてたね~」


「キャハハ、お仕置きが必要だ~」


 木々の間から聞こえる複数の声があった。


「誰だっ!?」


 運の誰何に応えるように木々から姿を現したのは植物の衣服を纏った女性型の精霊達だった。

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