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決意

 次の日。運と久遠の泊まる宿に五十鈴が訪ねて来た。


「如何でしょう? 今日は里を案内しようかと思い伺いましたが」


 それに久遠が応える。


「ありがとうございます五十鈴さん。でも良いんですか? 昨日も族長と話をしていた時も不思議に思ったのですが、大規模な侵略が噂されているような時にこんなにノンビリとしていて」


「父が言うには、オクヤの里は幾重にも張り巡らされた結界により害意のある者はここに辿り着くことさえ出来ないとのことではありますが……」


「五十鈴さんは万が一のことを想定しているんですよね」


「はい。ですが、父も里の者も二言目には天の意に従う等とまるでこの地を離れようとはしません」


「エルフの方々はそう言った考えの方が多いのですか?」


「そうですね……エルフは長命ですから、数十年も生きる内に生への執着が薄れる者も少なくありません。むしろ我を失い逃げ惑うよりも最期の時まで思想に耽っていたいのが多数派なのでしょう」


「なんか悟ってんなー」


「もう! お兄ちゃん! この問題には私達の生活も懸かっているんだからね?」


「解ってるよ」


「解ってないよ。いくらお兄ちゃんがデタラメに強くたって相手は公国軍なんだよ? まず数が圧倒的だろうし、ロボットも出てくるよね。もしかしたら転移転生者も何人か揃えて来るかも知れないんだよ?」


「!? 久遠殿? それは一体どう言う意味ですか?」


 驚く五十鈴に久遠は微笑みで返した。


「五十鈴さん。昨日一晩お兄ちゃんと考えたんだけど、私達も一緒に戦うことにしたから」


「ダ、ダメですよ。危険です!」


「どうしてだ? 五十鈴も戦うんだろ?」


「それは、私は同じエルフ族だから……」


「じゃあ俺達も。仲間だからだ」


「仲、間……?」


「ああ。短い間だけど一緒に旅をしたろ? それにこれから商売でも世話になる。これが仲間じゃなくて何て言うんだ?」


「運、殿……」


「ま、そう言う訳なんでな。微力ながら助太刀させてもらうことにしたよ」


「……本当に、良いのですか?」


「言っておくが、数で攻められると俺一人じゃあまり役に立たないからな」


「それでも、とても心強いです。ありがとうございます」


 五十鈴は頭を深く下げた。


「ま、これからもよろしくな」


「はい! こちらこそ、運殿!」


「もう! 五十鈴さん、私もいるし~」


「も、もちろんです久遠さん。久遠さんもありがとうございます」


 五十鈴は久遠の手を両手で取って礼をした。


「そうなると……実は、運殿に一つお願いしたいことがあるのですが」


 久遠の手を離した五十鈴は姿勢を正して正面から運を見た。


「うん? なに?」


「実は、私と手合わせをしていただきたいのです」


「手合わせ?」


「はい。運殿の実力については初めてお会いした時から並々ならぬものがあると思っておりました故。いつ来るかも知れない戦いに備え、実戦経験を積んでおきたいのです」


「なるほど、そういうことでしたら」


「ありがとうございます。それでは準備が出来ましたら昨日の中央広場でお待ちしております。では、私も準備をして参りますので一度失礼いたしますね」


 そう残して五十鈴は立ち去った。

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