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ヒッチハイク

 引き続き忍者退治後のトラック内では会話が続く。


「そうだ。どうして五十鈴はこんなところで狙われていたんだ?」


「はい。私は近くにある街道の宿場町で宿を取っていたのですが、そこをゐノ国の忍者に目を付けられ、戦闘に」


「旅でもしているのか?」


「はい。実は、近頃大規模なエルフ狩りが予定されているとの情報を聞きつけ、故郷であるオクヤの里に向かっている途中でした」


「良く耳にするな、エルフ狩りって言葉。どうしてそんなことになっているんだ?」


「あ、ごめんなさい五十鈴さん。お兄ちゃん、つい先日エヒモセスに転移してきたばかりで何も知らないの、許してあげて」


「そうだったのですね」


 五十鈴は頷いた。


「エルフ族が狙われるようになったのは、ブースターエンジンの開発を拒んだためです」


「ブースターエンジン?」


「お兄ちゃんも戦場で見たでしょ? あのロボット、機動兵器トラクターを動かす言わば心臓みたいな部品のことだよ」


「へええ。で、どうして開発を拒むと狙われるんだ?」


「ブースターエンジンは大気中の魔素を取り込み、魔力マナに変換して動力に応用するため、魔力の扱いに特化したエルフ族にしか加工することが出来ないのです」


「それでそれで?」


「元は人間との友好関係を築くため、農耕用や運搬用器具の動力として供給をしていたのですが、いつしか人間はそれをあのような兵器に応用するようになってしまい、今の族長が供給を打ち切ることとしたのです」


「だから、その……エルフの男性は労働力として、女性は……」


 久遠の言葉を聞いて五十鈴は唇を噛んだ。


「ゐノ国もオクヤの里も、チリヌ公国の一部です。チリヌ公国は機械の発展により現在の地位を保ってきた側面がありますので、今になってその供給を断つ訳にはいかないのです」


「だからって、そんなやり方は酷過ぎるじゃないか」


「今までも時たま各地に点在するエルフ族が標的になることはあったのですが、イロハニ帝国とホヘト王国の戦争が始まってからは特に狙われるようになってしまって……」


「チリヌ公国はホヘト王国と共闘しているから、戦力として機動兵器を投入せざるを得なかったんですよね」


「はい。それで今回、とうとうオクヤの里に直接チリヌ公国の軍隊が出向いて徴兵と言う名のエルフ狩りが行われるとの噂が立ち、私は居ても立っても居られなくなってこうして里に向かっているのです」


「そうだったのか……しかし、軍隊相手にたった一人増えたところで……それよりもいっそ、エルフ族は里を捨てて逃げると言う選択肢は無いのか?」


「今のエヒモセスの状況では、きっと何処へ逃げてもその技術は狙われるでしょう」


「救いようのない話だな……じゃあ、ブースターエンジンの開発を再開するのは?」


「族長が首を縦に振らないでしょう」


「一族が滅んでもか?」


「エルフは自然と共生します。故に大陸に災禍を齎す選択は有り得ません」


「う~ん、それは弱ったなあ」


 運は腕を組んで首を捻った。


「ところで、運殿は尋常ならざる実力の持ち主とお見受けしましたが、一体どちらに向かわれる途中だったのですか?」


「それが、俺もまたお尋ね者のような扱いでね。イロハニ帝国にもホヘト王国にも居難いのでチリヌ公国はどうかと向かう途中だったんだ」


「なるほど、それは良いお考えかも知れませんね。確かにチリヌ公国でしたらトラックをお持ちの運殿にも一番偏見が無いでしょうから」


「でも、そんな話を聞いてしまった今となってはなあ」


「そんなことありませんよ。チリヌ公国は貴族制ですから、エルフ狩りを進める一派もまたその一部です。それを良しとしない貴族もまたおりますよ」


「それに期待してみるかなあ」


「それでしたらまず、ご相談なんですが……」


「良いよ、乗って行きな」


「え、私まだ何も言っていないんですが……」


「オクヤの里まで行くんだろ? そのヒッチハイク、承った」


「ヒッチ、ハイク……?」


「俺の故郷にはこんな言葉があるんだ、旅は道連れ世は情けってね」


 こうして運は五十鈴を乗せてオクヤの里まで向かうことになった。

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