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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

銃を所持してご入場下さい

「殿下、おかしな事をおっしゃるのね」


 エアルドレッド伯爵令嬢、サマンサ・エアルドレッドがクスリと笑う。華奢な体躯に似合わない、堂々とした振る舞いである。


「おかしくなどあるものか、エアルドレッド伯爵令嬢。貴様を国家反逆罪に問うと言っているのだ」


 場所は、王城の大ホール。時は、王家が主催する夜会の只中である。

 第二王子、アルフレド・ダスティ・フォーサイスの発言は、およそ無視できるほど穏やかなものではなかった。国内の有力貴族の集まるこの場にあって、相応しくない騒ぎとなる。目が、耳が、意識が、王子の次なる言葉に向いていた。


「エアルドレッド家が王室に隠れて新兵器開発に手を染めている事は分かっている。そして、その主導者が貴様だという事もな」


「兵器開発……? 王室に隠れて……?」


「とぼけるな! 報告のない火薬が屋敷運び込まれているだろう! 抱える職人からも、これまでにない加工を指示されたと聞いている!」


 火薬。

 文字通り、刺激や衝撃によって火を吹く事のある物体である。魔法に頼らず大きな力を得られる反面、その危険性から製法は開発にかかわる貴族と王室にしか知られていない。


「それは報告しておりますわ。婦人向けの護身用武器を開発しておりますの」


「は! 護身に火薬など使うものか! 偽りの報告を隠れ蓑に兵器を開発している事は明白であろう!」


 エアルドレッド伯爵家は、武器や兵器の開発によって国家に貢献してきた貴族である。多くの技術者を抱え、伯爵家からも科学者や工学者を輩出している。国内の技術開発の一端を担い、時には武功をあげた騎士よりも大きな評価を受けるほどの大貴族なのだ。

 それが、反逆である。これまで国家に尽くされた技術が、次には国家に向いていると言うのだ。およそ、無視できる事態ではない。


「護身に火薬を使う事が偽りの証拠でしょうか?」


「いいや、証人がいる! パーバティ・チャップマン嬢である!」


 王子がそう言うと、周りで様子を伺っている貴族の中から小柄な少女が飛び出した。

 愛嬌のある大きな目、雪のように白い肌。鼻はツンと愛らしく、口に引かれた紅は幼なげな顔に女性としての魅力を演出している。細く、それでいて短くはない手足。キュッと締まった腰回り。そして、その体格に似合わない豊満な胸がこれでもかと主張する。

 パーバティ・チャップマン男爵令嬢。国内有数の貴族が集まるこの場にあって、目を見張るほどに美しい少女である。


「彼女は一時、エアルドレッド伯爵家に奉公に出ていた。その際に伯爵家の恐ろしい陰謀に気が付いたのだという」


 貴族の少女が、より高位の貴族の家に奉公に出る事は珍しい事ではなかった。教養の一環としてはもちろん、顔繋ぎとしての役割も大きい。

 エアルドレッド伯爵家はその領地の規模に対して、国内で非常に大きな影響力を持つ貴族である。なので、かつてほんの幾度か奉公の受け入れをしていた。


「チャップマン男爵令嬢……確かに、ほんの一時屋敷にいらっしゃいました」


「そうだ! そして今! 国家に弓引く愚物を裁くため、この私に真実を伝えたのだ! この小さな身体で、反逆者の恐怖に耐えながら!!」


 雄々しく、仰々しく、王子はパーバティを抱き寄せる。そして、その目はサマンサを睨みつけていた。

 周りの貴族達は、事の成り行きを眺めている。話に割って入るつもりなどなく、どちらに味方するでもない。


「ほら、パーバティ。君が何を見たのかを言うんだ」


「は、はい!」


 王子の優しい口調は、パーバティへの特別な感情を思わせた。この夜会の中に、それが分からなかった者などいないだろう。これは、貴族であるために理解できたと言うよりも、王子に隠すつもりがなかったために露呈したと言う方が正しいだろう。平たく言うならば、『見せつけて』いるのだ。


「わ、私は見ました! 大量の火薬と、物騒な実験室を! 屋敷の中の一番大きなお部屋に沢山の技術者の方がいらして、何か細かな道具を作っていました! お庭の隅では時折り大きな音がドォンと聞こえ、怪我をした人が出る事もあったようです!」


「ああ、それは……」


「それこそが証明である! エアルドレッド伯爵家は怪我人が出るほどの危険な実験を行い、なんらかの爆破装置を造っていたのだ! それも、かなり大規模な設備を用意している!」


 有無を言わさない物言いと、断定的な言葉。あるいは稚拙とも取れる理論ではあるが、王子という立場で行われたのなら一定の効力がみとめられる。王子の言葉を頭ごなしに否定するなど、王室に歯向かう不遜な行為に他ならないからだ。

 王子は、それを理解している。理解した上で、サマンサを追い詰めようとしているのだ。


(みな)も知っての通り、火薬兵器は魔術にも匹敵する破壊を生む! これが護身のための開発などあり得ぬ話だ!」


「殿下、早とちりですわ。(わたくし)は……」


「ええい、黙れ! 言い訳など聞きとうない!」


 徹底した反論拒否。

 この時点から、サマンサは少なくない疑いを抱いた。

 そもそも、王子の立場で貴族を罪に問うなどできるはずがない。王族の威光は全てが国王の親類であるという事実に起因するものであり、特別に言い渡されない限りなんらかの権限を持つわけではないからだ。

 つまり、王子一人の言い分のみで沙汰を下す事などできるわけがない。もしもそうであるならば、これこそが国家反逆とも取られかねない無礼働きである。


「殿下、この話は陛下もご存知なのでしょうか?」


 サマンサの問い掛けに、王子の口角が釣り上がる。それを見るだけで、サマンサは概ねの状況を理解してしまった。


「——私を呼んだかな?」


 様子を伺っていた貴族の人混みが割れ、深々と礼をする。王子の隣に立つと、対して王子とパーバティは一歩退いた。王子の身にあってなお、並び立つなどおこがましい存在である。


 第四代、フォーサイス王国国王。

 アンドレアス・バルバロッサ・ブライアン・フォーサイスが現れたのだ。


 同時に、追従した兵がサマンサを取り囲む。総勢わずか六名であるが、貴族の少女を押さえるつもりならばむしろ過剰とすら言える。

 王城には、対魔法結界が張られている。玉座を中心に城門を越える位置までの内側では、魔法を使用する事ができないのだ。ならば、武装した兵士に対抗する術などない。

 それだけ、今回の事態を重く見ていると主張しているのだ。


「あら、陛下。ご機嫌よう」


「ご機嫌よう、サマンサ。私は悲しいよ」


 アンドレアスは、わざとらしく肩をすくめた。口は薄く笑い、目には嘲笑が浮かぶ。目の前の小娘をまんまと陥れた男の顔である。


「私はね、君を我が子のように思っていたのだ。それが、まさか我が国に弓を引くとは」


(わたくし)は陛下の忠実な犬であるつもりでしたわ。国家の繁栄こそが我が喜びですもの」


「犬……犬、か。なるほど言いえて妙だ。飼い犬に手を噛まれたのだから」


「ふふふ……」


 サマンサが笑う。優雅に、上品に、淑女らしく。

 口元を隠す仕草は気品に溢れ、美しいその立ち姿は貴族の模範とすら言える。罪に問われるこの場にあってなお、彼女が高位貴族である事を疑う者などただの一人もいない。

 しかし、それはアンドレアスにとって不快なものであった。自らが罰しようとしている相手が、屈辱に顔を歪めていないのだから。


「……何がおかしい」


「いいえ、だって……陛下が()()()()で手を噛むなんて仰るものですから」


 そう言うと、サマンサはドレスの隙間に手を差し込んだ。そして、そこから取り出した物を両手に見せつける。


「銃だ!」


 銃。火薬を利用した兵器のうちの一つである。

 筒状の銃身に金属製の弾丸と火薬を詰め、魔法によって着火する事で弾丸を射出する。魔法が不得手な者でも扱いやすく、魔力消費を抑えられるので継戦能力も期待される。

 この国の銃産業のほとんどは、エアルドレッド伯爵家が担っている。


「そう。小型化し、複数発の装填を可能とした新しい武器。そもそもは護身用に作りましたが、危険過ぎてお蔵入りになりましたわ。現在、この世にたった二丁しかありません。真鍮ミスリル合金弾、エアルドレッドモデル22番……“拳銃”と名付けました」


 武器を抜く事の意味を、理解していないサマンサではない。それは明白な敵対行為であり、逆賊の汚名を真実にするものだ。

 しかし、それで構わないと思っているのである。アンドレアスの思惑を理解して、これ以上の忠誠は不要であると判断した。


 目的は、エアルドレッドの技術だ。

 濡れ衣を着せ、汚名を被せ、裁きに際して全てを取り上げる。囲われた技術者とその知識を王家のものとすれば、国内の軍事産業は一手に集中する事となる。

 パーバティも、何らかの褒賞によって雇われたのだろう。あるいは、王子が魅了したか。どちらにしても、本当にサマンサが裏切ったなどとは思っていないはずだ。


 忠義は、最早ここまで。そう思ってのサマンサは、迅速に動いた。


「バカめ! 銃など撃てるものか! 対魔法結界を忘れたわけではあるまい!」


「存じていますわ。……でも」


 ズドン、と。

 それは重く、大きく、深々とした音だった。

 聞き慣れない音に驚き、サマンサを睨み、何をしたのかと警戒するアンドレアスは、そのすぐ後ろで倒れる我が子に気がつかなかった。


「いやぁあああ!?」


「っ!? なにっ!?」


 パーバティが叫びを上げて、ようやく事態を把握する。しかし、サマンサがもう一発を撃つには充分すぎる時間が経っていた。


 ズドン、と。再び、音が響く。

 兵士のうちの一人が、顔から血を噴いて倒れた。ヘルムの隙間から流れ出る血液は、紛れもない絶命を感じさせる。


 ようやく、この場にいる全員が事態を把握した。周りにいた貴族は余裕など見せられなくなり、蜘蛛の子を散らしたように右往左往する事しかできなくなる。

 叫び上げる声の中から、一つ怒号が飛んだ。


「殺せぇ!」


「あらあら」


 残った五人の兵士が、剣を振り上げてサマンサに殺到する。

 瞬く間であるはずだった。そうでなくては、おかしいのだ。魔法の使えない貴族の少女など、子猫ほども戦えるはずがない。鍛え上げられた兵士ならば、鎧袖一触で首を刎ねられる。そのはずなのだ。


 サマンサは、正面の兵士に体を委ねる。その鎧に胸が触れるほど肉薄すると、鎧の隙間から腹部に発砲した。

 ズドン、と。

 背後の兵士は剣を振り下ろすが、サマンサが接触している兵士の鎧に阻まれて斬り伏せる事ができない。たじろぐ間も無く、銃口が首元へと差し出された。

 ズドン、と。


「あ、あり得ぬ……」


 アンドレアスは震える。顔に穴の開いた我が子を抱き寄せ、目にしているものを信じられないでいる。

 “拳”とは、すなわち杖を持たない事。ならば“拳銃”とは、魔力の一切を使用しない銃である。これは、世界初の魔法を使わない(アン・マジカナイズ・)(ガン)。対魔法結界など、意味をなさない。

 エアルドレッドの技術力は、アンドレアスが想定していたものを遥かに上回っていたのだ。


 サマンサは一転、逃げに徹する。

 そんな彼女を、訓練された兵士が仕留めあぐねていた。周りにいる人間は全てが貴族であり、すなわち要人である。万が一を考えれば、無闇矢鱈に剣を振るう事などできるはずがないのだ。


 銀食器や料理を宙に舞わせ、サマンサはテーブルクロスを投げた。

 シミで汚れた純白は一人の兵士の視界を塞ぎ、煩わしさに耐えかねて剣で振り払う。それが、どうしようもない隙を晒すのだと考えもしないままに。

 ズドン、と。振り払われたクロスの向こうから、無防備な懐に死が差し出される。この騒ぎの中にあっては、その音は初めほど大きく響いていない。しかし、及ぼす力は不変である。


 あと二人の兵士が追い縋るよりも早く、サマンサはテーブルの向こうへと飛び越える。鎧で武装した兵士にはない身軽さをもって、まんまと歴戦の(つわもの)を翻弄していた。


「あら、奥様。素敵なネックレスですわ」


 ホールの隅で震えている老婦人に、サマンサは笑顔で話しかけた。無論、返事などできるはずもないが、彼女がそれを気にする様子はない。辛うじて呼吸をしているような相手に構う事もせず、その真珠のネックレスを眺めている。

 そして……


「お借りいたしますわね」


 そう言い、なんとネックレスを引きちぎってしまった。


「弁償しますわ」


 怒らない。怒れない。怒る余裕がない。そんな様子の老婦人などそこにいないかのように、サマンサは兵士の足元目掛けてネックレスを放り投げる。バラバラと音を立てる真珠が、繋がれる事によって保っていた秩序を失って散り散りとなった。右へ左へどころでなく、縦横無尽に床を迷うのだ。

 これによるサマンサの意図はすぐに現れる。真珠を踏みつけた兵士は、足を縄に取られたように転倒し、もう一人も倒れた兵士につまづく。そして、それは言うまでもなく致命の隙である。

 ズドン、ズドン、と。

 無様な姿を晒した兵士の小脇に立つサマンサが、見下ろすように発砲する。外す事などあるはずがない。なにより、彼女はここまで一発も弾を外していない。


(わたくし)、ダンスホールで負けた事はございませんの」


 六人の兵士。対魔法結界。

 少女一人を捕らえるに際して、あまりにも過剰な労力。

 そのはずだったのだ。


「チャップマンさん」


「は、はい!」


 不意に呼ばれ、パーバティが飛び上がる。


「貴女は、火薬を使用する実験室には換気環境が不可欠である事はご存知ですわね?」


「は、はい! 知っています!」


「火薬の実験は、どれほど気を付けても怪我の危険がある事は?」


「そ、それも知っています!」


「なるほど。つまり貴女は、知っていて証言をしたのですわね?」


「あ……そ、それは……」


 大きな部屋、実験による怪我人。それは、どちらもパーバティが証言した事である。そして、それと同時に、あって当たり前のものでもあった。

 特に、怪我に関しては悪質である。爆発の際に飛んだ石で擦ってしまった生傷ですら、確かに怪我であると言えるのだ。事実、エアルドレッドの屋敷では、どれほど些細な怪我であろうと報告するように申し付けてある。


「およしなさい、淑女が泣くものではありませんわ」


「ま、待って! 助け……」


 ズドン、と。

 言葉を最後まで聞く事なく引き金は引かれた。左胸を撃ち抜かれたパーバティは、悶える暇もなく息途絶える。


「き、貴様!? こんな事をしてどうなるかわかっているのか!?」


「あら、陛下。もちろんですわ。もうそろそろ、(わたくし)が国王となりますのよ」


「度し難き狂人めが!」


「いえ、いえ。(わたくし)は、謀反など考えた事もありませんの。今日までは。でも、陛下がどうしてもお望みのようでしたので、事実にして差し上げますわ」


「血迷ったか!!」


 アンドレアスは、我が子の亡骸が携えた剣を抜く。

 ドワーフによって鍛えられ、エルフによって装飾がなされた名剣。普段は儀礼用としてしか使われていないものの、刀身、加護ともに英雄譚に語られるそれと遜色のない逸品である。

 しかし、その刀身は銃に対して心許なく、加護は対魔法結界の中にあっては意味をなさない。国内でも指折りの剣であるというのに、この状況下では棒切れほどの頼もしさも持たないのだった。


(わたくし)、光り物に靡くほど安い女ではありませんわ」


 貴族達は、押し合い圧し合いホールから避難する。この場に二人きりとなった事を確認すると、アンドレアスは剣から手を離しの降伏の意を示した。


「わ、私の負けだ。この国は、今からそなたのものだ」


 剣が床に落ちる音が、たった二人だけとなったホールによく響く。

 アンドレアスは後退りし、生唾を飲み込んだ。


「アンドレアス、お聞きしますわ」


「な、なにかね?」


「何故、誰もいなくなってから降伏なさいますの? どうせすぐ知られる事ですのに」


 貴族らしく上品に笑うサマンサに対して、アンドレアスの表情が歪む。自らの思惑の浅さに気が付いたのだ。


「聞かれたくなかったのですね? 降伏したところを見られては、後で取り返しがつかないから」


「な、なにを……」


「お芝居をして、(わたくし)を謀るおつもりだったのでしょう? もし違うのなら、隠し持っているそれは何かしら?」


「っ!?」


 ハッタリである。サマンサは、アンドレアスが何を持っているのか見当もついていない。

 しかし、一国の国王が、まさか無防備に罪人の前に立つはずがないのだ。

 ならば、わざわざ王子の剣を構えたのは何故だろう。より強い武器だったからだろうか。王子の武器で仇を打とうとしたのだろうか。

 いや、そうではない。

 武器を捨てるためだ。捨てる事によって、無防備であると錯覚させるためだ。

 その後、隙を見てサマンサを殺害する。多くの貴族は武器を構えるアンドレアスを見ているので、サマンサが殺されたとなれば降伏をしたなど思いもしないだろう。


「捨てる! 今度こそ捨てる! これで全部だ!」


 サマンサに思惑を看破されたアンドレアスは、懐から短刀を二本放り出した。床を滑り、兵士の亡骸にぶつかる。


「本当に降伏する! 本当に、今度こそ! 許してくれぇ!」


「あらあら……国王ともあろう方が、当然の礼儀も忘れてしまいましたの?」


 ズドン、と。サマンサはアンドレアスの膝を撃ち抜く。

 距離も離れておらず、動きもしない相手。彼女が撃ち損じるはずもなかった。


「——ッゥ!? ……ァ!?」


「淑女の前では膝をつくものですわ」


 ◆


 国王が人質となり、降伏を宣言した事により、軍事国家エアルドレッドの建国はつつがなく行われた。


 あらゆる技術において他国を突き放すその国は、建ちあげられた直後から周辺国に多大な影響力を発揮する。百五十回目の建国記念日に謀反を起こされるまで、技術、政治、経済、貿易、あらゆる面から、世界を牽引する最大国家であり続けた。

 これは皮肉にも、建国の際と同じく、技術者による反旗であった。


 ただの一人で国家を討ち滅ぼした伝説は、その後永く語られる事となる。

 舞う技術者、拳銃の祖、無類の姫、智にして暴、銀無双(しろがねむそう)(てのひら)時代の始皇帝。

 彼女を表す言葉は、枚挙にいとまがない。


 ただ、彼女自身は、争いを好まなかったと伝えられている。


 よく笑い、品格を持ち、優雅で、なにより美しい淑女。

 それこそが、サマンサ・エアルドレッドであった。

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[良い点] 銃は強し! サマンサのガンスキル・容赦のなさにシビれました。 強大な力を持ちながら為政者としては名君であったようですね。
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