第9章「気持ちって伝わるよね」
作業はウィルスの除去、精神的ブラクラ、ワンクリックの削除と盛りだくさんで、メンテナンスは依頼受注時の倍はありそうだ。
あまりの作業の多さに、イラつくたびにタナカたちのおでこを根性注入棒でひっ叩いた。その都度『スパーン!』といい音が響いた。
作業は12時間もかかった。作業開始から2時間くらいはタナカたちは反抗的な態度をとっていたが、その都度おでこをフルスイングで叩かれるのは嫌になったのか、それとも反省したのか判らないが、静かになった。
「お前ら静かになったな?ん?」
「あの…すんませんでした。あまりにムカついたんでサイト壊してやろうと思って」
「んーまあ、判らんでもないが、ウィルスとかどーよ?関係ない人に感染する可能性とかあるし」
ケンゾーは彼らが本当に反省しているのか計りかねていた。反省しているなら解放してやってもいいが、また反抗するようなら、証拠と共に警察に送ってもいい。
「サイトの復旧手伝わせてください!」
タナカの一言にケンゾーは解放してみることにした。
「ワケわからんやったら、警察に送るからな」
「はい」
一応警戒しつつも、サイトの復旧作業をやらせてみたが真面目にやっているようだった。
慣れない作業に時間がかかったが、何とか終えることができた。
「やればできるじゃねーか」
タナカたちは自分たちで何かをやりとげる気持ち良さを理解したらしく、後日新米エリミネータとして働いてみる事にしたとメールが届いた。
「ラッキー」
ケンゾーはサイトメンテナンス依頼料金に青年指導料を上乗せして請求してみたが、やはりチェック体勢も甘い企業でそのまま通ってしまった。
持病の網膜症のせいで目がチカチカして集中力がなくて、中途半端な終わり方になってしまい、大変申し訳ありません。しばらくゼロイチ執筆は休憩いたします。復帰したらまたご覧頂きたいと思います。