ドラゴンと契約
数分して少しだが体が動くようになった。
よし、さっさと逃げ出そう。もう十分だろ、こんなに頑張ったんだから。
すると、突然ドラゴンも起き上がりこちらに向かってきた。
待て待て待て、動くのも限界なうえにドラゴンなんかに目付けられたら終わりだぞ。
突進してき、あっという間に俺の目の前まで来た。
「貴様!よくもやってくれたな、この程度でわしが倒せると思ったか!楽には死なせんから覚悟しておけ!」
めちゃくちゃキレながら、人間の言葉を話してきた。
すると、ドラゴンは俺を背中に乗せて飛んだ。
「貴様はこのままわしらの巣に連れていく!そこで死よりも恐ろしいことを味わせてやる」
「ちょっと待ってちょっと待って!俺はただ単にやれと言われてやっただけなんだ!騙されたのは俺も同じなんだ!とりあえず俺の話聞いてくれ」
「そんなことは知らん。実際に撃ったのは貴様だ。周りの奴はうろうろしてただけじゃないか!とりあえず貴様は巣に連行する」
ダメだ、巣になんか連れていかれたらひとたまりもない。
「本当にこのまま巣に行っていいのか?行けば死ぬのはお前たちの方だぜ」
「どういうことだ?」
「ギルドのメンバーには居場所をいつでも探知できるように体の中にGPS機能がついている。このまま巣に戻れば何人もの討伐者が準備万端にしてお前たちを攻めてくることになるぞ。このまま死ぬのは癪だが、俺も討伐者の端くれだ、お前らを道連れにできるならそれも悪くないだろう」
嘘だけど、この場をやり過ごすための一手としては悪くないだろう。
「貴重な情報だな。残念だがそうなったらそうなったで覚悟を決めて戦うまでだ。ドラゴン族は誇りを何よりも大切にしている。人間ごときの言いなりになってたまるか」
くっそ、どうにかしてこの場から切り抜けないと本当に巣に連れていかれてしまう。
「さらに一つ言っておくなら、俺の能力は『超移動』だ。今でこそ体力がないから発動できないが、しばらくしたらどこへでも逃げることはできる。お前らの巣に行った後に能力を発動して場所も特定してやる」
そんな能力があるかどうかは知らんがハッタリで十分だ。
「何の成果もなく、ただ巣がバレるということか。流石にそれは困る。よし、貴様を意識不明になるまでいたぶってから連れていくことにしようか」
そう言うとドラゴンは降下し、近くの山の中に入っていった。
いたぶるって意識不明になるまでボコボコにするってこと?結局一緒じゃん。
「では、覚悟しろ」
「待て、お前の能力だが、それは本当に使えるのか?」
「当たり前だろうが、わしの能力の恐ろしさを知れ!」
今だ、『無効化』!
「む、発動できん。どういうわけだ。貴様!何をした!」
「俺のもう一つの能力だ。お前の能力を無効化した」
「なに!?さっさと解除せんか!」
「残念だが、それは無理だ。そんなことをすれば俺が殺されるからな」
「では、直接殴って意識不明にするまでだ」
「それもやめた方がいい。この能力は俺が意識不明になると解除できなくなる。俺を殺せば一生能力は使用できなくなる」
もういいだろ?一人くらい見逃してもどうってことないだろ?
「やむを得ん。暫くは身を隠して能力が発動できるまで貴様を監視しておくしかないな」
よし、この場での意識不明や殺害はなくなった。
「それで、能力の使用はいつ可能になる?」
「んーとね、一か月後とかかな」
2分だけど。
「一か月か。まあそのくらいなら問題なかろう。ただし、貴様を許したわけではない。能力が戻れば今後こそ貴様を巣に連れていくからな」
「その時になったら覚悟を決めるよ」
良い作戦が見つかったらすぐに逃げるけどな。
「ところで貴様、名は何だ。毎度毎度貴様やお前では呼びづらい」
「俺の名前は遠藤修だ。お前は?」
「わしはジグロード。ドラゴン族の長じゃ」
「お前長なのか。いかついから誰が長とかわからんな」
「貴様に知ってもらおうとも思わん。それと、わしと貴様が意外にも気が合って、友人のような関係になるという展開は一切ない!貴様は一か月後、地獄を見ることになるからな」
「わ、わかったよ」
一か月後の事を考えないといけないな。このままでは本当に死んでしまう。
「とりあえず、俺はギルドに戻る。このまま帰らないと不自然だからな」
「わしは貴様の中で監視しておく」
「え、俺の体に入れんの?」
「そういう特性もドラゴン族には備わっておる。人間に限らず、モンスターでも可能だ」
マジかよ、24時間こいつに監視されながら生きていかなきゃいけないのかよ。
「あと、今日はもういらんが、24時間で一回は出せ。可能でない場合はわしは勝手に外に出てしまう」
今は14時頃か。14時になるまでに一回は出さないといけわけか。
「最後に、わしを体に宿していることをギルドの連中に言ったらその場で殺すからな」
「わかった…それでいこう」
どうにもならない状況だし、今はそれで十分だろ。
俺はジグロードを体に宿し、ギルドに帰ることにした。
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