白の世界と老人
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起きると見渡す限り真っ白の場所にいた。
またわけのわからん異世界に転生されたか。
せっかくハルカさんと初めて話してこれからって時に邪魔しないでくれ。
しかし、辺り一面真っ白で何もない。
普通女神が俺に告白してきたり、変なモンスターが絡んできて現実に戻ったらそいつに出会うとかあるでしょ。
何で何にもねぇんだよ。
暫く散歩した。
壁はなく、どこまでも白い世界が続いているみたいだな。
夢なのか?それとも異世界なのか?
時間の無駄だから早く教えてくれ。
「おい!貴様、わしの言葉を無視しよったな」
突如白い髭の生えた、サンタクロースみたいなラスボス級の雰囲気がある老人が天井(天空?)から降りてきた。
この声、こいつ昨日頭の中に話しかけてきたじじいか。
能力がどうだとか言ってたけど、今の俺には関係のない話だ。
こいつがいるってことは別の異世界に飛ばされた可能性はないはずだ。
まあ夢でも見てるのだろう。
「無視はしてないよ。よくわからないんで放置してただけだ」
能力を俺に渡すなら転生した時に既に渡しといてもらわないと。
今やその興味も薄れてどうでもよくなっている。
ハルカさんと出会う前に渡さなかったあんたが悪いぞ。
「まぁ確かに転生者にはよくわからなかったかもしれんが…」
どうした?ちょっと言われたくらいでもろいな。
この勢いで攻めて行って、こいつには早々に俺の物語から退場してもらおうか。
「それに勝つ算段もないのに討伐になんか行けない。そもそも討伐とか言われてもよく知らないし、行って欲しいならせめて最低限の説明は必要なんじゃないのか?」
補足しておくなら、説明とかいらないからさっさと消えてくれ。
もう既にファンタジー展開は終わったんだ。
これからハルカさんとのラブラブが待ってるのであんたはもはや用済みだ。
「能力を授けてやったんだから、行ってくれよ…」
「無理だね。俺はそんなことをしてる暇はない。俺だって異世界に来て分からないことだらけだから、今は身の回りのことを固めておきたいんだ」
はい、終了。
これに懲りて俺に関わるのはもうやめるんだな。
「能力の説明をすればよいのか?」
「それはもはや最低条件で、能力の説明を受けたからと言って討伐(笑)に行くと決めたわけじゃない」
ていうか絶対行かないよ。
命を落としたりしたらせっかくの異世界が意味ないもん。
だが、一応どういう手札(能力)があるのかを把握しておく必要はある。
「…分かった。貴様に授けた物の説明をしよう。わしにも格好つけさせて欲しかったのに…」
雰囲気は一流なのに中身が終わってるな。
格好なんかつけなくていいからスムーズに話してくれ。
「その代わり、絶対に行けよ」
「できそうなら行くけど、無理そうなら行かないからな」
まあ行きませんがね。
「まぁよい。貴様に授けた能力は『無効化』。相手の能力の使用不可にする能力じゃ」
能力を使わせない能力って時点ですでに面倒だ。
それに全然使えない能力じゃねぇか。
レーザー攻撃だとか、何でも切れる剣とかそういうのくれ。
タイマン張れないような能力いらねぇんだよ。
「待てよ、相手の能力を無効化するだけでドラゴンに対抗できるわけないだろ」
「確かにそうだが、ドラゴンの能力を封じることで別の人間がドラゴンを討伐できる」
いやいや、俺主人公なんだからもっと戦えるような能力じゃないと行かないよ?
他力本願過ぎるだろ。
ドラゴンてのがどんな奴なのかも良く知らないし、何よりこんなポンコツ能力でそんなとこに行くのは自分で死にに行くようなものだ。
ていうか、能力って人間だけじゃなくてモンスターにも存在するのかよ。
「ドラゴンにも能力が存在するのか?」
「もちろんドラゴンにも能力は存在するが、今回のドラゴンがどのような能力かは不明だ」
まあドラゴンがどんな能力かはこの際どうでもいいことだ。
だって、それの能力自体を使用不可にできるのだから。
「お前も店のバニーガールから聞いたじゃろ、この世界にはギルドと呼ばれる場所に討伐者が存在する。そいつらと協力してドラゴンを討伐しろ」
面倒だな、まあ時間があればな。
カエデさんの事をこんな親父にバニーガールと呼ばれるのも何か癪に障る。
そういうファンタジー展開のを初めは期待していたかもしれないけど、今は全くないって何回言わせたら気が済むの?
行かないものは行かないからな。
「へーい」
「なんじゃその返事は。絶対に行くんじゃぞ」
そう言いながら白髭の親父はどこかに消えていった。
親父には悪いけど、俺は親父の意思には従えないよい。
皆さんの意見や批評など、よろしければ何でも送ってください。
なにぶん素人なので、より面白いものを読者の皆様と作っていけたらいいなと思っております。
よろしくお願いします。