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時を超える  作者: ひばな
エンデュミオン編
43/66

幽閉と治療

おかげさまで1000PV到達しました。

拙い文章の作品を見ていただけることに感謝しかありません。

今後も応援の方よろしくお願いします。


**この作品を面白いと感じた方はブックマーク登録、評価の方もよろしくお願いします。**

「っていうことがあっての今です」

「遠藤君達も…大変だったんだね…」

「その怪物たちは私たちが出会ったやつね。確かに禍々しさはかなりやばかったわ」

「ハルカさんたちも会ったんですか!?」

「と言うよりも私たちが逃したからそこにいたってことね」

「あんな奴らに遭遇してみんなは今無事なんですか?」

「ソード君とカエデさんは気を失ってるだけだけど、エルドレッドの方はこの通り重傷だわ」


ハルカは抱えているエルドレッドがただ包帯を巻かれているわけことを伝えた。

「それで…医者を探しに街に…入ってきたんだ」

「あいつらを追い返すなんて凄いですね」

「男の方はよくわからなかったんだけどね」


「それで、この後どうしますか?」

「医者を探しに来たけど、ユカリの方も心配になってきたわね」

「ユカリちゃんなら…大丈夫じゃないかな…頑丈だし…」

「何言ってんのよ、ギルドの連中は平気でカエデさんを殺そうとしてるんだよ。ユカリだってどうなるか分からないわ」

「じゃあ…どうするの?」


ハルカは数秒考えた末、一つの結論を出した。

「わかった。ここからは別行動で行きましょ」

「三人しかいないのに別行動して大丈夫なんですか?」

「仕方ないじゃない、問題が二つあるんだから」

「どう分けるの?」

「私と遠藤君でユカリのことを救出に、イイハルはエルドレッドを医者を連れていって」

「わかった…エルドレッド君はわたしが…守るよ」

「任せたわ。遠藤君、行くわよ」

「え、でもイイハルちゃん一人だと…」

「わたしは…平気だから…ユカリちゃんを助けに行ってあげて」

イイハルの目を見て、遠藤は彼女の覚悟を感じた。


「わかったよ、絶対にユカリさんは俺たちが何とか連れ戻して見せるから」

「イイハル、私の電話を持っておいて。何かあったら連絡するから」

「うん…二人も気を付けてね」


イイハルはエルドレッドを抱え、街の中に消えていった。


「さてと、私達も行きますか」

「もしかして、ギルドに直接侵入するんですか?」

「当たり前じゃない、ユカリを連れて行ったのがギルドだったら必ずそこに情報は入ってきているはずだからね」

「真正面から行くのは危険じゃないですか?」

「まずは情報だけよ、そのまま強引に連れて行ったりしないわ」

「それなら大丈夫ですかね」

「行くわよ」


二人は街のギルドを捜索し始めた。


「ていうか、ギルドの中に入らなくても情報さえ分かればいいんですよね?」

「そうだけど?」

「なら、俺に任せてください」

「どうするの?」

「俺の能力で奴らから情報を引き出させます」

「いいわ、ギルドに近くに行けば出入りする討伐者はいるはずよ」

二人はギルドを探したが、中々見つからなかった。

「ギルドないですね」

「いいえ、街自体もそこまで大きくないから近くにはあるはずよ」


「おい、指名手配犯が捕まったみたいだぞ」

「ギルドに行って聞いてみようぜ」

遠藤たちの近くを二人の討伐者が通った。


「あいつから情報を引き出します。『無効化ディセイブル』」


遠藤の『無効化ディセイブル』は一日に一回しか使えないものではあったが、度重なる使用と彼自身の耐性により、二度までは使用可能になっていた。


「よし、奴に能力の発動は成功しました」

「どうなってるの?」

「奴の五感を俺が目を閉じている間は共有できます」

「情報収集にはうってつけの能力ね」

「俺たちが見つかってしまっては意味がないので、どこかに隠れましょう」

「ならそこの路地裏行きましょ」

二人は建物の路地裏に隠れ、討伐者がギルドに入るのを確認した。

「目を閉じてる間は無防備になるので、ハルカさんお願いします」

「わかった、私が誰か来ないか見ておくわ」


遠藤は目を閉じ、討伐者の五感を盗んだ。

「おい、指名手配の女を捕まえたって本当か!?」

男はギルドに入り、中にいた受付の男に話しかけた。

「ああ、ローラが一人で捕まえたみたいだぜ」

「流石だな、あいつのレベルも上がるんじゃないのか?」

「だろうな、そろそろあいつもレベル10になりそうだな」

「俺たちも負けてられねぇな」


そんなこといいからさっさとユカリの情報を言え。

「それで、その女は今どこにいるんだ?」

「城に連れていかれたよ、仲間の居場所吐き出させようとしてんじゃねぇのか」

「拷問とは恐ろしいね、討伐者なのに指名手配される理由が俺には分からないよ」

「全くだ、今は牢屋に入れられて明日にでも拷問が開始されるってよ」

「ふーん、俺たちも残りの連中を捕まえに行くか」

「帰ってきたばかりでまだその元気かよ」

「いいから行くぞ」

「待て、他の連中についてはお前たちが捜索しなくて大丈夫だ」

「なんでだよ?」

「それは…」


遠藤の視界は真っ暗に変わり、目を開けた。

「どうだった?」

「情報は得られましたけど、最後の一言が時間制限で聞きそびれました」

「ユカリはどうなってるの?」

「今は城にある牢獄に幽閉されてるみたいですが、明日にでも拷問が始まるみたいです」

「なら、今からそこに行って連れ出すしかないわね」

「待ってください、今行けば俺たちも捕まっておしまいです」

「でもユカリの身に危険が迫ってるのよ、もたもたしてられないわ」

「明日まではまだ何もされません」

「そんなこと分からないじゃない!城の奴らの気が変われば何されるかわからない。こうしてる今でももう拷問されてるかもしれないじゃない!」


ハルカは声を上げ、遠藤を説得した。

「そうだとしても、俺たちが何の考えもなしに突入すればそれこそ奴らの思う壺です。ここは耐えましょう」

「でも…」

「ギルドで捕まってる程度なら特攻しようかと思ってましたけど、幽閉されてる状況で二人で行っても意味がありません」

遠藤の言葉に納得したハルカは頷き従うことにした。


「…分かったわ、一旦車に戻って作戦を立てましょう」

「はい」

「イイハルと別れてまだ全然経ってないのにいきなり退散とはね」

「今からなら合流できますよ」


遠藤はイイハルに電話をかけた。

[どうしたの?]

「別れたばかりなのにごめん、もう一度合流してくれない?」

[でも…エルドレッド君の治療は既に終わったよ…]

「え!もう終わったの!」

[うん…安静にしていれば…問題ないって]

「早すぎない?今はどこにいるの?」

[もう街の外に出て車に向かってるけど…]

「流石に早すぎるよ…それなら俺たちも車に向かうよ」

[うん…先に行って待ってるね…]


電話を切った。

「今どこにいるって?」

「もう治療を終えて、街の外にいるらしいです」

「嘘でしょ!?流石に早すぎるわよ」

「僕もそう思いました」

「怪しい医者とかに見せたんじゃないでしょうね」

「ひとまず俺たちも車に向かいましょう」

「おっけー」


遠藤はイイハルの行動に疑問を覚えながら、街を後にした。


--------------------------------

「おかえり」

「ただいま」

遠藤とハルカが車に戻ると、イイハルが出迎えた。

「ハルカ、無事だったか?けがはないか?」

ソードは既に目覚めており、戻ってきたハルカに言い寄り体の心配をした。

「ソード君のおかげでこの通り全然平気よ」

「そうか、それはよかった」

ソードは安堵し、少しよろめいた。

「ソード君の方こそ大丈夫?もう意識の方ははっきりとある?」

「大丈夫だ、能力の多用で気を失っただけでそれほどダメージを負ったわけではない」

しかし、ソードの体はエルドレッドとまではいかないがかなりのダメージを負っていた。


「嘘…さっきまで痛そうにしてたよ…」

「黙れ、チビ」

脅すような態度と口調でイイハルを威圧した。

「わたしにだけ…きつい…」

泣きそうになるイイハルはハルカに抱き着いた。

「怖いよ…ハルカちゃん」

「こら、ダメでしょ。イイハルにそんな言い方しちゃ」

「…すまなかった」

ハルカに気を許したのか、ソードは以前よりも言うことを聞くようになっていた。

エルドレッドとカエデはベッドに寝こんでおり、まだ目を覚ましていなかった。


「それで、エルドレッドの容態はどうなの?」

「医者が言うには…治療はしたから…一時間もしないうちに目覚めるだろうって…」

「そう、それは良かった」

「当然だな、こいつは刺された程度で死ぬ奴ではない」

「本当にエルドレッドの事が信頼してるんだね」

「バカなことを言うな、俺はエルドレッドもお前も仲間として必要だって思ってるだけだ」

「ありがと」

ソードが自分たちに対し、気を許してくれたことが嬉しいハルカはソードに対し笑みを浮かべた。


「ちょっと待って、イイハルちゃん」

しかし、全員がエルドレッドの無事に歓喜する中、遠藤はイイハルに対し感じた疑問を拭えずにいた。

「何だ、余計な一言を入れやがって」

「エルドレッドの容態はそんな簡単なものじゃなかった。治療に時間がかかったわけでもないのに、一時間もしないうちに目覚めるって流石におかしくない?」

「何が…言いたいの?」

「イイハルちゃんが何かしてくれたんじゃないの?」

「わたしは…何もしてないよ」

イイハルの声のトーンはどんどん小さくなっていった。


「だったら、医者はどんな治療をしたの?」

「わたしは…見てないからわからない…」

「それはおかしいよ。意識のないエルドレッドは同行者のイイハルちゃんがいないと治療ができないじゃないか」

「それは…」

「ちょっと遠藤君、何が言いたいの?エルドレッドが無事だったからいいじゃない」

「イイハルちゃんを今後も仲間として信用したいから今、何か隠してることがあるなら言って欲しいだけですよ」

「…」

イイハルは下を向いたまま顔を挙げようとはしなかった。

「どうなの?」

遠藤はイイハルに近づき、俯く彼女に対し目をやり問うた。


「遠藤君!いい加減にして!イイハルが私たちに隠し事なんてしてるはずないでしょ!」

「ハルカさんだってさっきは変だって言ってたじゃないですか」

「そうだけど…イイハルに回復系の能力がないことは同じパーティーだった私が一番よく知ってる」

ハルカはイイハルが無理に質問すれば沈黙し何も答えないこと、彼女のメンタルを遠藤が攻撃していることを防ごうとしていた。


「きっとエンデュミオンの医者がめちゃくちゃ優秀だったからエルドレッドもすぐに治ったのよ、そうに違いないわ」

「ってハルカさんは言ってるけど、本当のところはどうなの?」

「…」

「黙ってるのもいいけど、本当の意味でイイハルちゃんを信用することは出来ないよ」

「信用できない」、その言葉に怒りを感じたのか、ハルカはイイハルに近づく遠藤の足を引っかけて転ばせた。

「遠藤君!それくらいにしないと私が君を信用しないよ」

「…分かりました。これ以上はもう何も聞かないでおきます」

遠藤は起き上がりイイハルに問い詰めるのをやめた。


「ごめんなさい、変な空気にして。飯でも食べましょうか、流石に腹減りましたよ」

「お前のせいでそんな気分ではない」

「そこに買ってきたものがあるから勝手に食べれば?」

ハルカは遠藤のイイハルに対する態度が気に食わなかった。


「はい」

遠藤が、二人が買ってきてくれたものを拝見しようと中を覗いた瞬間、

「待って」

沈黙していたイイハルが声を出した。


「やっぱり遠藤君の言う通り話すよ」

先程と違い、はっきりと言葉を話すイイハルにハルカは驚いた。

「イイハル、そんなに急いで話して大丈夫なの?」

「そこは問題ないよ、それよりもわたしの事が気になるんだよね」

「別に無理して話す必要はないわ、イイハルが言いたくないことなら言わなくていいから」

「気になる。教えてもらっていいかな?」

「遠藤君!」

「わかった、その代わりエルドレッド君やカエデさんが起きてからでもいいかな?何回も説明するのは面倒だから」

「エルドレッドはともかくカエデはいつ起きるかわからないよ」

「大丈夫、もうすぐ目覚めるからちょっと待ってて」

「わかった」


イイハルは三人を残し、第二車両へ行ってしまった。


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