装備と食料
街に着き車を近くの森の陰に隠し、俺たちは下車した。
降りると同時にエルドレッドが音頭を取ってくれた。
「各々が必要なものとかも違ってくるからそれぞれ好きなものを買いに行こうか」
「確かにその通りだけど、一応私たちはあの街で指名手配扱いされてたからこの街でも既に危険だと思われてるかも知れないから、行動するときは最低二人は一緒に行動するようにしないといけないわね」
ハルカさんの注意を受け、まずは俺が自分の要望を言った。
「とりあえず、前みたいに死にかけるのが目に見えてるので防具を揃えたいんですけどいいですか?」
「あたしも今の防具も武器も適当に持ってきたのだからちゃんとしたやつ買いたいな」
「じゃあ…買いたいものでグループを分けるのは…どうかな…」
「それで問題ないだろう」
グループ分けをした結果、食料を買うグループがハルカさん、イイハルちゃんの二人、武器などの装備を買うグループが俺、ユカリの二人、車を見張る役としてエルドレッドとソードの二人で分かれた。
「カエデは、まだ寝てるみたいだから車に置いとくわ」
「車に結構入りそうだし、食料は多めに買ってくるわ。こういう風に街に寄れるかもわからないしね」
「じゃあ一時間後に集合ってことでいいか?」
「それで大丈夫よ。電話を持ってるのはエルドレッドと遠藤君と、私だけだから何かあったらすぐにかけてきてね」
「よっしゃ!行くか!」
俺たちは電話の番号を交換した後、俺たちは二人ずつに分かれて街に入った。
こういう状況とはいえ、ハルカさんの番号をゲットできたのは一歩前進だ。
…ユカリと二人きりになったけど、特に話すことないので少し困る。
「おい、変に気遣わなくて何でも話せよ」
「はい」
あんたが怖いからってのもあるからな。
「あの、俺って討伐者としてはまだ初心者なのでよくわからないんですけど、防具ってどういうのがいいんですか?」
「まあ人それぞれ適性ってのがあるけど、自分に合うサイズだったら何でもいいんじゃねぇか?」
「そんな簡単な感じでいいんですか?」
「攻撃食らわなければ防具なんて必要ねぇからな。保険として身に付けてるだけで十分だろ」
そう上手くは行かないと思うが…
「ていうか武器屋を探すよりもよ、先にあたしたちが指名手配されてるか見ないといけないんじゃねぇか?」
「確かにその通りですね。それで指名手配ってどこで見れるんですか?」
「何も知らねぇんだな。指名手配は街の役所に行けば教えてくれるぞ」
来たばっかりなので勘弁してください。
「じゃあそこに行きましょうか?」
「おい、バカか?そんなところに行ったら指名手配されてた時に一瞬で捕まるだろうが」
あんたがそこに行けばいいって言ったんだろうがよ。
「そういう公のところじゃなくて裏のルートで知るしかないな」
「それはどういうところがいいんですか?」
「一瞬で見つけるのは難しいけど、それっぽい兄ちゃんに聞けばいいじゃないか?」
役所に行かないのにそこは適当なんだな。
ユカリはてくてくと近くの強面のお兄さんに話しかけに行った。
「おい、兄ちゃん。あたしの顔に見覚えあるか?」
「あ?誰だ、てめぇ。俺は今機嫌が悪いから話しかけんじゃねぇ!」
強面の人はユカリの質問に答えずどこかに消えていった。
俺はユカリのもとに急いだ。
「大丈夫ですか?」
「何もビビることなんかねぇよ。とりあえず、街の住人にはあたしたちの存在は知られてねぇみたいだな」
それであんな質問したのか。とはいえ、変に絡まれたりしたらどうするつもりだったんだ?
自分なら大丈夫と思ったのか?強面を甘く見るなよ。
「それにあいつの目を見ても特に嘘を言ってるようには感じなかったからな」
そういえばユカリは目を見ただけで人の心が読める超能力があったな。
「とりあえずさっさと武器屋に行って、こんな街とはおさらばしようぜ」
「そうですね」
俺たちは街の人に道を聞いて武器屋に向かった。
「へっくしょん!」
ユカリはこれでもかってくらいのテンプレのくしゃみをしだした。
「大丈夫ですか?」
「風邪でもないのにどうしたんだろうな…」
「誰かが噂してるんじゃないですか?」
「あたしの噂する奴なんかいねぇと思うけどな」
初期の頃のような緊張感は薄れてきたので、この勢いで普通にはなそう。
「あの、さっきから街って言ってますけど、街に名前ってあるんですか?」
「あるぜ、この街はエンデュミオンだな。一応地図にも載ってるぜ?何も知らねぇんだな」
この世界に来たばっかりなんでね。
「ちなみに前の街の名前はイカロスだぜ」
その街の神の名前になるのかな?
「さらに言うと、街は世界で丁度10個しかねぇぜ。ギルド運営委員会は世界の中心のゼウスにあるぜ」
「結構あるんですね」
「そうか?まあ全部回るわけじゃないから覚える必要なんかねぇけどな」
「一応来た街のことは覚えておきますよ」
「勝手にすればいいんじゃねぇか」
ユカリとの雑談も思ったよりも弾んでいると、武器屋に着いた。
看板に『武器屋!』と大きく書かれておりここで間違いないと思い、俺たちは中に入った。
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