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いつだって恋する女神と一緒なら救えない世界はない  作者: おつかれ
第3章 オクシデントの世界
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44話 少女エミア

僕はずっと薄暗く光るランタンをぼんやりと眺めていた。


このまま、オティデンス帝国に向かえばイデアに会えるのだろうか。いや、それよりも超自然的存在者がいないのなら、僕はいつ解放されるのだろう。


あれこれ考えていると、外が騒がしくなってきた。離せ!や触るな!など聞き覚えのある声。


突然、テントの扉が開いたかと思うと、歩哨に両腕を掴まれたエビルの姿があった。


「夜は危険だから、中で大人しくしてなさい」

兵士はきつい言葉でエビルを叱った。


「はなせ、はなせ!私を誰だと思って、、いや、私は大人だぞ」

ジタバタと暴れるエビル。

やれやれといった感じでエビルをテントに押し込むと、兵士たちはうんざりした様子で出ていった。


「何してるの?」


「見張りの兵士に見つかって、連れ戻された」


腕をさすりながら、イライラした様子。


「こっそり抜け出したつもりだったのだがな、あいつら野営の周囲どころか、至る所に使い魔を配置してやがったぜ。、、、くそっ」


エビルは荷物を投げ捨てると、ドスンとベッドに座りこんだ。


「仕方ないよ」


苛ついたエビルをなだめるように、僕は横に腰を掛けた。


「うーん、これじゃあどうしようもないぜ。異法も使えないしなあ」


はあ、と大きくため息をつくと大の字に倒れ込んだ。


しばらくの間、無言が続いたが、そうだ!と言うと、勢いよく起き上がった。


「おまえさ、エーテル使えるんだよな」


「え、そうだけど」

突然の問いかけに驚く僕。


「ならさ、"ワープでワープ"を使ってくれないか」


「え?、、、それがさ、この世界にはエーテルがないんだよ」


そう言うと、エビルは笑い出した。


「よく考えてみろよ。今この世界は聖地イデアから光が溢れかえってるだろ?あれ、エーテルじゃないのか」


たしかに、そう言われるとそうだ。イデアに世界にはエーテルはありませんよと言われたことで、エーテルが使えるなんて思いもしなかった。

試しに文字の具現化をしてみた。

すると、

“エーテル”

という文字が浮かび上がった。しかも、すぐに消えることなく宙に浮いている。でも、なんだか変な形でぐにゃぐにゃ歪んでいた。


「ほんとだ!」


「だろ!」

嬉しそうに笑うエビルは僕の側によると肩に手を回して顔を近づけた。


「頼む!お前の転移魔法?っていったらいいのか、そのエーテル術でさ、あのゲート出してくれよ」


あまりの顔の近さに思わず顔を背けた。

おばさんと言っても、普通に美人。どうしようか考えていると、ぐっと僕の体を寄せた。大きな胸があたってるのがわかる。

僕は赤面すると恥ずかしくなって、エビルを押しのけて距離を取った。パーソナルスペースの侵害だよ、こんなの。


「いいけど、、、。僕もこれからどうすればいいかわからないし」


「よし!なら決まりだな」

エビルは荷物を拾い上げると、早く早くと促した。

僕はエーテル“ワープでワープ”を詠唱すると、二人の前にホールが存在した。

ひひっ、サンキューなと言うと、ホールに触れ目的地を設定。

すると、向こう側の景色が変化した。


「お前も来るよな?」

嬉しそうな笑顔を見せるので、うん着いていくよと答え、エビルとともにホールをくぐった。



そして、現在。


「森の中、ていうか朝になってる?」


「うーん、意味がわからんな。時間軸も変わるのか。それにここはどこだ?」


「エビルがわからないんだと僕もわからないよ。それにタイムリープなんてないはず。本にはそんなこと書いてなかったから」


僕はエーテル“ここどこサーチ”を存在させると、宙に羅針盤が浮かんだ。だが、中途半端な形状だった。


「あれ?エーテルが上手いこと使えない」


「どうなってんだ?」


2人とも頭にハテナを浮かべてると、大きな音が鳴り響くと、突然空から人が降ってきた。

降ってきたというより、吹き飛ばされたと表現するのが妥当かな、眼の前の木々が薙ぎ倒され、驚いた鳥たちが空へ飛んでいく。

そして、地面を抉りながら、僕たちの前で勢いが止まった。そこにはぼろぼろな姿の少女がいた。


「え?」

僕たちは唖然とした表情を浮かべながら少女をみていると、弱々しく、震える手に力を入れて立ち上がろうとしていた。


「大丈夫?」

僕はハッとすると、その子のそばに駆け寄り、手を取り、体を支えた。


「..ト公が..れた...」

少女は震える足でなんとか起き上がると、半目を開いて弱々しく何かを呟いた。


「リスト公が殺された」

そういうと、少女は気を失ったかのようにその場に倒れ込んだ。

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