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いつだって恋する女神と一緒なら救えない世界はない  作者: おつかれ
第3章 オクシデントの世界
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41話 デメルングの敗北間近、日没の夕日

セプテンの首都は魔領らしく旧時代の建造物が多い。赤煉瓦屋根の住居がズラッと並び、敷き詰められた石畳で舗装された街道。西には小さな丘の上にセプテン城が見え、ルタヴァ川は東西の市街地を分断するように流れていた。


両軍はルタヴァ川を挟む形で睨み合っていた。

橋は全て落とされている。


「ありゃあ"コリン"ですぜ。序列45位で称号はたしか伯爵」

遠くに見えるマリッド級の悪魔。副官ゲッツェ

により造形された"ヴァルキューレ"の弓兵たちは"コリン"の腕力により次々と押し潰された。軋む音が響き渡り空間が歪みだすと、その周囲にいるものすべてを巻き込んで圧縮した。ゲッツェは剥げた頭をかきながら"ヴァルキューレ"の造形を続けた。


「おまえの"ヴァルキューレ"では歯が立たんようだな」

デメルングは腰をひねり、敵将へ向けて大剣を振り上げ斬撃を生み出す。通る川は2つに裂かれ飛沫をあげだが、リスト公に到達する目前で、"コリン"により受け止められる。簡単に捻り潰されたそれを見てケケッと下品に笑うゲッツェ。


「大将がそれじゃあ私ではどうしようもないですわ」


「そう嫌味を言うな。あいつをどうにかせねばならん」


「いやぁどうでしょうな。アレの奥にはデモークが見えますわ。まだ生きていたんですな」


魔領出身のゲッツェは敵将に向かってお辞儀をした。


戦況は異界軍側が敗勢へと大きく傾いていた。

魔人により召喚される悪魔は際限を知らず、ゲッツェ一人では追いつかなかった。加えて"コリン"の存在。さらに、異界側の兵隊は壊滅しており、異法を扱える下士官たちの防衛で辛うじて戦線を維持できていた。


「ゲッツェよ。少しの間、お前に任すぞ」

デメルングは攻撃の手を止めるとリヒルト系統の異法"黄昏"を造形させた。突然、周囲が薄暗くなると禍々しい夕日が姿を表した。目は卑しく、ケタケタと口を震わしている。見た者を絶望させる異界の化物。

デメルングは手に持つ剣を自身の身体に突き刺すと闇が溢れ、それを夕日の化物が啜ると姿が膨張し始めた。


「ケケッ、お任せあれ」


化物から漂う異界の空気感に嗚咽しながら、ゲッツェは後ろを振り返ると、エクシェの亡骸を用意せえと怒鳴った。

セプテン都市 プラハ

ルタヴァ川...ブルタヴァ川

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