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いつだって恋する女神と一緒なら救えない世界はない  作者: おつかれ
第3章 オクシデントの世界
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35話 世界の朝

早朝。朝日が昇って間もなく、静けさの中に鳥のさえずり、すすきの穂は風に揺れ、遠くからは虫の鳴き声が聞こえてくる。

僕は丸太に腰を掛け、美しい世界をぼんやりと眺めていた。ずっと何も無い世界で過ごした僕にとっては、この時間が一番好きだった。



頬杖つきながらぼんやり眺めていると、大きく伸びをしながらエビルが近づいてきた。


「こんな早くに何をしてるんだ」


ふぁーあと眠そうに欠伸をするエビル。


「おはよう。世界って美しいね」


「お前はいつもそんなことばっかり言ってるな」


エビルはおかしなやつだと笑う。


「しかし、神の力はすごいんもんだ。旧ダザインの大地は焦土とかしたのに...」


東の方では今もエーテルが広がり続けている。

白く輝く喜びのエーテルが世界にあふれかえっていた。

エーテルに触れた大地や自然は、みるみるうちに息を吹き返した。腐った土壌は浄化され、

枯れた草木は青々しさを取り戻していた。


エーテルを浴びた自然は、生命の活動を活発にした。


「ところで、色々と情報を集めたんだがな、主人の軍隊を発見したらしい」


難民にまぎれて、5日ほどがたった。エビルはこそこそと情報収集を続け、遂に敗走後の異界軍の動向についての手掛かりを得たらしい。


「どこにいるの?」


「どうやら、北方へと退却したらしい。セプテン公国っていう小さな国があるんだが、そこを拠点に軍隊の立て直しを図っているようだ」


エビルは地図を広げると指さした。


「今、私達がいるのはここ。旧ダザイン領西方の属州スパニア。セプテンはここから100パッススの距離。大体、10日程度だな」


僕は世界地図を初めて見た。イデアの使う文字と同じで、大きくオクシデントの世界と書いてあった。


ダザイン帝国は大陸中央に位置し、帝都は南方のメディテラ海の近く。属州の数は多く、周囲の地方はダザインの支配領域。そのさらに西の位置にオティデンス帝国がある。広さはダザイン帝国本土と同程度。


「オクシデントの世界...」


「何を今更。世間知らずのお前なら住んでる地名すらもわかってないんだろうな」


小馬鹿にしたように笑うエビル。そうだねと返事。


「どうやら、宿将テオドリーを指揮官に軍隊を編成しているようだ。弱っている今がチャンスだと思っているのだろう」


「だから、最近兵士たちは慌ただしかったんだ。エビルもそっちに行くの?」


「当たり前だ。主人のもとに戻らねばならないからな」

この世界の地理は地中海をイメージしてもらえたらと思います。

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