31話 色々あったみたい②
同盟軍が撤退していく中、最前線で苛烈な戦闘を繰り広げていたオティデンス軍は、聖地より放たれた、聖なる光に攻撃の手を止めた。
世界に降り注ぐ光を浴びた大半の怪物たちは断末魔の叫びとともに消滅。異界に寝返った下士官たちや、強制的に徴兵された元ダザイン帝国の兵士だけがあとに残った。
光芒は永遠と世界を明るく照らす。闇は晴れ、呪われた大地は息を吹き返し、慄く人々に勇気と活力を与えた。
異界の軍事指令官、コンスルのエクシェは突然の事態に唖然とした。だが、事態を飲み込むと、すぐに正気を取り戻す。立て直しを図るため、兵士たちに号令をかけた。
しかし、彼らは動かなかった。消えゆく怪物たち、それに自身に降り注ぐ聖なる光を浴びると理解した。これは女神イデアのご加護であると。そして我に返ると、ここぞとばかりに祖国を壊滅させた宿敵に反旗を翻した。
「応戦せよ」
オティデンスの将軍オドアはこれを好機に攻勢へと転じた。
エクシェは、襲いかかる兵士を軽々といなすと、異能力を開放し激烈な闇を繰り出す。だが、強力な光がそれを打ち消した。オドアは大剣 《ロムルス》 を構えるとエクシェに向かって突撃した。阻む兵士は突き飛ばし、エクシェに向かって真っ直ぐに。
そして、成すすべのないエクシェの巨体を貫く。
貫かれた体躯からは闇が吹き出すと絶命した。
その光景をみると、戦意を喪失した異界の軍隊は潰走。
「我々の勝利だ!」
兵士たちはは勝利の雄叫びをあげた。
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「大丈夫か、しっかりしろ」
僕は身体を揺さぶられ、目を開いた。
すっきりしない頭を軽くふる。
「ここは…」
眼の前には甲冑姿の兵士がおり、もう安心していいからなと手を差し伸べられた。その手を掴み立ち上がると、周囲を見渡した。
どうやら森林にいるよう。本物の自然。
木漏れ日のなか、懐かしい森の匂いが僕を包みこんでいた。
前を見ると、兵士たちが隊列を組んで進んでいた。
「何もわからないようだな。まあ、無理もない。奴らの支配によく耐えたな」
そういうと、僕の体を担ぎ上げ馬車へと乗せた。
荷台には僕以外にも乗り合わせており、皆毛布にくるまれており、俯いていた。目を見ると虚ろで、親子と思わしき二人は手を握り合っていた。
「お! おまえもいたのだな」
聞き覚えのある声。
「この声は、エビル!」
だが、顔を向けると、知らない人物がいた。
元ネタ書くようにしてみますー
オティデンス…occidens 西を意味
コンスル…執政官(統領) 古代ローマの政務官のひとつ
オドア…オドアケル 西ローマ帝国を滅亡させた
エクシェ…この人を見よ 本の名前




