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いつだって恋する女神と一緒なら救えない世界はない  作者: おつかれ
第3章 オクシデントの世界
31/52

30話 色々あったみたい

蹂躙されし大地に降り注ぐ光の希望。


人々は強大な力を持つ悪への恐怖に覆われた。晴れぬ世界に慄き、死が最も隣り合わせな時代に生まれたこの生を呪い続けた。


ダザイン帝国の降伏は憎悪する国家間の連立大同盟へと導いた。


人魔の共闘は過激派の垣根を超えたが、内政の血なまぐささは拭いきれず、人の愚鈍さは死しても治らんことを意味した。ダザイン帝国に隣接した小国は国王不在による無条件降伏虚しく、殺戮は三日三晩続けられた。


逃げおおせた商人によると、あれは異界の化け物であると。半分かけた顔は一生涯治癒することはなかった。


第一次連立混成軍による遠征は悲惨なものであったと記憶されている。もちろん、混乱による統一性の欠如が原因であり、敵側の戦力が未知数であったこと、指揮系統の乱れもあった。しかし、大衆ヘの一番の衝撃は第一線で活躍した将校たちが誰一人帰らなかったことである。


第二次連立混成軍はいわば、連立大同盟による最大級の戦力であった。

大半の将校は特異能力を持ち、一騎当千の英雄たちからなる大軍は人々の希望であった。

最先端の科学と魔法は第一次とは百年の差があったとされ兵器、魔術ともに最高峰のものとなった。

侵略された土地を奪還、また研究により綿密に練られた対抗策は有効で、数年越しに旧ダザイン帝国領へと足を踏み入れたのである。


旧ダザイン帝国農村部出身の兵士はこの時を次のように語った。


「ああ、我が故郷をもう一度目にする日が来るとは思わなかった。しかし、この地が私の故郷であると信じることはできなかった。」


暗黒の大地には無数の屍が転がり、群がる鳥の屠る光景は悲惨を物語るには足りすぎた。疫病や飢饉は当然のこと、家屋は灰なり、腐敗した大地から発する悪臭は鼻を曲げた。このような現状でも、辛うじて生きながらえた人々の集落が散見された。痩せこけ、生気のない見るに耐えない顔。不安、恐怖、絶望。混成軍の姿を見て歓喜する者は誰一人いなかったという。


しかしながら、旧帝都に近づくにつれて、敵軍の中に人間が混じっており、我々を驚愕させた。なんと、異界のものと人間との混成軍が形成されていたのである。


捕虜を捕まえ、我々が開放しにきたこと、これからは自由であることを伝えるも、彼らの反応は乏しかった。聖地イデアが破壊されたことを聞き、彼らの希望が打ち砕かれたことを知った。


そうして、帝都まで進軍し、数キロ手前で敵側本隊と会敵した。

歴史上最大級の戦闘であった。


この戦いで半数近くの兵士を失った。英雄ですら深手を負い、一般の兵士は成すすべもなく死んだ。


人魔は理解した。敵は我々の想像を超えた存在であると。あまりにも強大で一部の英雄は敗走した。甚大な被害に将校も撤退命令を出した。


そうして、人々の希望が潰えた時、聖地イデアから救済の光が解き放たれた。

各国が連立混成軍を編成した理由は、帝国を滅亡させるほどの脅威であったからでは弱いですかね

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