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29話 異世界転移

僕はそう言うと、エーテル学初級編の"ワープでワープ"を詠唱し、異空間へ繋ぐホールを存在させた。

人一人通れる大きさで、ホールの中を覗くと歪んだ世界がみえる。ジャッジも初めて見るエーテルだった様子。エビルは不審な眼差しでホールの奥を覗いていた。


「これは、エーテル学初級編の自分の好きなところに移動することができる技。だけど、自分がいったことのある場所にしか行けないんだ」


"それだと、意味がない気がするが"


「それがね、どうやら術者じゃなくても目的地の設定ができるんだよ。例えば、エビル!ちょっとこのホールに触れてみて」


'え、なんか怖いから嫌だ'

エビルはこんなの見たことないと、首をすくめながらの拒否。


「もう、そんな事言わずにさ!主に会いたいんでしょ!」


'主に会えるのならいいよ!'


エビルはホールに触れた。が特に変化はなかった。


「それで、エビルが行きたいところを想像するんだ」


"いや、待て。ここから出れたところでなにか意味があ…!!"


エビルは嫌がりながらも、それに触れ聖地イデアの祭壇を想像すると、ホールの奥に見える景色が段々と変化した。薄暗く、弱々しく照らされた松明がみえたと思うと、一人の影。インペラトルと呼ばれる人物が首を傾ながらこちらを覗いていた。


'主だ!'

「誰かいる」

"!?"


転移先が決まると同時に、突然、空間内全てがホールへと吸い込まれた。それも勢いは凄まじく、側にいたエビルは一瞬で飲み込まれる。僕らも立ってられなくなり、気付いたら向こう側へと引き込まれていた。

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