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20話 認められて

その後もエーテルでの応戦は続き、審判者の"スーケルツォの連弩"を"パルティタイの籠城"で受け止めたところで一旦休憩を挟むことにした。


僕は疲労から、その場に倒れ込んだ。


"近距離戦での動きとは裏腹に遠距離での攻撃に防衛はなかなか筋がいいかもしれない"

審判者は僕の前に立つとそう講評した。


「僕はまだまだ研究中で、今中級編を物にしようと奮起してるところなんだ」

あがりきった息に喘鳴しながら、なんとかそう言う。


今までは自分のペースで一つ一つのエーテル術を学んできた。


けれど、模擬戦ではあるが、いざ実戦となると、瞬時にエーテル術を扱わなければならないため、相当な集中力が必要となるし、座学とは全くの別次元。それにもう体力の限界だ。


"中級編とはなんだ?"


「イデアの秘蔵書架にあるエーテル術を体系化した書物のことだよ」


そんなものがあるのか、と審判者は僕のすぐ横に腰を掛けようとしたが、先程のイデアの鬼気迫る狂気を思い出したのか、すぐに少し離れた場所へと移動した。


審判者の方へ顔を向けた。僕はまだ全身が動かずに大の字に倒れていたが、審判者は汗一つかいておらず、クールな面持ちで前を向いており、藍色の髪には天使の輪が反射し、イデアと同じく肌質は陶磁器のようにみえた。


「ジャッジは容姿も神級なんだね」

自分でも、何を言っているのか分からないが、審判者も同様でハテナの表情を浮かべていた。


"あまり変なことを言わない方がいい。ところで、鍛えろと言われても、闇雲に訓練すればいいものではない"


そういうと、審判者は目標を一つ立ててみようと、"聳え立つ大槍"を存在させた。円錐状の槍頭は黄金色に輝き、光の輪が交差するように渦を巻いていた。紋章は太陽。


"これは私の中での最大級の攻性エーテル。この攻撃を防ぎきれたら、おそらくイデアも納得すると思う"


そう言うと、"聳え立つ大槍"を手に掴み彼方へと放り投げた。


投げ槍はきれいな放物線を描きながら、数キロ先まで飛距離を伸ばし、そして着地。

強い衝撃波を感じ、白く光ったと思うと、遅れて爆風と抉られた大地の粉塵が届き、凄まじい轟音が爆発の威力を物語る。


「こんなの防ぐのは超人でも無理だと思う」

砂煙から顔を覆いながらそう言った。

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