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3 初任務とオーク


ピチチチチ、ピーッピーッ


小鳥のさえずりで私は目を覚ました。

私が寝ているのはとてもふかふかとしたベッドで、

前世の何もない冷たいコンクリートの床ではなかった。

私はこれが夢なのではないかと思う。

試しに頬をつねるが、痛い。夢ではない。


だけど、本当に夢みたいだとは思う。

前世で当たり前のようにぶたれて起こされることもない。

刃物で少しずつ痛め付けられる訳でもない。


私はその事を噛み締めつつ急いでギルドマスターに買ってもらった

寝間着から昨日の服に着替える。


昨日寝る前に水魔法で洗濯して炎魔法で乾かしたからちゃんと清潔だ。

最期に銀のプレートを紐に通した冒険者の証を着け、宿を出る。

今日からは宿に泊まるお金も稼がないと。

私は昨日編み出した強化魔法でギルドへ向かった。



* * *



ドラゴンギルドに向かうとまだ朝早いのにも関わらず

沢山の人が依頼掲示板を見て、依頼を決めている。

依頼内容は様々で、

『ホタルスズランの採集』という簡単そうなものから

『ビッグレッドスパイダーの討伐』と、

完全に高難易度の物まであった。


「何にしよう···」

「お?嬢ちゃん新入りかい?」


ガタイのいい男の人が私に話しかける。


「そうです。今日から冒険者なんですけど、

 依頼、どれがいいか分からなくて。」

「そうか!ならこの『ホタルスズランの採集』とか

 『ゴブリンの討伐』が良いぞ!基本的に低い位置にあるのが

 低ランクでも出来るものだからな!」

「そうなんですか···」

「あ!なら『オイルキューブ集め』とかも良いよ!

 オイルスライム弱いし炎魔法に弱いから!

 炎魔法持ってるならおすすめだよ!」


今度は綺麗な女の人が話しかけてくる。

どれも役に立つ情報ばかりだ。

いい人ばかりなんだなぁ。と思っていると

あっという間に私の周りに人だかりができて、

皆がオススメの依頼を教えてくれた。


討伐ならオイルスライム、ゴブリン、ファイアーラビットがいい。

採集ならホタルスズラン、ハガネバナ、ムシクイグサがいい。

他にも気を付けたらいい場所、危険なオーク達の縄張り、

盗賊がよくいる場所なんかも教えてくれた。


私はその情報から一気に三つまで受けられるので、

『オイルキューブ集め』と『ゴブリンの討伐』、

『ハガネバナの採集』を受けることにした。

どれも生息地が離れていないし、このくらいなら出来ると思う。


早速受付で説明を受けて討伐証明の討伐部位や、

依頼中断のペナルティを聞いたあと、私はゴブリンの森に向かった。


しばらく景色を楽しみながらハガネバナを採集しつつ、

森の中を歩いているとオイルスライムの群れを見つけた。

私は茂みに隠れ、昨日編み出した炎魔法を使うことにした。


「ファイアーアロー!」


無数の炎の矢がスライム達を襲う。

スライムはいとも簡単に溶け、オイルキューブに変わった。

沢山のオイルキューブをアイテムボックスの中に突っ込む。

数を数えると依頼の二十個を越えて三十五個あり、

私はまぁ多くても良いだろと考えないことにした。


よし、ゴブリンを探そうかと前を向くと

沢山のハガネバナを見つけた。

私はそのハガネバナを全て取り、

依頼の十五本を越えて五十本になってしまったが、

また考えないことにした。


「さて、と···ん?」


また歩き出そうとしたとき、私はベキベキという音を聞いた。

···なんだ?

不思議に思って音が聞こえた方向へ気配を消しながら近づく。

そこにいたのは、危険だと言われていたオーク達だった。


「っ···!」


突然の危機に私の心臓がうるさく鳴る。

私は必死に心を落ち着け、

まだ気付いていないから、奇襲することにした。


「ウィンドアロー、ファイアーアロー!」


十体はいるであろうオーク達に風と炎の矢が襲いかかる。

オーク達は悲鳴もあげず、倒れた。


「っよし!」


思わずガッツポーズをしてしまう。

格上の相手に勝てたのが嬉しかった。

私は嬉々としてアイテムボックスにオークの死体を入れる。

オークは討伐部位がどれか分からないから

死体を持っていくしかないのだ。

というか、アイテムボックスなのに死体も入るのは···

何も言わないでおこう。


私は気分が上がりながら依頼の最後のゴブリンを探した。



* * *



「やっと見つけた···」


それから三十分、私はやっとゴブリンの群れを見つけた。

私はわざとゴブリン達に居場所を教え、正面突破することにした。


「ギャギャギャ!ギィィ!!」


私をご馳走だと思っているのだろう。

私は食われる気は無いし、そもそも死ねないのだがな。


「ウィンドカッター」


風の刃がゴブリンを切り刻む。

オークを倒してしまったから、当然という感じではあるが、

私はゴブリンの討伐部位をアイテムボックスにしまい、

ギルドに帰った。



* * *



「依頼、達成したので確認お願いします。」

「はい···って討伐部位は?」

「ありますよ?アイテムボックス。」


アイテムボックスからポンポンと討伐部位とハガネバナ、

オイルキューブにオークの死体を出す。

受付の人は驚いたようで目を真ん丸にしており、

ギルドの人達も心なしかざわざわとしていた。


「嘘っ、冒険者初日でオークと戦える人がいるなんて···」

「あ、依頼よりも多くハガネバナとオイルキューブ

 持ってきちゃったんですけど大丈夫ですか?」

「えっ、えぇ勿論です!ゼロさん凄いですね!

 オークは状態が良いのでこちらで買取も出来ますがどうしますか?」

「お願いします。」

「はい。分かりました。えーと、はい、

 依頼の報酬とハガネバナとオイルキューブは余っているので

 こちらで買取。オークも買取で···合計70000ゼニーとなります。」

「な、70000ゼニー!?」


そんなに貰えるのか···!(1ゼニー1円である)

それなら一泊3000ゼニーの宿に泊まれる!

やった!あのふかふかのベッド確保だ!


私はほくほくとしながら今日は宿に泊まった。

もう一々ゼニーを払うのがめんどくさいため、

七日分···21000ゼニー払い、七日分のベッドを確保する。

私はベッドに寝転がりながら今後の生活を考えた。

食費は1日500ゼニー位で間に合い、服もそこまで必要ない。

そう考えると完全にお釣りが来る。

私はお金をアイテムボックスにしまい、

明日ギルドマスターが居たら服と宿のお金返そう···


そう決めて眠った。

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