1 転生とスキルポイント
私は、要らない子だったんだ。
私はいつも真っ暗な部屋に居た。
私の足には足枷があって、鎖で繋がれていた。
親からは、暴力と呼ばれる物を全て受けたと思う。
私は、酷く飢えていて、悲しくて、寂しくて、虚しくて、
ずっとずっとぐるぐると暗い気持ちが私の中を渦巻いていた。
でもある日、バタン、と何かのドアが閉まる音がして、
その時から何もかも感じなくなった。
いつも通りぶたれても、殴られても、蹴られても、
熱湯を浴びせられても、沢山の電流が通る場所を歩かされても、
何も、何も感じなかった。
痛みも、苦しさも、悲しさも、全部全部なくなったんだ。
たまに感じても、私はどこかの他人事だった。
私は、いつか感じていたであろう感情を失くした。
それから、どれほど経っただろうか。
いつも通り暴力を受けていたとき、目の前が真っ黒に塗りつぶされた。
私は、誰に教えられる訳でも無いのにこれが『死』だと分かった。
私は何を思うもなくそれを、『死』を受け入れた。
その時でさえも···私は何も感じなかった。
* * *
突然真っ黒に塗りつぶされた筈の視界に光が差し込んだ。
その光は真っ黒に塗りつぶされた視界をどんどん明るくしていった。
そして、全てが真っ白な光に包まれると突然何かが見えてきた。
そこには真っ白な世界に、一人の男の人がいた。
いや、男の老人とでも言った方がいいのか。
その人は白い変わった服を着ていて、神様のようだった。
「やあ。初めまして、名もなき子供よ。」
「···誰?」
「儂はその世界で言う神、と呼ばれる者かの。」
私は驚きも何もしなかった。
それもそうなのだろう。感情を失くしたのだから。
私は何を言うわけでもなくただただ受け入れた。
「···そう。」
「おや、もっと驚くと思ったのだがの。」
「そんな気持ち、···とっくに忘れた。」
「···そうか。」
私が言うと、神様は何故か悲しそうにした。
なんで悲しそうにしているのかは分からなかった。
「それで、ここは?」
「ここは、死と生の狭間。
まぁ、君は簡単に言えば死んだんじゃ。」
「···そう。」
分かってはいた。
黒く視界が塗りつぶされていく時、私は死ぬと分かっていた。
だから、特に驚きもしないし、そんな気持ちも湧かなかった。
「本当に驚かんな···
それで、君は厳しい条件を達成し、
転生する権利をもぎ取ったんじゃ。」
「······厳しい条件?」
「そうじゃ。
一つは、自分が壊れてしまうほどの絶望を味わうこと。
二つは、感情を失くし、心を固く閉ざしていること。」
「なんで、そんな条件が必要なの?」
特に何も考えず、私はふと思ったことを言ってみた。
「転生というのは、本来そう簡単には出来ない。
しかし、危機に瀕している星に転生者を送り込むと
その星は危機を脱したと言う。
だからこそ、重要な星が危機に瀕した時には
転生者を送り込んでおる。人を見定めてな···。」
「そうなんだ。」
そういうものか。私はそれだけ思った。
普通の人ならば混乱してしまうかもしれない。
だけど、私はただ受け入れた。
「まぁ、この条件の理由は環境に慣れることが出来ず、
耐えきれなくて死んでしまう人がいたからじゃな。
それとあんまりな人生を送ってきたから。
ただの神のお情けと言うものじゃ。」
「ふぅん。」
私の人生は可哀想だったのか。
途中から辛くなくなって、何も分からなくなってしまった。
だから、言われるまで気づかなかった。
「と言うわけで、早速本題に入ろう。
君には今までの不幸を数値化し、スキルポイントとして与えた。
あぁ、スキルというのは特殊な技のような物じゃな。
分からなければ儂に聞け。さあ決めるのじゃ。」
何故か唐突にそう言われ、
私の前にヴンッと少し透き通った板が出てくる。
そこには文字が書いてあり、
横には私のスキルポイント?の量が書いてあった。
『スキルポイント数、100000000』
一億?皆そんなものなのだろうか。
沢山のスキル?が並んでいて、
それに必要なスキルポイントは5や10程度。
これならば全てのスキルがとれそうだ。
私はどんなものか神様に聞きながら決めることにした。
『炎魔法』
···?見慣れない単語に私は首を傾げた。
まほうとは何だろうか。
「魔法って何?」
「魔法は、簡単にいうと魔力という物を消費して、
炎や水、風や岩などを作り出し、放出できるものじゃ。
君が転生する星では皆が魔法を使っているからの。
とっておいた方がいいじゃろう。」
「···分かった。」
なるほど。ならば使えないのもおかしいだろう。
私はそれもふまえてスキルを選ぶことにした。
* * *
「···よし。」
「決まったかの?」
「うん。」
とんでもない時間を消費して、私はスキルポイントを消費し終えた。
私のステータス?はこんな感じだ。
名前 なし
年齢 11才
種族 ヒューマン(人間)
称号 『傷付き続けた者』『被害者』『空の心』
『心を失った者』『神の愛し子』
スキル 不老不死
炎魔法 超級
水魔法 超級
風魔法 超級
地魔法 超級
光魔法 超級
闇魔法 超級
治癒魔法 超級
聖魔法 超級
空間魔法 超級
魔力無限
悪魔召喚
精霊召喚
奴隷契約
主従契約
アイテムボックス
創造
言語翻訳
読み書き翻訳
鑑定
···皆こんなものなのだろうか。
不老不死は十万ポイント使うからちょうどいいと思ってとった。
あと魔法はこれが一応一番強いらしい。
転生先は魔法を使う魔獣?とかモンスター?がいるらしいから
とりあえず身の安全を?ってことで。
自分が何をしたいとかないから、
とにかくポイント消費量の多いものを選んだ。
「では転生させるが準備はいいかの?」
「···うん。」
「そうか。では最後に···君に幸あらんことを。」
その言葉を言われたあと、私はまた真っ白な光に包まれた。