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家政婦の彼女 -ふたりが夫婦になるまで3―  作者: 海來島オーデ
そして僕たちの関係が始まる
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栞里と由佳と抱き枕


☆ 由佳の視点


夕食が終わり、悠人が2階に行く。その後ろ姿を見送った後、隣に座る栞里ちゃんに声を掛けた。


「この後はいつもどうしているの?」

「え?」

「ふたりで一緒にテレビを見たりは?」

「ううん、食事が終わったら、悠くんはお風呂に入ってから部屋に行くの。たぶん勉強をしてから寝てる。わたしも洗い物をして、お風呂入ってからテレビ見て、勉強してから寝てる。次に悠くんと会うのは朝ご飯の時。」

「ふーん。うちではみんなでテレビを見ながら、順番にお風呂に入ってるから、なんだか不思議な感じがする。」

「ん。悠くんのところは以前からこんな感じ。男の子の家だからかもね。」

「そっかー。」

「あっ、お風呂できたよ。由佳ちゃんが先に入って。」

「栞里ちゃんは?」

「由佳ちゃんの後に入るよ。」

「ん~、...うん、先に入るね。」


一緒に入ろうと言おうとしたが、栞里ちゃんの胸を見てやめた。1年前からさらに大きくなったそれと比べて、自分のそれはあまり変わっていない。見比べたくはなかった。


脱衣所で髪を解き、風呂場に入る。理髪店の娘らしく洗髪料をチェックする。シャンプー、コンディショナー、トリートメントがそれぞれひとつあった。

持ってきたいつも使っているシャンプーで髪を洗った後、同じく持ってきたリンスを使うか悩む。


「トリートメントは栞里ちゃんのだろうから、コンディショナーは悠人のだよね。ん~、どうしようかな。...うん、使っちゃお。悠人、貰うね。」


コンディショナーを手のひらに伸ばし、毛先を包み込んだ。



風呂からあがりパジャマを着る。髪を乾かす前に栞里を呼んだ。


「栞里ちゃん、お風呂上がったよ。」

「はーい、入るね。あれ、ドライヤーは?」

「栞里ちゃんが入ってる間に使うよ。」

「ん、わかった。」


栞里ちゃんが服を脱ぎ始めたため、慌てて脱衣所から出る。風呂場に入ったのを確認し、洗面台の前でドライヤーを使った。


ひとりで居間でテレビを見る。栞里ちゃんはまだ風呂から出てこない。洗いたての髪の毛先を弄りながら、悠人にメールを送った。同じ家に居るのにメールを送るのは不思議だなと、にやにやする。


「お風呂場のコンディショナー、悠人のだったかな? 勝手に使っちゃった。ごめんね。」


すぐに悠人から返信があった。


「そうだけど、気にしなくていいよ。」


やっぱり悠人のだった。嬉しくなった。



風呂から上がった栞里ちゃんが居間に来た。


「由佳ちゃん、テレビ見たい番組があるの。ドラマなんだけど、いいかな?」

「いいよー。というか、あたしも見ようとしてた。」

「一緒に見よう。隣に座るね。」

「ん、いいよー。」


ふたりでテレビを見て、見終わった後もドラマの内容で盛り上がる。ひと段落した後、栞里ちゃんの雰囲気が変わり、少し寂しげな表情をした。


「由佳ちゃん、ありがと。一緒に見てくれて楽しかった。もうずっと、詩衿のことがあってからひとりで居ることが多くなって、ここに来てからもひとりで。...あ、悠くんは、食事は一緒にしてくれるんだけど、あとは、、、理由がないと一緒に居てくれなくて。...何言ってるんだろ。ごめんね。」

「ううん、いいよ。愚痴を言いたくなる時もあるから。それを聞くのも友達かな。」と言ってニッと笑い顔を作る。

「ありがと。」

「もっと頼ってくれていいからね。」

「うん。ありがと。」


栞里ちゃんがあたしに抱き付く。あたしはその背中に腕をまわす。栞里の体温を感じて懐かしい気持ちになり、少しの時間、そのまま抱きしめていた。


「もう寝よっか。」

「ん」

「じゃあ、部屋につれてって。」

「ん。」


手をつないで歩き、階段を上る。栞里の部屋に入ると大きなベッドが目に入った。


「なにこれ、大きい。」

「うん、初めて見たときわたしも驚いたよ。ダブルベッドより大きいのかな。」

「横に寝ても大丈夫そう。」

「うん、試したらわたしは寝れるよ。由佳ちゃんはちょっとはみ出すかな。」

「栞里ちゃん、ちっちゃいからね。」

「150に届かなくて、もっと大きくなりたかった。」

「うん、妹みたい。」

「え~、私のほうがお姉さんなのに。」

「うん、その胸を見ると、、、お姉さんだなって思う。」

「へ?」

「抱き心地が良さそうだって言ったの。」

「え~?」

「明日早いから寝よう。ほら一緒に。ほらほら。」

「ん~、しょうがないな。変なことはしないでね。」

「大丈夫。抱き枕にするだけだから。」

「それが変なことだよ~。」

「うふふ、ちょっと揉んじゃおうかな~。」

「ダメ!」

「んふふ。なにもしないから。はい寝るよ。」

「ん~、もう。」


ふたりでベッドに入り、ふたり並んで横になる。顔だけ横を向いて栞里ちゃんを見る。栞里ちゃんは天井を見ている。


「あたしたち、会うの3回目なんだよね。」

「うん。昨日も1回としたらね。」

「そのうち2回が泊りだね。不思議な感じ。もっとずっと友達だったような感じがする。」

「うん。」


天井を見て、深呼吸をする。


久しぶりに会って、栞里ちゃんと悠人の息が合っていて、あたし嫉妬して。だから今日は頑張って張り合ってたんだけど、違和感を感じて、栞里ちゃんと悠人はなんだかよそよそしいんだって気が付いた。チャンスなんだって思う。だけど、栞里ちゃんを応援したいとも思う。どうしたらいいんだろう。

同じ人を好きでいて、悠人はひとりしかいないからどちらかは傷つくのに。あたしが幸せになりたいけど、栞里ちゃんにも幸せになって欲しいって思っている。


栞里ちゃんを見ると、栞里ちゃんもこっちを見ていた。


「栞里ちゃん?」

「なに?」

「ううん、なんでもない。おやすみ。」

「うん、おやすみ。」



朝目を覚ますと、栞里ちゃんがわたしの胸に顔をつけて抱き付いていた。「抱き枕にしてるのはそっちじゃん。」と呟いて、愛おしくなって、抱き返した。




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