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帰還

初日だから2話投稿します。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 結果から言うと、俺は転生した。転生した場所の名前がニホン《・・・》というのを知ったのはいつのことだったか。まあ、そんなことはどうでもいいと言ってしまえばどうでもいいのだが。


 ちなみに、容姿は変わっていた。前は中性的な顔だったのが、普通の男、って感じの顔になっていた。これもどうでもいいか。


 ここに来て一番に思ったことは、魔法がない、ということだった。ちなみに、転生は生まれ直す、という形だった。だから、一時期は神童だの天才だのと騒がれたりもしたが、それももう収まった。


 話を戻そう。この世界には魔法はないが、魔法が使えないわけではない。一時期、魔法を使えば世界征服もできるのではとか思ったりもしたが、俺が欲しいのは平穏だから、あくまでそう思っただけだ。それと、ユニークスキルは発動しなかった。


 で、世界征服も可能では、と考えもしたのだが、ある一つの問題が発生した。それは、もとの世界にはなかった未知の兵器の存在だ。


 銃、電気系統、核などである。これらは魔法と同等か、それ以上の力を持つ。だから、それに対する対抗策を探すために、一時期はそっち系にハマったこともあったな。


 そういえば・・・


「――おーい?天利。聞こえてる?」


「あ、ああ。ちゃんと聞こえてた。」


「ほんと?またぼーっとしてたよ?」


 こいつは天野 加奈。この世界で生まれたときからずっとなんやかんやで一緒にいる、腐れ縁みたいなやつだ。ちなみに、俺はこの世界に来てから、羽葉 天利という名前をもらった。名前が同じとか、凄い偶然だと思う。


 ちなみに、俺は今16歳(この世界で言う高2)で、元いた世界で過ごした時間よりも長くこの世界にいる。


「おーい!」


「うわっ、おどかすなよ!」


「だって、またぼーっとしてたよ?」


「い、いや、してないって!」


「ふーん。じゃあ、私がさっき言ってたことわかる?」


「それは…」


「まったく…ハァ。せっかく大事な話があるからって呼んだのに。そんなんだからモテないんだよ?」


 忘れてた。そうだ、俺はこいつに大事な話があるなんて言われたから、わざわざ

二人で公園なんかに行こうとしているんだ。


 もしそんな用事がなければ、こんな学校帰り、とっとと家に帰って筋トレやらをするのが日課になっている。この世界に来てからはある程度の護身術とかマジシャンの俺でも覚えてる程度のことを、平和なんだからしなくてもいいやとサボっていたらすぐに勘を忘れ、今は単純な筋トレなどしかしていない。魔法の練習は何が起こるかわからないのでほぼできない。


「着いたよ!」


 時刻は夕方。季節は秋。夕焼け空の橙に染められた公園は、久しぶりにこんな光景を見た俺にとって、少し幻想的だった。


「それで?話って?」


「んーとね…」


 なんか妙にもったいぶるな、って思った。


「あの――」


ボウッ!


 加奈が言い始めると同時に、俺たちの周りを囲むように金色の炎が立ち上った。


「え?な、なに?」

「なんだ⁉」


 それと同時に、炎から伸びた無数の細い線が複雑に絡み合って立体魔法陣が形成されていく。


 なんか魔法陣の文字に見覚えがあるな、と思った。


「―――!」


 加奈が最後に何か言ったような気がしたが、聞き取れなかった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『まったく、君はどれだけボクに迷惑をかけるのさ…』


 声が聞こえてきた。初めて聞く声――じゃないな。遠い昔に聞いた覚えがあるような無いような…


――迷惑をかけた覚えはないんだが?


 ん?声が出ない?


『君が平和な世界への転生を望んだことでこっちは居場所を無くすし、代償を達成するために最後の力も無くなっちゃったし、挙げ句の果に転移に他人も巻き込んじゃうしさ!これが迷惑かけて無くてなんだっていうのさ⁉』


 聞こえてんのか。てか、、相当苛ついてんな。


――わざとじゃないんだが…悪かった。で、今はどんな状況なんだ?


『全くだよ。…えっと、君が元いた世界に君ともう一人を引き寄せてる。君についてはあっちの世界に体があるから、それを再構築して依り代にすれば大丈夫なんだけど、もう一人については…保証はできない。』


――それって…?


 いや、薄々ながら分かっている。あいつは最後の力が無くなったって言ってた。つまり、俺みたいに依り代があるわけでもなく転移することになるのか。俺の転生のときみたいに新しい依り代を作る力もなければ、転移を安全に行うほどの力も無いということだろう。


 ハァ。ホントにわざとじゃないんだがな…。


 そして、転移、転生にはつきものなのか、俺は意識を失った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ここは…?」


 気がついたのは森の中のようだ。さっきまで公園にいたんだし、やはりやはり異世界か?


「まったく!いつまで寝てるのさ!もうここに来てから三時間は経ってるよ?」


 目の前には手の平サイズの《・・・・・・・》緑髪ショートの少女がふよふよと漂っていた。


「…そりゃどうも。ところで、あんた誰?」


「察しが悪いなー。ミアだよ?」


「ミア…?」


 そういやかなり前にそんな名前を聞いたような…、てか声もついさっき聞いたような…


「ああ!あの転生のときの!へー、そんな外見してたのか。 」


「ようやく気付いたの?そう!我こそ聖霊族ホーリーフェアリー唯一の――」


 なんか始まったので、面倒臭いので辺りを見回す。


 すると、ちょうどさっきまでミアがいた方向と反対側に白髪ロングの少女が倒れていた。いや、違うな。こいつ…加奈だろ。髪の色は黒から白になっていて、前はセミロング程度だった髪は腰に届くほどにもなっているが、顔立ちが加奈のそれである。さらに、服装が制服のままである。


「ん……」


 良かった。生きてはいるようだ。


「ああ、その子は君と一緒にいたあの子だよー。何か転移の時に精霊に適合したみたいで、一命は取り留めたんだけど、まだ目は覚めないか……。」


「そうなのか。悪気があった訳では無いんだけどな。」


「そんなことは関係ないって!あんたのせいでこの子に迷惑かけたんだから、もとの世界に返してあげるまで守っててあげなさい!」


「……もとの世界に、って気が遠くなるな。だが…わかった。…そうは言っても、今俺は何も持って無いんだぞ?どうす――」


「ふっ、そんなこともあろうかと、小屋を一つ用意しておきましたー!すごいでしょ?」


「!?……なんか、すまない。色々とな。」


「……まあいいや。案内するから、その子担いでついてきて!」


 異世界に転生して、もう一回転移してもとの世界に戻る。おまけ付きで。いい加減、のんびり生活がしたい。と、本気で思った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


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