異世界転移?
うっすらと聞こえる、外からの小鳥のさえずりと共に、目を覚ました。
あれ、僕、あのまま寝ちゃったのか。
制服のままだ。
違和感を感じ、周りを見回すと、そこは見知らぬ部屋だった。
どこ、だ?ここ。
キョロキョロしていると、ドアが開いた。
「お!良かった、起きたか。成功したぞ!ここは神の住む世界だ!!」
朝っぱらから顔をキラキラさせたイケメンが、元気よく声を掛けてきた。
「おはよう、ミチヒト。道理で、知らない部屋だと思ったよ。」
どうやら、握手をした時に、なんかの契約?みたいなのをして、寝て起きたら、ここに来ている仕組みだったらしい。
「ここが今日からお前が使う部屋だ。正確に言うと、お前がこれから通う、神学校の寮の部屋だ。同室は俺だ!改めてよろしくな!」
寮の部屋にしては、広すぎないか?!
僕の部屋よりも全然広いし、オシャレだ。
さすが神様!
「それにしてもお前、《神様なんかいない!》《大っ嫌いだ!》なーんて、言ってたのになぁ。」
正直今も半信半疑だ。
だって、場所が変わったってだけだし、それに、神様がいるんだったら、今までの僕の努力は、気持ちは、どうなんだ、と思ってしまう。
「よし!今からここを案内してやる!お前が会わないといけない方もいるしな。」
僕が会わないいけない方ってことは、昨日話していた、「上」のいわゆる、お偉いさんってことなのだろう。
「んで、服も調達しねーとな!さすがにその制服1着、パンツ1枚じゃ、やだもんな!」
はっ。そうだった。
明らかに僕の着てる制服と、ミチヒトの着てる制服は全く違う。
「うん。よろしく、ミチヒト。」
僕は顔をあげ、ミチヒトに笑顔を見せた。
ミチヒトは動かなくなってしまった。
「え?ど、どうしたの?どっか痛い?」
慌てる僕を見て、さらに慌てるミチヒト。
「え、あ、いや、違う!その、初めて、笑顔見たと思って。ずっと見てたけど、笑ってるとこ、見たことなかったから。」
ああ、だから驚いたんだ。
僕でも笑うんだって。
確かに、愛想笑いじゃない笑顔なんて、久しぶりにしたな。。