事情
なぜかあの日から、僕は高山道人に追い回されている。
その度に「なぁ、一緒に来てくれよ。」などと、誘拐犯のような台詞を囁かれた。(なんて残念なイケメンなのだろうか。)
毎日毎日そんなことを続けられたら、嫌でもはなしくらい聞いてやろうとも思う。
なんとゆうか、諦めがつくって言うのかな。そんなところだ。
「わかったわかった!話くらい聞くから、もう追い回さないでくれ!」
僕がそう言うと、高山道人は「本当か!」と、そりゃあもう、花が咲いたような笑顔を見せた。(男にこの表現はないか?)
そして彼は急に真剣な顔をして話し始めた。
この世界には、神が存在している。
神社にいる神だって、見えないだけで、ちゃんとそこにいるんだ。
もちろん、《神の住む世界》もある。
俺やマヤは、その世界で、神見習いとして、神学校に通っている。
「で、ここからが本題なんだが……」
彼は僕をちらりと見た。
僕は高山道人の話をぼんやりと聞いていた。(何だ、神様っていたのか。)
神は、人間になれる。
俺やマヤみたいに、フリではなく、ちゃんとした人間に。
そのせいか、人間と恋に落ちたり、人間の生活が気に入ったりで、神という存在が、減ってきているんだ。
しかも、人間はどんどん増えていく。
「そこで、だ。神が人間になれるなら、人間も神になれんじゃね?ってことで、俺らが視察に来て、こいつだっ!ってやつを見つけ、俺たちの世界に連れていくのが、俺らの役目。」
へー。大変そうだなー。
なんて、呑気に聞いてたら、嫌な予感がした。
「お前は、それに選ばれた。選ばれし存在なんだ!」
なぜか自分が偉そうに彼は言った。
……やっぱり。
てゆーか、僕、なんでこんなに落ち着いてるんだ?!