真実②
昔は、この世界に2種類の神が存在していた。
片方は、ごくごく普通の神。
もう片方は、邪神など、人間に罰を与える神。
両方の神がいても、平和に暮らしていたんだ。
だか、人間のせいで、1つの世界は、2つに割れてしまった。
事の発端は、大神の後継者となる、大神一族の次男が、人間に恋をした事だった。
そんなことは、珍しいことではなかったが、彼は大神一族であるため、人間になることは許されなかった。
だから、逆に、その結ばれた相手を、この世界に連れてきたのだ。
こんな事は初めてだったが、何も問題はないだろうと、皆は2人を祝福した。
やがて彼女は、子供を授かった。
彼らが暮らしていた家の隣には、彼の友人である、邪神が住んでいた。
もちろん、その邪神も、2人を祝福した。
けれど、彼女達の子供が、この世に生まれることは無かった。
彼女は、邪神を責めてしまった。
子供が生まれなかったのは、邪神のせいだと。
邪神は、疫病神だと。
邪神達は、深く傷つき、怒った。
普通の神様である彼は、何もせず、何も言わなかった。
それが余計に、邪神達を怒らせ、それが段々、他の神達にも広がり、各地で紛争が起こるようになった。
当時の大神様は、動揺し、神の世界を、2つに分けてしまった。
僕は、何も言えなかった。
神様にも、色々あるんだな....。
「ここまでは、どの神も知っている、常識だ。本題はここからだ....」
2つに別れてしまったせいか、この世界にヒビができ、そこから悪魔が入ろうとしている。
そのヒビは、徐々に広がってきている。このままでは、悪魔に攻め入られてしまう。
だから、この世界をまた1つに戻さなくてはならない。
ただ、このままの状態で戻しても、戦争が起きて、それこそ大問題となってしまう。
「だから、君には、神達の間を取り持ってほしいんだ。ワシらも色々したが、聞いてもらえなかった。だが、人間になら、何とかできると思ったのだ。」
僕が、邪神を説得するってこと?
そ、そそそんな事、出来ない!無理だよ。
「だからって、なんで僕?なんですか?」
「...邪神達の世界に行くには、ヒビが入った出入口を通るしかないんだ。悪魔と出くわす可能性は大いにある。そうなると、危険が伴ってくる。もしかしたら、大怪我や最悪の場合、命を落とすことになるかもしれん。」
命を、落とす....?
僕、死ぬの?
「もし、そうなってしまった時のために、人間の条件として....。」
条件。
僕が、選ばれた、理由。
「...そうなっても、周りに影響がない、怒りや憎しみを抱き、怨霊と化しない、そんな人間を選び、その中でも、人間の世界で苦しい思いをしている人間。それが、条件であり、ワシらにとって、、都合のいい人間なのだ。」
心臓が大きく音を立てた。
死んでも、周りに影響が、ない....。
都合のいい人間....。
僕は、どうでもいい存在ってこと?
「....。」
「君には、申し訳ないと思っている。こんな、生贄みたいな。ただ、本当にこのことは、ワシと、相談役などのほんの数人程度だ。マヤやミチヒトは、指示通りに動いただけで、知らない。だから、ワシらを嫌ってもいいが、あいつらとは仲良くしてやってくれ。むしがいいのもわかっている。」
僕は、生贄。
今まで、全てを諦め、何も失うものはないはずなのに、怖い。
手が、足が、全身が、震える。
視界が潤む。