中二病の少女
僕はいつだって失敗ばかりする。
とろくて、ドジで、おまけに地味で、何も取り柄がない僕なんかに集まるのは怖い人しかいない。
なのに、今僕の目の前にいるのは、天使の様な真っ白な女の子。
「あ、の、僕に、何か用かな?」
精一杯の笑顔を少女に向ける。
「あんた、佐野陽太でしょ?」
んん?僕を知ってるのかな?
「ふーん……なぁんか地味っ!なんで前髪伸ばしてんの?顔も、前も見えないじゃない。余計地味に見えるんだけど。」
なんだこの子。突然失礼だな。
いや、まぁ、事実なんだけどね。
1分前の僕に言いたい。この子、天使ではない。
「地味だけど、いっか。私はマナ、神様なの!」
……は?
1分半前の僕に言いたい。
この子は天使ではなく厨二病だっ!
「あ、信じてないわね?言っとくけど、私、あなたよりずっと歳上なのよ?」
えー?こんなに小さいのにぃ?
とりあえず今は、この子に合わせておこう。うん、そうしよう。
「えーっと、マナ、さん?は、神様なんですよね?神様がなんで僕の所に?」
「よく聞いてくれたわね!今、世界中で人口爆発起きているでしょう?」
うわ〜、小さいのによく知ってるなー。中途半端な厨二病じゃないのか。
「それで、神様が不足してるのよ。」
凝った設定だな。
「そこで、あなたに神様をしてもらいたいの!大丈夫!神様の学校に通えば、あなたも立派な神様になれるわ!」
この子の想像力凄いな。
それとも、何かのアニメでも見たのかな?
はっ!この子に付き合っていたら時間がっ…。
服を引っ張ってきた手を優しく下ろした。
「ごめんね、僕、急いでるから。」
僕は足早にその場から去った。