7月3日
彼女たちが欲しがるものは、一体どれなのだろうか。
きらびやかな洋服?永遠を誓ってくれる愛情?
それとも、全てをひれ伏す金?権力?地位?名誉?
そんなことを考えながら、今日も日々を過ごす。
7月3日
今日も何もない1日だった。
3年間続けてきた日記だけど、書き続ける意味があるのかな…。
「ヒナコさん、お会計お願いします」
店長の声で、あたしは服を畳む手を止めた。
…自分でやればいいのに。
心で悪態をつきながら、笑顔でお金を受け取る。そんな仕事。
「あれ?」
流行の服装をした、10代であろう少女が首を傾げた。
あたしはその次の言葉を待った。
「さっき、竹下通りで会いましたよね?」
え?
「そうですか?似た方ですかね。自分はずっとここにいましたよ」
確かにここにいた。変わらない日常を送っていた。
「あれ?似た人だったのかな?」
彼女は相変わらず首を傾げたままだった。
「それに今日は、午前から一度も休憩貰ってないんですから」
あたしは店長に聞こえないように、小声で伝えた。
「じゃあ、やっぱり似た人だったんですね」
それでも半信半疑のようだ。そのまま彼女はカウンターから離れて、出入り口で待っている友達の元へ早歩きで向かって行った。
何やら、二人でこそこそと話しているようだ。
そんなに信じられないか?
何だか気分悪い。