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ー4ー


「お嬢様、苦しくはないですか?」


「んー平気。」


「でしたらもう少し絞めますね、えいっ」


「ぐっ!ちょ、なんで、苦しい!」


「少しくらい苦しくないとダメらしいのです。お嬢様はまだ発育途上だから胸はそんなに苦しくないですよね?」


「……………メルは発育終わったのにペッタ「もう少し絞められそうで「ごめんなさいぃぃ!!」



せっかくなら当日のドレスを着てダンスレッスンした方がいいのではないかと思い試着も兼ねてお嬢様に仕立てたばかりのドレスを着せてみた。

濃い青と薄い青を上手く使ったドレスで青い薔薇が胸元を縁取っている。ふんわりとしたシルエットがお嬢様にピッタリでまるで水の妖精の様な可愛さである。青色だし。


「お嬢様、最高に美しく可愛らしいです。」


「本当!?嬉しい!!」


素直に喜ぶお嬢様、最高に天使ですありがとうございます。


「さぁ、先生がお待ちですよ。行ってらっしゃいませ。」


急遽着せる事にしたので、少し時間が押してしまった。


「うん!行ってきます!」



ーーバタンッ。



お嬢様を見送ったら仕事にかかる。


「さて、お掃除しながら見回りしますか。」


ダンスレッスンは夕方までだから時間は結構ある。

休憩もあるが、私はなるべく先生と接触しないようにしている為、ティータイムはいつも他のメイドが行ってくれる。



よし、さっきの違和感も気になるし庭に出てみるか。





~メイド移動中~




グランベール家自慢の庭園は現在薔薇が見頃を迎えている。

様々な色の薔薇が咲いていて前世では人工的に着色していた色の花が、今世では普通に存在する。さすが乙女ゲームの世界と言ったところか。

「何も変わったところはありませんねぇ。今日は午前中に庭師の方が入る日だったから庭師の方の視線だったのかもしれませ……ん?」


庭園の中にはティータイムが楽しめるように立てられた屋根付きのお洒落なガーデンテーブルセットがあるのだが、そのテーブルの上に黒い物が乗っている。

庭師の忘れ物だろうか?


「手袋でも忘れて………?…………ん!?」




「にゃぁん。」



手袋じゃなくて猫じゃん、、。



「……迷い猫でしょうか。首輪はしてないようですが……………はぅ!」


「ぐるるぐるる……」


首輪を確認しようと首元を触ったら私の手に頭を擦りつけて………ぐるぐるって…………可愛い可愛い可愛い。




「………はっ!ダメです!どんなに可愛くても飼えません!ご飯もあげられません!申し訳ありません、迷い猫さん!」

なんて手強い猫さんなんだ。。危うく骨抜きにされる所だった、、。


可哀想だけど居つかれては困るので心を鬼にしなくては。



でも撫でるくらいなら、、。


なでなで……もふもふ……


はぁ~ふわっふわ!なんていい毛並み。

野良にしては綺麗過ぎるから飼い猫かな?

毛色はよく見ると真っ黒ではなくて少し青みがかってる。

何度も言うがさすが乙女ゲームの世界、猫の色も色々あるのね。ピンクとかもいたりして…………でもいてほしくないなぁ。。もうそれは猫ではない。





はぁ、癒された。満足満足。

「モフモフありがとうございます。さて、私は仕事があるのであなたもお家へお帰りください。他の使用人に見つかったら捕まえられてしまいますよ。」


そっと持ち上げて抱き抱えると大人しく腕に収まり、またゴロゴロを喉をならしはじめた。

はぁ可愛い。


捕まって殺されることは無いが、もう戻ってこないように遠くに捨てられるだろう。家があるのであれば、家に帰れなくなってしまうかもしれない。

敷地の外にそっと下ろすと猫は愛くるしい顔で見上げてきた。

可愛い。わぁ、なんて綺麗な金色の瞳なんだろう。


「あなたの瞳はお月様みたいに綺麗ですね。あなた自身が夜空の様です。………はっ!」


何を言ってるんだ私は!

なんだか毛色が夜空のように見えてしまってポロっと言ってしまったが、すごい口説き文句だ。恥ずかしい!

猫相手なのに思わず顔が熱くなってしまった!


対人で無くてよかった。恥ずか死ぬ。



最後に頭を撫でてあげると、嬉しそうにまたぐるぐる鳴いた。

あぁ、可愛い。。


………だめだ、さぁ、仕事しよ!


「さようなら、迷い猫さん。」


後ろ髪を引かれつつも、

猫がまた入ってこないように門を閉めて玄関に向かう。

あぁ、可愛かったなあ。。








「…………決めた。」





「誰です!?」

いきなり声が聞こえて瞬時に振り返り拳を構えるが誰もいない。


男の声で『決めた』と聞こえたのに。

全く人の気配が無かった。声だけ聞こえた。


ま、まさかオバ…………!


違う!きっと私の修行不足か気のせいだ!

とりあえず、誰かが侵入したかもしれないので異常や不審者がいないか屋敷中をくまなく調べなければ!




わたしは、急いで屋敷の中に入り用具室に寄って掃除道具一式を両手に取る。


「よし、くまなく調べましょう!」








結局くまなく屋敷内を捜索&聞き込み&掃除をしたが異常も不審人物も見つからず、怖い妄想だけが少し膨らんだ。でも、屋敷中が綺麗になって旦那様に褒められたから良し。



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