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ー20ー襲撃③

やっと投稿できました。今回は短いですが、次はすぐ投稿できる……はずです。



大男の言葉にピクリと反応を示した女は顎に手を添え考えるような仕草を見せながら口を開いた。


「……頼まれた……そうですか。ではその話は後でゆっくり聞かせて頂くとして、まずはグランベール家のお嬢様を解放して頂けますか?今すぐに。」


「!?」

大男の体があからさまにビクリと跳ねた。


「どうしてグランベール家のお嬢様だと分かったのか不思議なご様子ですね。……それは私の言った『縄張り』がグランベール家そのものだからですよ。」


大男の様子を分析しながら女は丁寧かつ淡々とした口調で話を続ける。


「あら?相当驚かれていますね。それとそんな重要な事を話してしまっていいのかという顔ですね。ふふ、それは………」



少し間を置いてから「察して下さい」と女が言葉を繋げた瞬間、ザアァッと風が大男達を吹き抜け、その風でフードが脱げ男達の顔が露になった。


「な、今のは殺気……か!?」


普通の風では感じるはずの無い凄まじい悪寒を全身に感じ、体が無意識に震え出す。

他の仲間を見れば彼らも明らかに恐怖の表情を浮べており、先ほどの殺気で落馬したのか地面に尻餅をつき震えている者までいる。



今まで感じたことない感覚に今すぐにでもこの場から逃げ出したい衝動に駆られるが、最悪な事に馬も殺気に当てられてしまったようで指示をききそうにない。下手に指示を出せばパニックを起こし振り落とされかねないだろう。


「くそっ、どうしたらいい……っ!」


「……アニキ、使い魔を呼びましょう。」


突然声が聞こえ隣を見ると、声を掛けてきたのはシルヴィア嬢を回収したチームの内の一人だった。ごくごく普通の顔立ちの若い男だ。


いつの間に隣にいたんだ、そう一瞬思ったがそれよりもこの状況を打破できるかもしれない単語の方に食い付いた。


「……使い……魔?あの獣か!!」


大男は足止めに使ったあの優秀な獣達の事を思い出した。


そうだ、アイツらならこの状況をどうにかできるかもしれない。いや、必ずできる!


大男は勝利を確信した。


要は馬が動けるようになるまで足止めできればいい。殺せればそれに越した事はないが、とりあえずはここから離脱して仕事を完了出来ればそれでいい。顔は見られてしまったが、これが終わったら頭領に言って暫く身を隠せば問題無い。

大丈夫、上手くいく。


大男は額にかいていた汗を袖で拭うとニヤリと笑った。


そしてさっそく獣を呼ぼうと口を開こうとしたその時、隣の若い男が先に口を開いた。


「アニキ、『影狼(シャドーウルフ)』と呼んで下さい。」


驚いた表情の大男に対し、若い男は「さぁ、早く!」と大男を急かす。


「……こ、来い!『影狼(シャドーウルフ)』!!」


大男が急かされた勢いのまま名を呼ぶと、オオーーンと遠吠えが聞こえ森から漆黒の体と赤い瞳の獣が大男達の目の前に飛び出してきた。


「おぉ!すげぇ!」

「やった、助かった!」

「これで勝てるぞ!!」


その光景に、先程まで絶望を感じていた仲間達は嬉しそうに声をあげた。


「ははっ!名前なんかあったんだな!「来い」だけで来ると思ってたぜ!ん?なんかさっきよりでけぇ気がするな。成長すんのか?」


「やだな~アニキ、女が名前で呼ぶように言ってたじゃないっすか~!大きさは気のせいじゃないっすか?」


若い男も勝利を確信しているのか、汗もかいていないし、表情も声も明るい。


まるで、最初からそうだったか様に。


さっき見回した時は全員恐怖が顔から滲み出ていたと思ったんだが……。


「さ、そんな事より早く足止めしましょうよ!」


大男が若い男の顔を見て考えていると、彼はヘラっと笑いながら右手でガッツポーズをし、大男をまた急かした。


「そ、そうだな。影狼(シャドーウルフ)!アイツをやっちまえ!」


影狼(シャドーウルフ)はオオーーンと大きく鳴いた。

するとその声に答えるように、黒い獣達がズズッズズッと地面から現れる。


リカルド達を苦しめた、魔法も物理攻撃も効かない最強の獣集団が。



地面から現れた十数体の獣達は女に向かいグルグルと唸り声をあげ、地面に爪を突き立て、毛の代わりに体を纏う黒い靄を逆立てている。



「これでお前も終わりだ!行けお前達!!」


大男は大声で指示を出した。


隣の若い男は、その大男の指示に合わせさりげなく右手の人差し指をピッと女の方へ向けた。


その瞬間獣達が一斉に走り出す。




大男は気付かない。



影狼(シャドーウルフ)を呼んだ時、自分の前に彼もその名を呼んでいた事を。


影狼(シャドーウルフ)達を動かしているのが自分の声ではなく彼の仕草だという事を。


最初から彼は一滴も汗をかいていなかったという事を。





今、期待に満ちた彼の瞳がじんわりと赤く色付き始めた事を。



「さぁ、お手並み拝見といきましょうか。」


ポツリと呟いたその声も、大男には届かなかった。




いつになったらメルたんのラブ要素を出せるのだろう……。



扁桃腺が突然腫れ、痛すぎて食べ物が食べられなくなったおかげ体重が減りました。あと五キロ痩せたい。今欲しいのはスクワットなんちゃらっていうマシーンです。

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