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凜として  作者: こころ龍之介
3/3

ep.003 貴文美と紅葉

「そう言えば、凜。知ってる?」

急に楓樺は真顔で切り出した。

「何を?楓ちゃん?」

「ウチらが行く飛騨の辺りって、二十年位前から定期的に人が失踪してるって話」

「それホント?なの?」

「何でも“創天母救世教(そうてんぼきゅうせいきょう)”の教祖の一人娘が失踪して依頼、毎年何人か行方不明に。飛騨って、飛騨の大猿(おおざる)伝説があるから、実際には自殺願望の人が山に入って行方不明になったのをバケモノのせいにしてるん(ちゃ)うか。って、ウチは見てるねんけどな・・・」

その時である。

二人に水のおかわりを継ぎに来ていたアルバイトのショートヘアーの女の子が、“創天母救世教”の名前を聞いた瞬間、顔が真っ青になり固まる。

ガシャンと、アルミの水差しを落としてしまいその場にへたり込んだ。

驚いた凜花と楓樺は、

「ちょっと大丈夫?」

と声を掛けようとするが、女の子の肩に触った瞬間、

「いっ、イヤ・・・、やめて、いっ、嫌ぁぁァアアアーーー!」

絶叫と共に空間が振動し、女の子を中心とした半径七メートルのグラスや器、そして窓ガラスに次々ヒビが入り粉々に割れる。

パニックになりそうな処をコーヒーカウンターから、髪の長い女の子が飛び出して来て、冷静に近付くと叫んだ女の子の頬を叩く。

アルバイトリーダーだろうか?

刹那、パチンと店内に乾いた音が響いた。

そして、諭す様に、

貴文美(きふみ)、落ち着きなさい。お客様に謝ったら、今日はもう上がっていいから」

貴文美と呼ばれた女の子は深々と頭を下げ、ごめんなさいと呟くとその場から立ち去った。

アルバイトリーダーは貴文美を見送ると凜花と楓樺に向かって頭を下げ、

「お客様、大変ご迷惑をお掛けしました。本日のお代はもちろん結構でございます。お召し物の汚れはクリーニングに出して頂いて結構でございますし、スマホや腕時計等壊れてる場合は、大学の事務局を通じ、私共、高等部生徒会にご請求下さい。お支払させて頂きます」

このカフェテリアは、アルバイトに高等部の生徒を使っているのだ。

楓樺は、納得いかないのか、

「ふーん。高校の生徒会って、アンタ誰なん?」

アルバイトリーダーは生徒手帳を取りだし、身分証明部分を二人に見せ、

「お姉さま方には挨拶が遅れました。(わたくし)、聖クリストファー学園国際高校で副会長を務めております、鶴咲(つるさき)紅葉(くれは)と申します」

ペコリと頭を下げた。

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