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chapter-20



 ────────花の香りがする。



 とても控えめな、優しい香り。



  

 ああ、疲れたなあ……




 身体も、重い。




 花の香りが気になって、俺は重い瞼を持ち上げた。


 白いやわらかな光が、視界いっぱいに広がった。



 目の前に、白い花束があった。


 様々な形と種類の白い花を一纏めにして、真っ白な包装紙をふんわりと広がるように巻いて、白いリボンで束ねている。


 見ていると、とても落ち着いてきて、穏やかな気分になった。

 清らかな、という表現がぴったりの、白い花束。




 なんだろう。どこかで、見た覚えが──



「……キュー」



 視界の端に、見覚えのある花まみれのボール玉が現れた。


 頭にデイジーみたいな花が1つ、ちょこんと揺れている。

 黒くて丸い、つぶらな瞳。


「……コケ、太郎?」

「キュー!」


 コケ太郎が嬉しそうに飛び跳ねた。

 

 俺は、ずっしりと重い身体を叱咤して、どうにか身を起こした。


 地面は、デコボコしていてとても固かった。ざらざらとしていて、そして冷たい。黒いから、真っ暗な周囲との境目が滲んではっきりしない。湿気ていて、じめっとしている。あれだ。鍾乳洞の床みたいな感じだ。


 地面から視線を上げる。


 


「…………なに。ここ────どこ?」




 目の前には、何処までも、何処までも暗い、真っ暗な空間が広がっていた。

 ぐるりと一周見回してみても、黒一色に塗りつぶされていて、何もなく、何も見えない。


 闇だ。


 どこまで続いているのかわからないぐらい、真っ暗な闇が、ずうっと、どこまでも、どこまでも広がっていた。



 ただ一箇所だけ────俺のいるこの周りだけが、唯一、ほんのりと明るい。



 上から、一筋だけ、細く光が差し込んでいる。

 ただ、見上げてみても、黒っぽい霧に遮られて、どこから光が差し込んできているのかは、全く分からない。

 


「……あれ……?」


 俺は、自分の両手を開いてみた。


 見慣れた、少し骨張った、細長い指。

 親の農園を手伝うのにゴム製の手袋や日よけのついた帽子、長袖長ズボンに長靴、という防御ばっちりな格好を普段しているので、肌はあまり焼けていない。まあ、母さんに似て、肌が紫外線に弱いのもあるんだけれども。あまり長時間強い日差しの中にいると、赤くなってしまうのだ。酷くなったら湿疹とかでてくる。自分で言うのもなんだけど、弱え。嫌すぎる。


 そして、ひょろりとした細い腕。


 筋肉質な親父と筋肉質な兄貴たちの中、なぜか俺だけ、細くて華奢な母親によく似てしまったのだ。なぜだ。チェンジだ。俺まで品質を統一してくれよ。クレームだ。

 母さんは栗色の柔らかい髪で、ものすごく華奢で細い。深窓の御令嬢のように儚く綺麗な見た目だが、性格だけはかなりワイルドだ。泥まみれになるのも全然平気だし、兄貴達には容赦なく鉄拳制裁を飛ばし、親父も尻に敷いている。人は見た目で判断してはいけない。


 でも、親父や兄貴達みたいにとまでは贅沢言わないけど、せめて細マッチョぐらいの身体はほしかった……。


 着慣れたジーンズと、着慣れたやわらかいコットンシャツ。

 そして裸足。靴どこいった。


 頭を触ると、少し毛先に癖のある柔らかい──髪が手に触れた。無理やり前髪を掴んで、目の端までひっぱってみる。


 見慣れた、少し癖のある、柔らかい栗色の髪が見えた。



「俺の身体だ……」 



 これは、俺の身体だ。【サクヤ】の身体じゃない。



 戻ったんだ……!!


 え? 戻ったの? どうやって? いつのまに? そして、ここ、どこ? 元の世界に帰れた感じがまったく、これっぽっちもしないんですけど。



「キュー?」

 コケ太郎が、どうしたの?というように小首を傾げた。


「……そういや、おまえ。俺、今、【サクヤ】の姿じゃないけど……俺が、わかるのか?」

「キュー!」

 コケ太郎が、俺の足に飛びついた。そうか。お前、俺がわかるのか。俺はコケ太郎を撫でた。気持ち良さそうに、頭の花が揺れている。

「そうか。……ありがとな、コケ太郎」

「キュ!」


 俺は、シャツの袖口から覗いた左手首をみて、ぎょっとした。



 真っ黒な痣が、できていた。



 手首を一周する黒い痣。失敗した入れ墨みたいに滲んでいる。まるで、掴まれた跡みたいな──


 ──なにこれ。ものすげえ気持ち悪いし、怖いんですけど。

 シャツの袖口で強く擦ってみたけど、黒い痣は全く消えなかった。そして、少し、痛い。病院、行ったほうがいいかもしれない。でも、病院って、何処にあるの? 此処、真っ暗なんですけど。建物らしき陰すら見えない。薄ら寒いし。


「なんなんだ、ここ……」


 今気付いたけど、辺りには黒い霧が漂っている。




「…………誰か、いる……のか?」


「──ふわっ!?」


 うおおおびっくりした!? 俺の他にも、誰かいた!?


 ああでも、よかった。少し、心細かったのだ。

 誰だろう。静かな、男の人の声だった。


「あの。誰か、いるんですか?」


 目を凝らしてみても、黒い霧と真っ暗な空間だけで、何も見えない。

 行ってみるしかないか。


「どこに、いますか?」

「────なぜ……こんな所に、人が……」


 俺の質問に対する答えではなかったけれど、呟き声の具合からして、そんなには遠くなさそうだ。


「コケ太郎。行ってみよう」

「キュ!」

 コケ太郎が、白い花束を掴んだ。

「それ、持っていけ、ってこと?」

 丸い身体が上下に動く。頭の花も上下に。

「わかった」

 俺は白い花束を右手に掴んだ。左手で、コケ太郎も抱え上げる。



 俺が歩き出すと、差し込む光も同じように移動した。というか、ついてくるみたいだ。何故だ。まあいいか。よくわからないが、助かるので良しとすることにした。



 少し歩くと、黒い霧の向うに、うっすらと人影が見えてきた。

 人だ。

 人がいる。

 疲れたように、片ひざを立てて俯き、ぐったりと座り込んでいる。


 スーツ姿の男の人だ。20代後半ぐらい? なんとなくそんな感じ。


 ネクタイはだらりと解かれ、どこかのブランドっぽい高そうな上着の前ははだけ、首元のボタンも3つぐらい外れている。

 黒髪はくしゃりと乱れている。


 それなりにきちんと身なりを整えたら、背広の役者がいっぱいでてくるドラマに出演していそうな人っぽい感じだ。なんだっけ。名前は忘れた。母さんがよく見てたあのドラマ。影があってカッコイイの〜と母さんが頬を染めていつも言ってるあの人に、ちょっとだけ、似てなくもない。



 男の人が、気だるそうに顔を上げて、俺を見て──────目を見開いた。



 ──なんだろう。あれ? シグさんに、ちょっと似てる。気がする。いやまさか。なんでそう思ったんだろう。


「…………サ……ク、ヤさん?」


「え!? なんで知ってんの!?」

 俺のキャラの名前!


 背広の人が、はっとした顔をして左側奥に目をむけ、それから俺を見て、険しい顔つきで右手の人さし指を口に当てた。

 なんだろう。静かにしろってことか?

 危ないのかな。何かはよく分からないけど。よく分からないので、言われた通りにしておくことにする。


 俺は足音をできるだけ立てないように近くまで歩いていき、男の人の前にそうっと、しゃがみこんだ。

 出来るだけ小声で、話しかけた。

「こんにちは。あの……貴方は、誰ですか? 俺、ここが何処かも、よくわからなくて」

 

 男の人の顔が、くしゃりと泣き笑いのような表情になった。


「キュー!」

 コケ太郎が俺の腕から飛び降りて、男の人の周りを跳ねた。嬉しそうに。


 なんだろう。

 なんとなく。とても知ってるような気がする。そんなはずないのに。知らない人だ。見た事もない男の人。

 なのに。

 なんとなく……なんだろう。わからない。ああ。でも。なんとなく、なんだけど──




「……シグさん?」




 いや、そんなまさか。違うだろ。

 目の色も違う。当り前だけど、この人の瞳は濃い紫じゃなくて榛色だ。

 髪の色は同じ黒だけど。日本人ならみんな黒っぽい髪だろう。何も不思議はない。姿も違う。スーツ着てるし。

 でも……静かな雰囲気とかが。よく似てて──


 顔をまじまじと見ながら首を傾げて考え込んでいると、男の人が、可笑しそうに小さく笑った。


「……よく、俺だと分かりましたね。【サクヤ】さん」


「っ!?!」


 俺は動揺した。なんでだ。


「え、な、なんで。なんで、俺って、わかった……!?」

「分かりますよ。だって、コケ太郎抱えてるし、仕草とか、柔らかい雰囲気が、もうそのまんまでしたから」

「見た目、全然違うだろ……!」

「そうですねえ……。でも、そんなにものすごく、かけ離れてる感じじゃあ、ないですから」

「かけはなれっ……ちょ、何言ってんの!? かけ離れてるだろ! ものすごく!」


 男の人────シグさんが、また人さし指を口元に当てた。

 俺は口を押さえた。


 俺を手招きして、左の奥を指さす。俺は口を押さえたまま、シグさんに近づいた。


 目を凝らして、シグさんが指さす先を、じっと見る。


 黒い霧の向こう側に──




 ────王様が座るような椅子に、うなだれるようにして腰をかけている若い男の人がいた。




 俺は漏れそうになった悲鳴を飲み込んだ。



 眠っているのか、ぴくりとも動かない。


 王族の正装みたいな格好をした青年。

 黒糸と金糸で編んだ肩章のついた、詰め襟の、裾の長い黒い上着。銀糸と金糸の刺繍が施されたカフス。上着の胸元には、大きな勲章。

 豊かで重厚な漆黒のベルベッドのマント。

 ダークシルバーの、少しウエーブのかかった髪。

 長めの前髪で顔は隠されているが、まるで彫刻のように整った顔をしている。


 その瞳は、今は閉じられている。



 あれは……まさか……



「……俺の意識がまだ確りしているので、此処の主導権・・・・・・はまだ俺にあります。だから今は、あいつは眠っている状態です。ですが、いつまた目を覚ますかわからない。俺の気が弱ってくると、あいつが目を覚ます。だから────今のうちに、早く、此処から逃げて下さい。来た道を戻れば帰れるはずです。後ろは、決して、振り返ってはいけませんよ」


「し、シグさんも、一緒に行こう。今なら、」

 シグさんが、首を横に振った。

 下ろしたままだった右手を、ゆっくりと俺の目の前まで持ち上げる。



 ──黒い棘がびっしりとついた真っ黒な蔦が、指先から肩の下辺りまで、幾重にも絡みついていた。

 鋭い棘は肌まで食い込んでいるらしく、そこから血が、流れ続けている。



 そして──棘が食い込んだ肩から下は──真っ黒に染まっていた。



 俺は息を飲んだ。


 棘のついた黒い蔦が、蠢いていた。


 少しずつ、シグさんの腕をからめ捕りながらじわじわと、上がってこようとしている。


 俺は白い花束を床に置くと、両手で蔦を掴んだ。

「いっ……つっ」

 棘は鋭利で固くて、掌の肌を深くまで易々と突き破った。俺は呻いた。なにこれ。めっちゃ、痛い……!!

 でもこれ、取らないと……! まずい気がすごくする……!


 力を込める度に、棘は俺の肌を裂いて、掌から血が滴り落ちた。

 蔦はものすごく固くて、力いっぱいひっぱっても、びくともしない。

「……サクヤさん、もういい。いいですから、手を放してください」

「いやだ! これ、取らないと……!」

「止めて下さい。あなたの手が傷だらけになってしまう。それに、これは……取れません。──────サクヤさん? 手首が……」

 シグさんが、俺の手首を掴んだ。


 俺の手首には、真っ黒な痣ができていた。握った跡みたいな痣。


 握る? 誰が? ────ああ。そうか。魔除けのブレスレットが割られた、あの時……



 シグさんが険しい顔をして、腹立たしげに舌打ちをした。

「シグさん……?」

「これの所為か……。やけに大人しく、俺と入れ替わったと思ったら……。あいつ、サクヤさんまで【夢】に引き込むつもりか。──サクヤさん。戻ったら、すぐにこの痣に【浄化】をかけて下さい。──この痣が、完全に消え去るまで。今なら、まだ間に合う」





 カツン、と硬い靴音が背後でした。





 びくりと心臓が震えた。


 振り返ると、男が立っていた。


 白地に銀糸のストライプが入った、小奇麗なスーツ。紫のネクタイに、胸元には薄紫のハンカチ。

 白金の、ゆるくウエーブのかかった長めの前髪から覗く瞳は、薄いスミレ色。

 うっすらと微笑みをたたえた、綺麗すぎる顔。



「おまえは……!」



 俺達に、この世界への片道切符を渡しやがった奴だ!!



「いやあ。君、なかなか面白いなあ。こんな深淵のほとりにまでやって来れる人は、なかなかいないよ。……ああ。そうか。なるほど。あの子・・・が呼んだんだね」



「お前……! この野郎! お前のせいで……っ」



 俺は、にやにや笑う男に掴みかかろうとして立ち上がった。行きかけて、腕を捕まれてつんのめる。

 シグさんとコケ太郎までが、俺を掴んで引き止めていた。なんでだよ。止めてくれるな、行かせてくれ。一発ぐらいあの笑い顔を殴らないと、俺の気が収まらない。


「サクヤさん。ダメです! あいつは──相手にしては、いけない」

「キュ!」



 白金髪の男は面白そうに笑いながら、王座で眠る男を見上げた。


「おやおや。あの子はすっかり、彼の中の【深淵】に住み着いてしまっているようだねえ。まあ、私としては、あの子の定住先が決まってくれて安心したよ。長い間、頑張ってくれた子だからねえ。それに、こんなに育ってくれるなんて。私はとても嬉しいよ。かわいい私の創造物。だから、ご褒美ぐらいあげないと」


 言ってる意味がさっぱりわからないが、俺は無性に腹が立った。随分と勝手な事を言ってるのぐらいは、さすがの俺にも分かる。


「何言ってるんだよ!?」


 男が顔に笑みを張り付かせたまま、ゆっくりと優雅な仕草で俺に向き直った。


「君にも感謝しなければ。ありがとう。君のお陰で、あの子はここまで────育つ・・事ができた」

「なん……だって?」


「君は、あの子の事を、大事に、想ってくれてたでしょう? 私の創った、君たちに倒されて、ボロボロになるまで壊されては、何度も修復して、そしてまた、君たちに倒されるためだけに蘇るモノを」


「壊されては、修復……?」


「そうだよ。君たちが遊んでくれていたゲーム、【グラナシエールの創世】。そこに存在する膨大な、数多の【構成物】を、私が全部、四六時中はりついて調整しつづける──なんて面倒な事、いちいちしてられないでしょう。私はこれでも忙しい身の上なんだよ。だから、ある程度は自分で考えて行動し、学習して、判断し、倒されたら自己修復するようにプログラミングしてあるんだ。君たちが言うところの【NPC】や【モンスター】、【ボス】もそうだよ。とても、生き生きとしていたでしょう?」


 確かに、ゲームだとは思えないほど、全てが自然に動いていた。すげえよなあ、どうやって作ってんだろうなあと巽がいつも感心して言っていた。俺も思った。


 調整? プログラミングする?


「お前……一体、何者──」


 男は、能面のような笑みを浮べた。

 俺は、背筋が震えた。なんだろう。とても、怖い。




「そうだねえ。君たちが言うところの、──【GMゲームマスター】かな」




 GM……?


「あれは全て──お前が作った、プログラムの、データなのか?」



「そう。向うの、君たちの世界の使用可能なスペックを最大限に活用して、私が作り上げた仮想の世界【グラナシエール】。まあ、ゲームとして作れるのは、あそこまでが限界かなあ」


 ゲーム。作り上げられた仮想の世界。作られたNPC。


「じ、じゃあ、なんで……」


 白金髪の男が、薄紫色の瞳を、楽しそうに細めた。





「──【感情】は莫大な情報のエントロピーをもたらし、それに因る【揺らぎ】は情報の改変を促す」





「な、に?」



「繰り返される破壊と修復。そこに与えられた君の想い────ほんの僅かな【揺らぎ】。与えられた小さな【揺らぎ】は波紋となり、響いて、また【揺らぐ】。あれは、エラーにもよく似ているよね。壊す事もできず修復されることもなく、少しずつ、少しずつ広がって、降り積もって、残っていく」


 何を言っているんだ。この男は。

 なんだか、とても、その先を聞きたくない。


「君にも分かりやすく言ってあげようか。【揺らぎ】の波紋を受けたあの子の中でそれは改変を促した。あの子は応えた。そして自ら【揺らぎ】を生み出し────側にいきたい、というささやかな【想い】は積み重なって【意思】となり、存在を確定しうる【核】となり、【種】となり、あの子の中で、それはようやく──────芽生えたんだよ」



 芽生えた……?



「原初の海原より汲み上げし赤き杯より、自ら零れ落ちた一滴の滴────君の元へと落ちた欠けら────あの子の【魂】の滴────君はそれを掬い取った。放っておけば、再び海原にもどるだけのちいさな滴玉を。君が拾い、そしてあそこまで育てあげたんだ。ありがとう。君のお陰だ。うれしいなあ。なかなか難しいんだよ。───────────【魂】の創造って」



 育てた。俺が。

 


「サクヤさん! そいつの話は聞かなくていい! いいから早く、ここから逃げるんだ!」



 ──────そうか。そうだったんだ。



 この笑い顔の男が言ってる話の内容は、意味が分かるような分からないような感じだが、肝心の所は、理解できた。

 結局のところ、やっぱり────


 ──────全部。こうなった事の発端と原因は全て、俺だ。


 シグさんは自分にも責があるといってたけど、違う。

 あの人は──ただ、偶然に居合わせて、巻き込まれてしまっただけだ。


 俺が物語にのめり込んで。狂ってしまった王子の事を想わなければ。

 拾わなければ消えていた欠けらを拾わなければ。

 ────シグさんがあの場に残ろうと残らなかろうと──こんなことにはならなかった。



「さて。あの子の愛しい人・・・・が折角こんな所まで来てくれたんだ。逢わせてあげたいと思うのが、君たちが言うところの親心・・ってものだろう?」



「やめろ!!!」

 シグさんが一際大きな声で、叫んだ。



 白金色の髪の男が、ぱちん、と指を慣らした。



「さあ、起きて。私のかわいい子。君の愛しい人が、会いにきてくれたよ──」

深淵にて。前編

後編を数時間後に投稿します。

前編で切って間が開くと怒られそうな気分に(妄想鳥心)

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