第2話 ジャンヌ、過去を話す
お待たせしました!更新遅れた分、多めの分量になってます。(8000文字オーバー)
屋敷を出たシャサとジャンヌは、馬車に乗って州都を目指す。大量の金貨を持って行く仕事なので、安全性確保のため、サイガが準備した二人用の馬車に乗り込んだ。
「では、行きますよ。」
「はい、よろしくお願いします。」
御者と挨拶を交わしてから出発する。
「「・・・」」
沈黙が馬車の中を満たす。先に口を開いたのはシャサだった。
「ジャンヌさん、でしたよね?改めまして、サイガ様のメイド、シャリアサードと申します。これからどうかよろしくお願い致します。」
シャサが綺麗なお辞儀をする。
「まだ召喚されたばかりで素性も知れぬ私ですが、何卒よろしくお願い致します。」
深々と頭を下げるジャンヌ。角度90°の最敬礼だ。
「この身も心もサイガ様のもの。御主人様の命令は絶対です。そして今はシャリアサード様をお守りせよとのこと。何でもお申し付け下さいませ。」
「そ、そんなかしこまらないで下さい。所詮私はただのメイドです。同じ主人に仕える身なのですから、できればお友達として一緒に頑張りませんか?」
「いえ、私はそのような事が出来るような者ではございませんので、お気になさらず。私は空気のように扱って下さい。」
「そんな事出来ません!」
「・・・? なぜですか?」
「そもそもそんな風に人を扱った経験がありませんし、そんな人間にもなりたくありません!」
シャサはジャンヌに近づいてしゃがみ込み、その手を握りしめる。下から自分を覗き込んでくる瞳の輝き。その力強さにたじろぐジャンヌ。
「しかし・・・。」
「お友達じゃなきゃ嫌です。」
「え、えぇっと・・・。」
「お友達になって下さらないなら、私は一人で州都に向かいます。」
「そ、それは困ります・・・。」
「なら、お友達になりましょう?」
ね?と首をかしげるシャサ。
「わ、分かりました。ですが、お名前はシャリアサード様とお呼びさせてください。」
「・・・シャリア様で手を打ちましょう。」
「承知いたしました。ではシャリア様と呼ばせて頂きますね。」
よく分からない交渉を終えて、腰を上げるシャサ。超近距離にあったシャサの顔が離れて、緊張が解けたのか、「ふぅ・・・。」と息を吐くジャンヌ。
「では、これからよろしくお願いしますね、ジャンヌさん♪」
「・・・はい。こちらこそよろしくお願いします。」
ジャンヌも立ち上がり、スッと差し出された真っ白な右手を握る。自分より背が低く一見頼りないこの小柄な少女は。目が合うなりニコッと微笑んできた。屈託のない純粋なそれは、彼女にとってはあまりに眩しすぎた。
ジャンヌの人生で初めての友は、それまでに会ってきた者たちの誰とも違う、不思議なタイプの人間だった。
(変わった女だなぁ・・・。)
それが、この時ジャンヌが抱いたシャサの第一印象だった。
--------------------
《Side=Jannu》
ポクポクポクポク・・・ガラガラガラガラ・・・。
長閑な風景の中を、馬車が走り抜けていく。沈黙に満たされたこの空間に響くのは、馬の足音と馬車の車輪が廻る音だけだ。何だか心が安らぐ・・・。
私は今、メイドのシャリア様を護衛中だ。
先ほどの自己紹介では、シャリア様の強硬な主張により、私と彼女は友達になった。というより、半ば強引にさせられたと言う方が正しいだろう。私は唯のサーバント。いわば使い捨ての道具にすぎない。そんな私を、今までの召喚者たちは雑に扱ってきた。
醜く穢れた私の頭を撫でてくださったのは、マスターだけだ。その時は召喚されて未だ10分も経たないというのに、である。
その時はマスターの行動の意味が理解できず、戸惑ってしまった。どうしたらいいか分からなかったのだ。真っ直ぐに私を見て微笑むマスターを直視することが出来ず、私は顔をうつむけた。
その時の事を思い出すだけで頬が熱くなって来てしまった私は、馬車の窓を開けて風に当たる。馬車が切る田舎道の涼しい微風が実に心地よい。今までの自分の人生からは想像もできないほど穏やかな時間だ。なにせ今この空間に降りている沈黙すらも、気まずいものではないのだ。あたかも自分を包み込んでくれるかのような、実に暖かい雰囲気に満たされている。客車のこちら側にちょうど日差しが当たり、ひなたぼっこが出来る。
・・・だんだん、まぶたが重くなってくる。
本当に・・・・暖かいなぁ・・・・。
『ジャンヌさーん。起きてくださーい、着きましたよー?』
ん~。だれ?誰かが私を起こしてくれている。
眠い・・・。なんだか前にも、こんなことが毎朝あった気がする。
「うぅん・・・?もうちょっと待ってよ、おかあさん。」
身体を少しだけ起こす。すると朦朧となっていた意識が少しだけクリアになっていった。
「ここは・・・。」
「おはようございます、ジャンヌさん。どうやら深く眠れたみたいですね♪」
「・・・あ。」
徐々に目が覚めてくる。
「あぁ・・・・。」
そうだ、馬車が暖かくてそのまま・・・。
頬がカァァァッと熱くなっていくのが分かる。しかもさっき確実におかあさんとか何とか恥ずかしい事を呟いていた。
「い、一生の不覚・・・!」
「ど、どうしたんですかジャンヌさん・・・?」
「ご、護衛対象を放っておいて自分だけ昼寝などッ・・・!う、打ち首にしてください!」
「なにを言ってるんですか!?ちょっとジャンヌさん、落ち着いて・・・。」
「マスターに、合わせる顔が、ありません・・・。」
召喚して間もない私の名を呼び、頭を撫でてくださった上に、この身まで案じて下さった、優しいマスターの命令に、背いてしまった・・・。
私はもう、寝顔を見られた恥ずかしさと命令に背いてしまった悔しさ、申し訳なさで一杯だった。・・・けれど、実はその時、私を大切にして下さるマスターやシャリア様への、安心感と幸福感に満たされてもいたのだ。
もう、恐怖に震える必要は無いのだと。
もう、眠れぬ夜を過ごす必要も無いのだと。
この方たちは、私を、「一人の人間として」、愛してくれるのだと。
「・・・。」
ツー、と、私の頬には一筋の涙が。
「わわわ、大丈夫ですよ、ジャンヌさん。サイガ様は護衛中に寝てしまったくらいで怒るような方ではありませんよ!私も一緒に謝りますから・・・ね?」
シャリア様が慰めて下さるが、その流星は次々流れ落ちて行く・・・止めようと慌てて手のひらで顔を覆ってみるが、その流れは勢いを増していくばかりで、止まる様子は微塵も無い。
そんな私を見たシャリア様は、懐からハンカチを取り出し、泣き顔を見られるのが嫌で顔を隠しながらうずくまってしまった私を引っ張り上げ、涙でびしょびしょになった顔を拭き、そのまま私を抱きしめた。
「よしよし、だいじょうぶ、だいじょうぶ・・・。」
結局シャリア様は、そのままの姿勢で、私が泣き止むまでの間ずっと、抱きしめながら頭を撫で続けて下さったのだった。
--------------------
宿に着いた。受付でシャリア様が予約を確認する。
「すみません、予約していたヴォルフラム家の者です。」
「あぁ、ようこそおいで下さいました!お荷物お持ちいたします。」
「ではこれを。」
たいていの持ち物は馬車の荷台に積み込んであるが、貴重品や日用品などは宿に持ち込まなければならない。
「ささ、お部屋はこちらです。」
宿の主は3階の部屋に私たちを案内した。
「こちら、当宿最高級のお部屋でございます!」
(えええええええええええええええ!?)
「では、ごゆるりとおくつろぎ下さいませ~。」
かろうじて声を出さないで済んだが、私は心臓が飛び出るかというほど驚いた。二人の従者にここまでする主人など、この世界広しと言えどマスターぐらいだろう。シャリア様の反応が気になったので顔色を窺って見ると、なにやら苦笑いをしておられるようだ。
「まったく、サイガ様ったら・・・。」
「シャリア様。」
「なんですか?」
「マスターは、その、いつも私たち従者にこのような事を?」
「ええ、そうです。・・・変な御方でしょう?」
「はい、とても。」
「「・・・ぷっ」」
あははは、と私たちは二人で笑い合った。
その後、夕食を部屋で摂ってから一緒にお風呂に入った。
今は、シャリア様の髪の毛を洗わせていただいている。
「シャリア様の御髪は本当にお美しいですね。羨ましいです。」
シャリア様の髪は綺麗な栗色だ。
「そんな事を言ったら、ジャンヌさんだってお綺麗ですよ?」
「私は・・・。」
私は銀髪だが、お世辞にも綺麗とは言えない。手入れなど全くしていないし、睡眠不足と栄養不足で毛先までボロボロだ。
「さぁ交代です!今度は私がジャンヌさんの髪をお手入れする番ですよ~!」
「でも頭にまだ泡が残って・・・。」
バシャー!私が言い終わらない内に、シャリア様は桶に溜めていたお湯で頭についた泡を勢い良く洗い流してしまった。
「さぁさぁ、ここに座って下さいな。」
そう言って、それまで自分が座っていた椅子に座るよう勧めてくる。
「いえそんな、申し訳ないです・・・。」
「・・・ジャンヌさんは私に髪を触らせたくないのですね。『こんな訳の分からないオールウェイズハイテンション獣人女に触られたくないわぁ』とかそんなこと考えてるんでしょ・・・。」
いじいじ、とすみっこの大理石に指で「∞」の字を書き始めるシャリア様。
「・・・あぁもう!煮るなり焼くなり、シャリア様の好きにしてくださいませ!」
途端にシャリア様の目が輝く。
「いいんですねぇ・・・?」
なんだか手をわきわきさせておられるんだが・・・何このメイド怖い。
「さ、女に二言はありません!」
私はなんだかもうヤケクソになって叫んだ。
「では失礼して・・・。」
スルリ、と一房の髪の毛を手に取られる。思ったより優しい手つきだ。
「ふむふむ、確かに今は結構痛んでますが、丁寧にお手入れすれば、いずれきっと、道行く男の誰もが振り向く魅惑の銀髪になりますよ~!」
「ほ、ほんとうですか・・?」
別に道行く男どもに振り向いて欲しくなど無いが、もしマスターに「髪、綺麗になったね。」だなんて言われたら嬉しいかもしれない。いや、きっととても嬉しいだろうなぁ。
「ええ、本当です!まぁここは大船に乗ったつもりで、私に任せてください!」
「お、お願いします。」
「では、まず髪に付いた汚れや脂を取り除いていきます・・・。」
--------------------
「良いお湯でしたね。」
「ええ、とっても。」
お風呂から上がった私たちは、明日の朝一番にギルドを訪ねなければならないので、部屋に戻ってすぐに寝ることにした。色々支度を整え、明かりを消す。
「では、シャリア様、明かりを消しても?」
「ええ、お願いします。」
真っ暗になる室内。ちなみに私は護衛なので、壁に寄りかかり、剣を抱きながら寝る。寝ると言っても浅いもので、物音などがすればすぐに起きることが出来るレベルだ。だが寝る前に、ベランダに出て外の様子を窺い(刺客の有無などの確認)つつ、マスターに通信魔法で報告をする。
「コール、召喚者」
数瞬の後、敬愛する主人の声が聴こえる。
『おー、待ってたぞ。』
「こんばんは、マスター。これから今日の報告を致します。」
『おう。もっと気楽に話していいんだぞー。』
「はい、ありがとうございます。」
『うん。で、どんな感じ?』
「何と言いますか・・・。まず、馬車内で自己紹介をしました。」
『おぉ、そこからか。』
「そしてお友達になりました。」
『早いな!』
「ええ、小さな子供の出会いかと思うくらいのスピードでした。」
『仲良くなれたか?』
「そうですね、かなり距離が縮まったように感じます。ただ、お互いずっと敬語ですけれど・・・。」
『そりゃお互いの性分みたいなもんだろ。コミュニケーションで最も大切なのは、形より心がこもっているかどうかだよ、ジャンヌ。』
「なるほど・・・流石はマスター、仰る事が違いますね。」
『そうか?そんなすごい事言ってないと思うけど。』
「いやいや、すごいですよ。今までのマスターはそんな事考えもしない人たちでしたから。」
『そっか。どんな人たちだったんだ?もし、嫌じゃなければ教えて欲しいんだが。」
「別に嫌じゃありませんよ。そうですね、・・・最初の人は戦争狂でしたね。」
『・・・は?』
「ですから、戦争狂です。まぁ頭のおかしい人でしたね・・・。毎日どこかと戦争してる国の王様でした。」
『初っ端からヘビーだなぁ。』
「そう言われるとそうかもしれませんね。「美女、権力、財物などよりも戦争が好き!」と言う狂人でした。」
『えぇ・・・ドン引きだよ。ソイツ絶対内政下手だっただろ?』
「本人は下手でしたね。ただ弟が上手でしたので委任していた様です。」
『ほぉ・・・。それでそれで?』
「しばらくして、その国は大国に成長し、戦争をするためには遠征をするしかなくなってきたような頃、弟が財政面で兄王と対立して周囲も真っ二つに割れ、今度は親族同士、血で血を洗う内戦です。」
『うわぁ・・・。想像しただけでもう・・・。』
「ええ、正に生き地獄、でしたよ。」
『そんな状況でジャンヌは良く生き延びたな。』
「そうですね、王の護衛でしたから。」
『忍者みたいなものか。』
「NINJA?それは存じ上げませんが、親衛隊長みたいなものでしたね。あとは命じられれば何でもやりました。要は使い勝手の良い道具ですね。」
『道具、かぁ・・・。』
「最期は、王の身代わりになって100本程の矢に貫かれて死にました。」
『・・・ちょっと言ってる意味がよく分かんないんだけど。』
「王を逃がすために、身代わりというか、肉の盾になったのです。そこで100本以上の毒矢と敵兵の槍で貫かれたところで私の意識は途切れているので、その後の事は分かりません。性別も隠していたのが功を奏し、辱めを受ける事も無く本当に幸運な死に方でしたよ。」
『・・・・・・。』
「どうかされました?」
『・・・痛かったか?』
「そうですね、なにせ毒が塗ってある矢だったもので、刺さった時は痛かったですね。激痛系の毒薬だったみたいで、それはそれは拷問に等しい時間でした。ただ、その後の槍が心臓をサッと突いてくれたので助かりました。即死だったので痛みは一瞬でしたから。」
『・・・・・・・そうか。よく、耐えたな。』
「はい。サーバントが死ぬと、この世に繋ぎとめていた魔法の枷が外れ、それぞれの召喚元に帰っていきます。そうして数十年から数百年間眠りに就き、次の召喚に備えるのです。・・・歴代マスターのエピソードは腐るほどあるので、全て話していると夜が明けてしまいそうです。一旦この話を終えても良いでしょうか?」
『あぁ、良いよ。』
「ところで、とても音質が良いですね、この魔法!」
『そうだな、期待以上だ。」
「マスターが、耳元で囁いて下さっているかのような感覚でくすぐったいです。」
『えぇ?気持ち悪いだろソレ。』
「いいえ、とても落ち着きます。」
『そ、そうか。なんか照れるな。」
「・・・では、明日も連絡致しますね。」
『はーい。待ってるよ!』
「はい。・・・あっ、マスター!」
『ん?』
「あの、その・・・。」
『なに?』
「馬車や御者の用意や、最上級のお部屋の予約などをして下さって、本当にありがとうございました・・・!今になって考えてみると、本来なら従者がやるべき仕事でした・・・。申し訳ございません。」
『いいんだよ。部下が気持ちよく働ける環境を整えるのが、領主たる俺の仕事だからな。ちょっとお金はかかったけど、まぁ必要経費だろ。ただ、毎回高級宿に泊まらせてやれるほどの余裕がある訳じゃないから、そこは勘違いしないでくれよ?今回だけの特別だ。』
「・・・ありがとうございます。」
『あぁ、だから気にしなくていいぞ。じゃあ、おやすみ!』
「お休みなさいませ。」
プツリ。そんな音が聞こえ、通信魔法は切れた。
さて、明日に備えて休もう。
---------------------
資本主義の魔法、|召喚魔法の付属魔法である通信魔法を切った俺は、耳に当てていた電話型のウィンドウを元の形に戻して息を吐く。
「ふぅ~。」
・・・ジャンヌが俺に語ってくれた内容はなかなかに衝撃的だった。平然と話しているように見えたが、本当のところは分からない。未だに引きずっている内容が、あるかもしれない。もしそうだった場合、真面目そうな彼女の事だから、心の奥底に沈めて溜め込み、また溜め込み、限界を超えてもなお溜め込んでいるのかもしれない。それを悟られまいと、必死で感情を押し殺しながら、先ほどの話をしたのならば、これは今すぐにでも解決してやるのが主人である俺の務めだ。
「おにーさま!」
だがしかし、一体全体俺なんかが何をしてやれるというのだろうか?日本で女の子の悩みを聞く経験など無かったし、ましてや今回は悩みなんて生易しいレベルのモノではない。
「おにーさまぁ?聞こえてますか?」
かといって放っておくのは嫌だし、ましてや馬鹿正直に話を切り出してド直球に問い詰める・・・みたいな、まるでジャンヌのプライバシーを土足で踏みつけた上で、その心の扉を無理矢理こじ開けるかのようなやり方は愚策に過ぎる。
「おにぃさまってば!」
「ん?」
ふと気づくと、妹のレヴィリアが俺の書斎に入って来ていた。
「おぉレヴィ、どうした?」
「夕食のじかんですよ!おかーさまに呼んでくるよう言われたんです。もぅ、何回呼んでも気付いてくださらないんですからっ!」
「マジか、もうそんな時間か。ごめんごめん。じゃあ一緒に行こうか。」
「ハイっ!」
妹は5歳。俺とは12歳も離れている。だから可愛くて仕方がない。
夕飯の時間を知らせてくれたお礼に頭をわしゃわしゃ撫でる。
「えへへ~。あの・・・お願いがあります、おにぃさま。」
「ん?なんだい?」
「か、かたぐるましてください。」
「おお、高いぞー?いいのかぁ?」
「もう高いところはへいきです!」
「ほぉ・・・そうか、言ったなぁ!?後悔しても知らねえぞー!」
レヴィを抱き上げて、ちいさな股下を首の後ろにまわし、太ももを左右の肩に置いて足首をしっかり持つ。
「これで良いか?」
「わぁ、やっぱりたかいですー!」
「本当に大丈夫なのか?」
「もうレヴィは『おとなのおねえさん』だから、だいじょうぶですっ!」
どこで覚えて来たんだそんな言葉。
だが可愛らしいので、その発言に乗っかる事にする。
「そうかー、もうレヴィもお姉さんかぁ。大きくなったんだなぁ・・・。」
と言っても俺はこの娘のもっと小さい頃を知らない偽りの兄だ。だが、出来うる限り、大切にしたいと思っている(もはやシスコンかもしれない)。向こうでは一人っ子だったから、兄弟姉妹が居ない寂しさを良く知っている。俺は小さな子供が好き(だがロリコンでもショタコンでもない)だ。笑顔、寝顔、泣き顔・・・。『お客様は神様』と言うが、『小さい子供たちは天使様』だ。このレヴィリア・ヴォルフラムと言う名のちいさな天使様も、成長して「兄貴キモいから近付かないで。」とか言われるまでは可愛がりたい。
そんなことを考えてるうちに、いよいよレヴィが焦れ始め、足をブラブラ揺らし始めた。
「まだですかー?」
「よーし、しっかり捕まってろよ?行くぞおおおおおおお!?」
「おー!しゅっぱつしんこー!」
全 速 力 (のうち6割くらいのスピード)で廊下を走り抜ける。
「きゃあああああああ!早いですぅぅおにーさま!」
「ん~?『おとなのおねえさん』になったんじゃないのかー?」
ニヤニヤ、といった擬音語が実に似合う表情をして、俺は首の位置を調節し、レヴィの顔を見つめる。おそらくこの場に燐が居たならば、俺の今の表情を端的にこう表しただろう。
『殴りたい、この笑顔』
「で、でもぉ・・・。」
なんてイジワルをしていると、レヴィが本気で泣きそうになってきたので、この辺りでやめて普通のスピードに戻す。
「あはは、ちょっと意地悪だったかな。」
「もう~、ひどいです!」
「ふふ、そう言ってる内にもう食堂だ。」
「もうっ、おにーさまの分のお夕飯は抜きです!」
「ふぁっ!?それは困る!」
「知りませんっ!」
プイッとそっぽを向いてしまうレヴィ。
「頼むから許してくれよ~。」
俺はそんな情けない声を発しながら、ヘソを曲げた妹を追いかけるのだった。
ジャンヌとレヴィのキャラクターはいかがでしたか?
ぜひとも感想やレヴィー・・・じゃなくてレビューお願いします。




